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この記事の概要
2022年の地価公示は、「新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られる(国土交通省)」ことで、全国、三大都市圏、地方圏、いずれの圏域でも下落から上昇に転じるなど、全国的に回復がみられる結果となった[図表1]。
住宅地では、前年の新型コロナウイルス感染症の影響による取引減少や、住宅購入者の様子見によって弱含みとなっていた需要も回復し、コロナ禍以前からの傾向である①都市中心部の優良な住宅地やマンションなど、希少性と地域における価格水準が高い住宅地、②交通利便性や住環境に優れ、相対的に価格水準が割安な住宅地に対する需要の高さが地価に反映された。商業地では再開発地域を中心に、都心部におけるマンション需要の高さや国内の人流回復などを背景に回復がみられた。一方、飲食店が集積する繁華街やインバウンド需要への依存度が高かった地域などでは、引き続き下落している地点もみられたが下落幅はおおむね縮小傾向にある。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率(2022年地価公示)
データ出所:国土交通省「地価公示」
(注)圏域等の定義は以下のとおり。
・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。
・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地および近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。
・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域および近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。
・「地方圏 地方四市」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。
・「地方圏 その他」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。
住宅地について都道府県別に地価の動向をみると、下落が38から27へ減少し、上昇が8から20に増加するなど回復が進んでおり、特に北海道、福岡県、宮城県などで上昇が顕著となった[図表2]。
都道府県平均と県庁所在地の住宅地の地価変動率を比較すると、県庁所在地では地価が上昇しているものの都道府県平均では下落となっている県が9県あり、県庁所在地とその他の地域における地価の動きに差がみられた[図表2]。
[図表2]都道府県平均変動率と県庁所在地における地価変動率
地価公示(価格時点1月1日)と都道府県地価調査(価格時点7月1日)の共通地点における半年ごとの地価の動きは、全ての圏域で、住宅地、商業地とも前半よりも後半で地価の回復がみられた[図表3]。
[図表3]半年ごとの地価変動率(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)
(注)前半(1月~7月)は7月1日時点、後半(7月~1月)は1月1日時点
住宅地はいずれの圏域でも上昇幅が後半で拡大し、商業地でも、2021年前半で大きく下落した大阪圏の商業地が-0.4%から後半で+0.2%と上昇に転じ、地方圏その他でも-0.3%から横ばいになるなど2021年後半で回復した[図表3]。ただし、国土交通省によると、共通地点は比較的需要が堅調であった各地域の優良な住宅地やオフィス需要が中心となる商業地が含まれる割合が高いことに留意する必要がある、としている。
[図表4]
東京都23区の住宅地について、横軸に2021年の地価変動率、縦軸に2022年の地価変動率を設定し、図示した。なお、円の大きさは各区住宅地の平均価格を示す(大きいほど価格が高い)[図表4]。東京23区では、港区と目黒区で上昇が継続、21区が下落から上昇に転じた。住宅地で最も高い上昇率となったのは中央区で+2.9%(前年-0.8%)。特に都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)や文京区、目黒区など平均価格が高い区で上昇率が高くなっていることが特徴的となっており、富裕層を中心とする旺盛なマンション需要が上昇を牽引したと考えられる。
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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※2022年4月26日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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