不動産IDの基礎知識

初めての不動産購入で知っておきたいこと vol.9

この記事の概要

  •  不動産IDは、物件のマイナンバーのようなもの。それぞれの物件に付与されることで、物件の識別が簡単にできるようになる。
  •  不動産IDは不動産登記簿の不動産番号と特定コードで構成される。
  •  不動産業界では業務の効率化が期待できる。
  •  不動産業界以外、電気・ガス・水道・通信などの生活インフラや物流分野などでの活用も進んでいくと考えられる。

不動産IDの基礎知識

物件情報を不動産ポータルサイトでチェックしているときに、同じ金額や間取り、エリアの物件情報が複数の不動産会社名で並んでいて、「同じ物件なのか、条件が同じなだけで違う物件なのか」と迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。そのような時にも、「不動産ID」がそれぞれの物件に付与されていれば、明確に判別することができるようになります。
国土交通省は、不動産IDのルールを整備するために、2021年9月に「不動産IDルール検討会」を発足。2022年3月31日には、不動産IDのルールと利用時の注意点を解説した「不動産IDルールガイドライン」を策定し、今後は不動産会社へ活用を促していく流れになっています。今回は、不動産IDとはどういうものなのか、導入後のメリットなども交えながら解説していきます。

不動産IDとは

そもそもIDとは、身分証明、身元確認を意味する「identification」という単語から生まれた用語です。社員証や学生証など、人物を特定できる「IDカード」、会員サイトなどにログインするときにパスワードと一緒に聞かれることがある「ID」など、私たちの生活の中にも多く存在しています。
不動産IDは、物件のマイナンバーのようなもの。不動産IDが物件を識別する基準になるため、登録した不動産会社によって住所の表記方法が異なったり、同じ住所や地番に複数の物件があったりする場合も、個々の特定が簡単にできるようになります。マイナンバーで例えると、「12345ミズホタロウ」が「12345ミヅホタロウ」と記名部分で誤入力があったとしても、マイナンバー部分で同一人物と認識できるというのと同じです。

不動産IDは不動産登記簿の不動産番号と特定コードで構成

不動産IDルールガイドラインによると、不動産IDは不動産登記簿に記録されている不動産番号(13桁)と特定コード(4桁)で構成される17桁の番号となります。不動産番号は、個々の土地もしくは建物ごと(区分所有マンションなどでは一住戸ごと)に記録されていますので、この13桁で個々の不動産の特定が可能。よって、このような場合は、特定コードは0000と入力されます。一方、一棟ものの賃貸マンションや賃貸アパートの場合は、建物全体に不動産番号が1つ付与されているだけです。こういったケースでは、各部屋が識別できるように、それぞれの特定コードが入力されます。

不動産業界の枠にとどまらない。不動産IDに期待できること

先にお伝えしたように、消費者にとっては、物件の識別がしやすくなるというのが大きなメリットです。例えば、気に入った物件の不動産IDを把握していれば、様々な不動産ポータルサイトでその物件の情報がチェックしやすくなります。
不動産業者においては、業者ごとに人海戦術で行っていた情報の収集や集約が簡単にできるようになり、業務の効率化につながることが期待できます。不動産IDを付与した後の情報は蓄積されていくので、過去の取引状況などが簡単に把握でき、消費者への情報提供がスムーズに行えるようにもなっていくでしょう。
物件が特定できることで、他にも活用が期待できるのは、電気・ガス・水道・通信などの生活インフラや物流分野などです。異なる物件でも住所が同じというケースなどでは、電気・ガス・水道の使用量通知の誤配達、運送会社の配達担当者が配達先の確認に時間を要してしまうことがあるなど、これまで起きていたような混乱がなくなることが予測されます。
不動産IDが定着し、利活用できるのはこれからという段階ですが、本格的なデジタル社会を迎えるにあたり、不動産IDが情報基盤整備の大きなキーになっていくことは間違いありません。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年5月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。