眺望のよいタワーマンションに引っ越したい。湾岸エリアと都心エリアどちらを選ぶ?~第1話「タワーマンションとは?編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.89

この記事の概要

  •  タワーマンションとは、一般的に20階以上の高層マンションのことを指す。
  •  タワーマンションは眺望の良さや利便性の高さなどから住まい選びの選択肢のひとつになっている。
  •  タワーマンションは高層であるがゆえに、地震や火災発生時に備えて厳しい建築基準が設けられている。

眺望のよいタワーマンションに引っ越したい。湾岸エリアと都心エリアどちらを選ぶ?~第1話「タワーマンションとは?編」

【Kさん】
現在3階建ての賃貸マンションに住むKさんファミリー。夫婦とも40代で小学生の子どもが1人いる。共働きで忙しい毎日を送っており、帰宅後は夫婦で1日のことを報告しあうのが日課。今のマンションは子どもが生まれたときから住んでいるが、10年の間に周りに高い建物が建ってしまい眺望を楽しむというのにはほど遠い状況となっている。仕事後は、綺麗な眺めを見ながらゆっくり過ごしたいということになり、タワーマンションの購入を決意する。湾岸エリアか都心エリアかは迷っている状態。

主に駅前や湾岸エリアで多くのタワーマンションが建設されている昨今。眺望の良さや利便性の高さなどから注目が集まり、テレビや雑誌などでも特集が組まれるほどです。住まい選びの選択肢のひとつともなってきているタワーマンションですが、今回はその基礎知識について解説していきましょう。

タワーマンションの定義

タワーマンションとは、一般的に20階以上の高層マンションのことを指します。法的に明確な定義はありませんが、建築物の規模に応じた「構造耐力」について規定した建築基準法20条の1項一号~四号が考え方の基準になっています。このうち、一号が高さ60mを超える建築物について定めていること、また60mが20階程度となることから、これを超高層建築物(=タワーマンション)とするのが一般的となっています。

タワーマンションの建築基準

タワーマンションは高層であるがゆえに、厳しい建築基準が設けられています。ここでは地震や火災発生時、できるだけ安全性が保てるように決められた基準について見ていきましょう。

 

地震への耐性については建築基準法に定めがあります。

建築する前に揺れの検証実験により耐力性や安全性を確認し、国土交通大臣の認定を受けなければ建築できません。
例えば、震度6強~7の地震発生時、建物の高さに対する振幅が最大1/100以内になることが認定を受けるための設計条件です。
そして、タワーマンションで生活をする上で重要な役割を果たすエレベーター。住民の移動手段としてなくてはならない設備のため、震度別に下記のようなクリアすべき基準が設けられています。


  • 震度6強から7:かごが脱落しない
  • 震度5弱:発生直後に停止する
  • 震度4:自動的に最寄りの階へ移動し着床する

 

火災発生時の対策については、消防法で基準が設けられています。

高層の建築物の場合、はしご車の多くが対応できないので、消防隊員が消火や救助に向かいやすいようにしておく必要があります。以下のとおり建物の高さに応じて基準がかわります。

  1. 建物の高さが31m以上の場合
    非常用エレベーターを設置するほか、延焼を防ぐために、各住戸では防炎性能をもったカーテンやじゅうたんを使用しなくてはなりません。なお、これらは防炎品と呼ばれていますが、消防法により使用が義務付けられている「防炎物品」(カーテン、布製ブラインド、じゅうたんなど)、使用が推奨されている「防炎製品」(寝具類、布張家具など)に分類されます。
  2. 建物の高さが45m以上100m未満の場合
    ヘリコプターが空中にとどまって救出活動可能な「緊急救助用スペース」を設けることが要請されています。
  3. 建物の高さが100m以上の場合
    ヘリコプターの「緊急離着陸場」を設置し、火災時に地上だけでなく、空からも避難できるようにします。

「タワーマンションの定義」や「タワーマンションならではの建築基準」についてまとめました。住まいの選択肢にタワーマンションがある場合、今回のことを知っておくことで、住まい選びのヒントとして役立つことがあります。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年8月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。