戸建ての維持にかかる一般的な費用とは

戸建てを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第7回)

この記事の概要

  •  不動産を所有していると毎年固定資産税が課税される。
  •  マンションと違って、戸建ては維持管理を所有者がすべて行う必要がある。時期や資金については計画を立てて進めるようにすることが重要。

戸建ての維持にかかる一般的な費用とは

昨今、テレワークを行うための部屋が備わった戸建てを購入したい人が増えていますが、戸建てを維持していくためにはどのような費用がどのくらいかかるのでしょうか。メンテナンス時期などについても触れながら見ていきましょう。

毎年課税される固定資産税

不動産を所有していると毎年支払うことになる固定資産税。これは、土地や建物に課税される税金で、国税ではなく地方税に分類されます。一般的に4月ぐらいに固定資産税の納税通知書が届き、一括または4回に分割して支払うことになります。

 

基本的な仕組み

固定資産税は、土地や建物の場合、課税標準額×1.4%(税率)で算出されます。課税標準額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づいて各市区町村が決定します。これは、固定資産税の納税通知書に記載されているほか、納税義務者であれば、役所に保管されている固定資産課税台帳で確認することができます。3年に1回、評価替えといって価格が見直されますが、一般的に実勢価格の7割程度となっています。

 

特例措置

住宅用地および新築住宅の場合は、特例により税金の軽減措置があります。

A.住宅用地
  • 200㎡以下の住宅用地:小規模住宅用地として課税標準額は6分の1
  • 200㎡超の住宅用地:一般住宅用地として課税標準額は200㎡超の部分は3分の1、200㎡以下の部分は6分の1
    ※ただし、建物の床面積(現況の床面積)の10倍を限度とします。
B.新築住宅
  • 3年間固定資産税が2分の1に減額されます(適用期限:2024年3月31日)。
    ※「床面積」、「建物構造」、「居住部分の割合」などで軽減措置の内容が変わります。

 

固定資産税算出例

―条件―

  • 土地:課税標準額 6,000万円 (面積100㎡)
  • 建物:課税標準額 3,000万円 (新築)

 

土地:固定資産税:6,000万円÷6×1.4%=14万円(Aを適用)
建物:固定資産税:3,000万円×1.4%÷2=21万円(Bを適用)

維持管理のポイントとその費用

マンションは毎月修繕積立金を支払い、住民全体で維持管理を行うことになります。管理会社が入っているケースが多いので、専門家からのアドバイスを受けながら長期的な修繕計画を立てていくことになります。よって、共用部分は個々の所有者が維持管理に手を煩わされることは少なくなります。もちろん専有部分は自ら管理が必要ですが、戸建ての場合は全てを所有者が行わなくてはなりません。誰かが管理してくれるわけではないので、マイホーム購入時からメンテナンスの実施時期や資金計画をしっかりと検討し、計画通りに実行できるようにしておくことが理想です。また、長期的な計画だけでなく、快適な住まいを維持するには、日々の掃除や季節ごとの手入れも重要なポイントです。
維持管理について外壁のモルタルを例に挙げると、数年に1回トップコートの吹き替えを行うことで10年以上は大きなダメージは避けられるでしょう。雨風に日々さらされている外壁はこまめにメンテナンスすることが重要。見た目は問題なくても、長期間何もしないでおくと壁の中まで傷みが進んで補修費用・期間が想像以上にかかってしまうことがあります。
下表は、主な部位と点検時期の目安、取り替え時期の目安、金額をまとめたものです。(取り換えの他、前述のトップコート吹き替え等の軽微なメンテナンスも必要となります。)ぜひ、維持管理の参考にしてみてください。物件によって大きく異なるので、実施する際は必ず複数の会社に見積もりをとって、納得したうえで進めてください。

戸建ての維持にかかる一般的な費用とは

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年8月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。