「団体信用生命保険(団信)」とは?

初めての不動産購入で知っておきたいこと VOL.10

この記事の概要

  •  団体信用生命保険は、一般的に団信と呼ばれ、住宅ローン借り入れ時や借り換え時に加入することができる保険。
  •  契約者が亡くなるなどした場合、生命保険会社が借り入れ先の銀行へ保険金を支払って、残債がゼロになるという仕組み。
  •  基本的に、月々の保険料は金融機関が負担する。団信への加入が融資の条件になっていることが多い。
  •  がん団信に加入すると、罹病した段階で残債がゼロになる。
  •  一般的な団信は、死亡・高度障害を保障することになっているが、特約を付けることも可能。その場合は金利に上乗せされることが多い。

「団体信用生命保険(団信)」とは?

不動産を購入する際に、多くの人が組むことになる住宅ローン。長い年月をかけて返済していくことになりますが、住宅ローンの契約者が返済途中に亡くなるなど「もしものこと」があった場合、団体信用生命保険に加入していると、その段階で住宅ローンの残高がゼロになります。今回は、その仕組みや保障される範囲などについて見ていきましょう。

団体信用生命保険は、住宅ローン借り入れ時や借り換え時に加入することができる保険

団体信用生命保険は、一般的には団信と呼ばれています。住宅ローン借り入れ時や借り換え時に加入することができる保険であり、住宅ローンを契約した後に加入することはできないので注意が必要です。返済中に、契約者が亡くなるなどした場合、生命保険会社が借り入れ先の銀行などへ保険金を支払って、残債がゼロになるという仕組みとなります。
一般の生命保険では、契約者にもしものことがあった場合は保険金が遺族に支払われますが、団信の場合は保険金が住宅ローンの残債に充てられるというわけです。団信ではなく、一般の生命保険に加入してその保険金を残債に充てるという方法もありますが、もし受け取った保険金が残債の金額に満たない場合は、引き続き毎月返済を続けなくてはなりません。
数千万円の残債があった場合、もし団信に加入していなければ、残された家族がマイホームを手放すという選択をしなくてはならない可能性もあります。つまり団信に加入をしていれば、契約者にもしものことが起きても、残された家族はそのまま住み続けられるというわけです。

基本的に、月々の保険料は金融機関が負担

団信の月々の保険料は、住宅ローンを契約する際に借入金や年齢などをもとに決められます。借り換えなどをしない限り、返済期間中に保険料が変更になったり、追加料金が発生したりすることはありません。民間の金融機関で住宅ローンを契約するのであれば、保険料は金融機関が負担するのが一般的です。
民間の金融機関では、加入を融資の要件としているのがほとんどです。よって、団信に加入しないというケースはほぼないといっていいでしょう。フラット35は任意加入となっていますが、未加入のリスクを考えると、加入しておくほうが賢明かもしれません。
なお、団信は、通常の生命保険と同様に、健康状態についての加入基準をクリアする必要があります。住宅ローンの契約者は、健康状態や病歴などを包み隠さず告知しなければなりません。そして、加入基準をクリアしていない場合は、団信への加入が不可となります。

最近注目が集まる「がん団信」

国立研究開発法人 国立がん研究センターが発表した2018年のデータによると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性は65.0%、女性は50.2%となっています。つまり、男女とも約2人に1人ががんに罹患しているという状況です。治療が長期化する病でもあるため、治療中は罹患前と同じように働けないというケースもあります。住宅ローンを返済している最中に罹患した場合は、大きな負担になってしまうこともあるでしょう。
一般的な団信は、死亡・高度障害を保障することになっており、がんになったケースは保障の対象外です。しかし、約2人に1人ががんに罹患する可能性があること、治療が長期化する可能性があることを考えると、通常の団信の特約としてがん団信に加入しておくことはより安心できる選択となります。
がん団信は、住宅ローンの契約者ががんと診断されたら、その時点で残債がゼロになるという仕組み。完治して以前と同じような生活ができるようになっても、罹患時に残債がゼロになっているため、返済はもちろん必要ありません。また、夫婦の共有名義で購入した場合、一方ががんになったら残債がゼロになるという「連生がん団信」というのもあります。
特約部分の保険料は住宅ローンの金利に上乗せされることが多いようです。こちらも、借り入れ時や借り換え時に加入しておく必要があるため注意が必要です。
特約については、がんに限らず、3大疾病保障(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や8大疾病保障(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧症疾患・慢性腎不全・慢性膵炎・糖尿病・肝硬変)などがありますが、特約の内容は、提供する会社によって異なるという点は覚えておきましょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年7月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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