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オーナーが知っておきたい。高齢入居者の室内事故への備え方New

「不動産投資」管理の重要なポイント (第38回)

この記事の概要

  • いよいよ本格的な夏の到来ですが、賃貸物件のオーナーとして心配なのは、単身で入居している高齢者の熱中症です。毎年多くの高齢者が救急搬送されていますが、実際に賃貸住宅の室内で具合が悪くなった等の緊急時に連携できる先を予め分かっていることは大切です。

オーナーが知っておきたい。高齢入居者の室内事故への備え方

1.契約書や入居申込書の再確認

賃貸物件に入居している単身高齢者で問題になるのは、20年前~30年前に賃貸借契約を締結し、そのままずっと契約更新されているうちに、いつの間にか必要な情報が分からなくなっていることがあげられます。携帯番号が変わっている、勤務先を退職している、連帯保証人が既に他界している等、賃貸借契約書から現在の正確な情報を知ることが出来なくなっているわけです。オーナーが代替わりしたり途中で売却されたりする過程で、当初の入居申込書や賃貸借契約書が紛失してしまうことも少なくありません。

所有物件に高齢の単身者が入居している場合は、賃貸借契約書類を確認し、不明点がある場合は入居者に連絡の上、情報を更新しておくと、いざという時に非常に役立ちます。

2.緊急時に連携できる先を増やしておく

賃貸借契約書類の情報を更新することに合わせ、予め、緊急時に連携できる先を増やしておくことも大切です。

まずは、高齢入居者のお身内に、現在介護サービスを受けているかどうかをヒアリングしておきましょう。オーナーが知らないうちにデイサービス通いや訪問介護が始まっていることもあります。

続いて、介護サービスを受けている場合には、介護事業所の連絡先、ケアマネジャーは誰かなども確認しておき、こちらからも先方に連絡してお互いに連絡先を交換しておくと良いでしょう。

まだ介護支援を受けていない65歳以上の入居者の場合は、予め地域包括支援センターに相談をしておくことも選択肢のひとつです。地域包括支援センターとは、各自治体が設置主体となっている、介護や医療、福祉などの観点から高齢者を支える総合相談窓口で、たいていは中学校の学区ごとに1つ設置されています。高齢者本人やご家族からだけでなく、賃貸物件のオーナーや管理会社からの相談も受け付けてくれますので、例えば身内が近くにいない、足が悪くて転倒事故がありそう、入退院を繰り返しているなど心配な状況の場合には、物件所在地を管轄する地域包括支援センターに相談しておくと、万一の際の連携先の一つとなります。地域で名称が異なり、「高齢者総合相談センター」「高齢者安心センター」などの場合もありますので、「自治体名 地域包括支援センター」等のキーワードでインターネット検索すると分かります。

賃貸物件の玄関ドアのイメージ

3.単身高齢者が倒れた場合の連絡の流れ

万一、単身高齢者が室内で倒れた場合、どのような流れでどこに連絡が行くのかを考えてみましょう。

まずは、高齢入居者が介護サービスを受けている場合です。介護サービスの方が、訪問しても応答がないなどの異常を知った段階で、緊急連絡先に連絡が行きます。介護事業所は業務上当然にお身内等の連絡先が分かっているので、スムーズなのです。入居者が救急車で病院に運ばれてもオーナーや管理会社は知らないままで、翌月分の家賃が滞納となり初めて分かる場合もあります。あらかじめ介護事業所と連絡先を交換しておけば、一報もらえる可能性が高まるのです。

地域包括支援センターに相談していた場合はどうでしょうか。予め、地域包括支援センターの見守り対象になっているケースでは、電話が繋がらない、訪問しても返事がないなどの場合、警察に通報が入ることもあります。管理会社が入っており、物件に管理会社の連絡先が記載してある看板や掲示物があれば、管理会社にも連絡が入ります。

4.施錠されていた場合には…

部屋の中で高齢者が倒れているのであれば、なるべく早く玄関ドアの鍵を誰かが開けなければなりません。お身内が近くに住んでいて、スペアキーを持っていれば良いのですが、そうでない場合には、管理会社が管理用の鍵を持って現場に急行することもあります。

火災など明らかな緊急時には警察や消防署が鍵を壊して部屋に立ち入ることもありますが、単に留守の可能性もあるので、管理会社や身内が鍵を持ってくるのを待たれることも多いです。

室内で高齢者が倒れ、そのまま万一のことがあった場合、ご本人やご家族だけでなく、オーナーにとっても大変困る事態になります。所有物件に単身高齢者が入居している場合には、熱中症の危険が増える時期だからこそ、今から出来ることをやっておきましょう。

著者

伊部尚子

公認不動産コンサルティングマスター、CFP®
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務し、賃貸仲介・管理業に20年従事。現在は不動産の利活用や相続支援業務を行っている。金融機関・業界団体等での講演多数。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年7月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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