初めての不動産購入で知っておきたいこと VOL.11
- 2022年6月に建築物省エネ法が改正され、これまでは非住宅建築物(床面積300㎡以上)にのみ省エネ基準適合が義務付けられていたが、住宅・非住宅建築物(面積は関係なし)にも義務付けられることになった。
- 省エネ基準に適合した住宅では、快適な環境や光熱費を抑えた生活が期待できる。
新築住宅に省エネ基準適合を義務付ける「改正建築物省エネ法」が、2022年6月13日に参議院本会議にて可決、成立し、6月17日に公布されました。
省エネ基準に適合した住宅は、快適な居住空間が保てるだけでなく、エネルギー消費の削減にもつながります。ここでは改正の背景や概要、改正されたことによる居住者のメリットについてお伝えしていきます。
改正建築物省エネ法の背景や概要
2020年10月、菅内閣総理大臣(当時)は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量と樹木など植物による吸収量を均衡させること。排出量と吸収量の足し引きで温室効果ガスの排出合計を実質的にゼロにするという考え方です。
また、2021年10月には、「2030年度 温室効果ガス46%削減(2013年度比)」へ向けて、地球温暖化対策等の削減目標が強化されました。
これまで建築物分野では、非住宅建築物(床面積300㎡以上)にのみ省エネ基準適合が義務付けられていましたが、強化された削減目標を達成するには、住宅・非住宅建築物(面積は関係なし)への義務付けも必要ということになり、建築物省エネ法が改正されることになりました。改正法の施行は公布から3年以内となっており、すべての新築建築物に適用されるのは、2025年度を予定しています。
建築物分野は、全エネルギー消費の約3割※を占めています。この分野が省エネを意識することで、より高い省エネ効果が期待できると言えるでしょう。
※国土交通省 住宅局「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」の別紙2「<エネルギー消費の割合>(2019年度)」より。
快適な暮らしが実現する、居住者のメリット
省エネ基準に適合した住宅での暮らしには、多くのメリットがあります。
適切に断熱された住まいでは、夏は外より涼しく、冬は外より暖かく過ごすことができます。また、冷暖房がききやすいので、余計なエネルギーが消費されません。室内での寒暖差が緩和されるというのも特徴で、ヒートショックなどの発生が軽減できるでしょう。ランニングコスト面からは、エネルギー消費が少なくてすむため、月々の光熱費が抑えられるという点も挙げられます。月数百円の差でも、長く暮らしていたら大きな差がでてくることになります。
地球環境の改善、温暖化の抑止、「2030年度 温室効果ガスを46%削減(2013年度比)」への寄与が期待できる今回の法改正。これから認識が広がっていく法改正であり、今後の動きには注目しておきたいところです。
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2022年7月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。