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住まいを購入する際、大きな選択肢となるのが一戸建てにするかマンション(集合住宅)にするかという点です。同じ持ち家でも、マンションと一戸建てではその後の暮らし方が大きく変わってきます。両者の特性の違いをつかみ、自分たちに合った住まいを選ぶことが、購入後のより豊かな暮らし方につながっていくといえます。
一戸建ての最大のメリットは、自分の意志を反映することができる範囲が広い点にあるといえるでしょう。新築なら工法や階数、広さや間取りを自由にデザインできますし、中古でも大胆な内装リフォームや増築・減築が可能です。2階の床を抜いて大きな吹き抜け空間を作るようなプランは、戸建てでしかできないアプローチでしょう。
一戸建ては、平屋、2階建て、3階建てと階数にもバリエーションがあるため、間取りについて立体的な検討が可能です。1階が親世帯、2階が子世帯といった二世帯住宅等も、マンションより一戸建ての方がはるかに実現しやすいといえます。建ぺい率・容積率の範囲内で増築や減築もでき、家族数の変化に合わせて建物自体のカスタマイズも可能です。
設備についても、希望を大胆に取り入れることが可能です。例えば、太陽光発電パネルを設置したいと考えてもマンションでは難しいのが現実ですが、一戸建てなら新築時はもちろんのことリフォームでも可能です。
こうした高い自由度がある一方で、自分だけで決めなくてはならないことが多いのが一戸建てのデメリットです。例えば、建物の屋根・外壁などについてのメンテナンスは所有者自身が計画して実施する必要があります。工事の時期決定、費用の確保、業者への依頼といったことをすべて自分で行う必要があります。
一方、マンションの最大のメリットは、共同生活によって全員で建物を維持管理していくシステムが確立されていることです。メンテナンスは管理組合主導で進められ、計画的に実施されていきます。それらのコストは毎月の管理費や修繕積立金によって賄われます。個人であれこれ悩む必要はありません。マンションが俗に“管理を買う”とは、こうした負担の軽減という意味合いがあります。
マンションの場合、ごく一部のメゾネットタイプを除くと、ワンフロアの住まいになります。そのため階段はなく上下の移動が発生しないので、高齢でも無理なく暮らせるというメリットがあります。また、構造によっては専有部分には柱がないので大きく間取りを変更することも可能で、一戸建てよりも大胆なリフォームが可能なケースもあります。
マンションと一戸建てでは、周辺環境も異なる傾向があります。
駅に近いような場所は人口密度が高く、土地の高度利用が求められます。そのため、一戸建てよりもマンションが多く建てられる傾向があります。また、そうした場所は日々の生活に欠かせないインフラ(役所、病院、銀行、スーパーマーケット等)も近くにあり、生活利便性は高いケースが多いようです。
一方、駅から少々離れた場所は一戸建てが多くなります。1戸1戸の建物が散在し、それぞれの家が庭を備えることも多く、緑も増えます。また、騒音や交通量も少なく、生活環境の面では、駅近くよりも優れた面もたくさんあります。
つまり、駅や繁華街に比較的近く、通勤や日常生活の利便性が比較的高いのがマンションの立地、近隣を含めた住環境の高さを享受しやすいのが一戸建て住宅の立地という傾向があるということです。
以上のように、一戸建てとマンションではそれぞれ長所と短所があります。それだけに、どちらがいい悪いではなく、自分たちの好みや事情によって選択すべきだということが分かります。
また、子育て期間は自然環境に優れた郊外の一戸建て、シニアの2人暮らしになったら駅近の利便性の高いマンションにといった住み替えも考えられ、家族の年齢や構成、求める機能等によって選ぶ対象も変わってくるといえます。つまり、家探しはライフスタイル(実現したい暮らし方)とライフステージ(家族構成や年齢)、両面からの検討が大切ということです。
最後に、マンションか一戸建てかで迷う方のために、おおまかな傾向をまとめておきましょう。
谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)
建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)
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