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この記事の概要
全国全用途平均の対前年平均変動率は2年連続の下落となったが、▲0.6%から▲0.4%へと下落率は縮小した。住宅地は東京圏、名古屋圏で下落から上昇に転じ、全国平均、大阪圏、地方圏では前年に引き続き下落となったが、いずれの圏域でも下落率は縮小した。
一方、商業地は名古屋圏で▲1.1%から+1.0%と上昇に転じたが、全国平均と大阪圏、地方圏では下落率が拡大した。特にインバウンド需要の影響が大きかった大阪圏では+1.2%から▲0.6%と上昇から下落に転じた。
地方圏では、住宅地、商業地とも下落が続いたが、住宅地は下落率が縮小し、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)を除く地方圏(その他)でも下落率が縮小した。なお、地方四市では住宅地、商業地で上昇が継続し、特に札幌市、福岡市では高い上昇率を維持している[図表1、2]。
地価公示との共通地点における半年ごとの地価変動率をみると、住宅地、商業地ともに前半よりも後半において回復傾向がみられる結果となった[図表3]。
東京圏の住宅地は2年ぶりに上昇に転じた。都心部、郊外ともに再開発や交通インフラの整備など居住環境や利便性が向上した地域に対する需要は堅調で、特に好立地の高級住宅地やマンション素地では、需要者層が景気の影響を受けにくい高所得者層であること、需要に対して供給が少ないことから地価の上昇が継続している地点が多くみられる。また、都心部と比較して相対的に割安感のある都心周辺の都市、特に生活利便性の高い地域で地価の上昇が継続している[図表1]。生活利便性に劣後する地域について地価下落が続いている状況にも変化はみられない。
東京都区部の住宅地では、前年に引き続き、すべての区で上昇した。一方で、下落地点が増加し、上昇地点の多くで上昇幅は縮小した。各区別では、上昇率は都心へのアクセスが良い品川区で+1.9%が最も高く、港区と台東区の+1.8%が続いた。上昇率が最も高かった地点は、高いマンション需要を背景とした江東区有明の+3.4%となった。なお、区部で下落した地点は世田谷区(14地点)や江戸川区(6地点)を中心に28地点となり、前年の15地点から増加した。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率
データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」
※圏域の定義等については以下のとおり。
・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。 ・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地および近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。 ・「区部都心部」とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区をいう。 ・「区部南西部」とは品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区をいう。 ・「区部北東部」とは墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区をいう。 ・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域および近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。 ・「大阪市中心6区」とは北区、福島区、中央区、西区、天王寺区、浪速区をいう。 ・「京都市中心5区」とは北区、上京区、左京区、中京区、下京区をいう。 ・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。 ・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。 ・「地方圏(地方四市)」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。 ・「地方圏(その他)」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。
[図表2]圏域別の対前年地価変動率の推移
[図表3]地価公示との共通地点における半年ごと*の地価変動率の推移
*地価公示(毎年1月1日時点実施)との共通地点(1,625地点。うち住宅地1,120地点、商業地505地点)。 前半(2020年7月1日~2021年1月1日)、後半(2021年1月1日~2021年7月1日)
[図表4]東京都区部の住宅地の区別地価変動率(2020年、2021年)
東京都区部住宅地の、各区の平均対前年変動率はすべての区で上昇となりましたが、2020年・2021年ではやや様相が変わっている部分もうかがえます。
働き方の転換が叫ばれている昨今でも、住宅地について「アクセス」がやはり大きな要素であることがうかがえます。
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部
※本コンテンツは参考情報の提供を目的とするものです。
※2021年11月15日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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