1)東京圏の中古マンションの成約件数、新規登録件数の動向
2020年度の東京圏における中古マンションの成約件数は37,049件で前年比−2.3%となり、3年ぶりに前年度を下回った。
月次の成約件数をみると、2020年4月(前年同月比−52.6%)から5月(同−38.5%)には大幅に減少したが、年度後半以降は回復基調に転じ、2021年3月には4,228件で統計開始以降の最高値※2を記録した。直近の2021年4月の成約件数は3,428件となり、初回の緊急事態宣言下で取引が停滞し大幅減少となった反動もあり、前年同月比+110.4%と倍増し、2019年4月(3,440件)の水準まで回復した[図表1]。
2020年度の地域別の成約件数の増減をみると、東京圏(前年比−2.3%)と比較して、東京都の区部(同−4.6%)、多摩(同−3.8%)の減少幅が大きい一方、横浜市と川崎市を除く神奈川県(以下、図表を含め「神奈川他」。)(同+4.5%)、埼玉県(同+2.0%)は増加しており、一部地域では郊外物件の成約は底堅く推移した[図表2]。2020年度の成約物件の平均築年数は、千葉県(25.45年)、神奈川他(23.99年)、埼玉県(23.77年)の順で長く、多摩を除く全ての地域で前年度の築年数を上回った[図表3]。
東京圏中古マンションの売主側の新規登録件数(月次ベース)は、2019年9月から2021年4月まで、20カ月連続で前年を下回っており、減少傾向が続いている[図表4]。
2)東京圏の中古マンションの価格動向
中古マンションの2020年度の平均成約単価は、東京圏で56.14万円/㎡、前年比+4.1%となり、8年連続の上昇であった。
月次の動向をみると、緊急事態宣言下で取引が停滞した2020年4月に前年同月比−4.5%と下落したものの、その後は、2020年5月から12か月連続で前年を上回っている。特に2021年4月は、前年に大幅下落した反動から、同+16.1%と2桁の上昇となった。[図表5]。
2020年度の地域別の平均成約単価は、東京圏(前年比+4.1%)と比較して、多摩(同+5.5%)、都区部(同+5.4%)、千葉県(同+5.0%)、横浜川崎(同+4.5%)が相対的に大幅な上昇となった[図表6]。
中古マンションと新築分譲マンションの平均価格を比較すると、新築分譲マンションの販売価格は2018年以降、上昇テンポが緩やかになったのに対し、中古マンションの価格は堅調に推移し、中古マンションの価格は新築分譲マンションの6割程度にまで上昇した[図表7]。