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都道府県地価調査(基準地価)にみる地価動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 10月号

この記事の概要

  • 2019年の都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の地価の対前年変動率は、全用途平均で2年続けて上昇した。住宅地は下落が続いているものの、大都市を中心に地価の上昇が継続したことや、多くの地方都市で地価が回復傾向であることを反映して下落幅は縮小した。
  • 全国平均の商業地は3年連続で上昇した。また、地方圏の商業地は1994年以来28年ぶりに上昇に転じており、大都市圏から地方圏へ地価の上昇が波及していることがうかがえる。
  • 国土交通省はこれらの背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、①交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること、②オフィス市場の活況、外国人観光客等の増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発事業等の進展を背景に需要が拡大していること、を挙げている。

1)大都市を中心とした地価上昇基調が継続

三大都市圏の東京圏では、東京都区部都心部の住宅地が+5.9%、商業地が+9.8%と高い上昇率となっている。大阪圏の商業地は、圏域平均では+6.8%の上昇であるが、大阪市中心6区(+18.9%)、京都市中心5区(+14.3%)など中心エリアで非常に高い上昇率となっている。

地方四市も地価上昇が続いており、特に商業地における地価上昇は著しく地方圏の地価を牽引している[図表1、2]。

2)地方四市を除く地方圏その他都市(以下、地方圏その他都市)は下落が続く

2005年の地価水準を100とした指数の推移をみると、地方四市ではファンドバブル期を大幅に上回る水準となっている一方で、地方圏その他都市では住宅地、商業地ともに下落が続き、地方四市との差は一層拡大している[図表3]。

3)東京圏の住宅地価は区部都心部から周辺区や周辺市へ上昇が波及

東京圏の住宅地の上昇変動率上位10地点では、前年は荒川区をはじめとして、足立区、北区など東京都区部の北東部の上昇が目立った。本年は荒川区や足立区の地点に加え、豊島区が3地点、千葉県柏市や埼玉県川口市の地点が10位以内にランクインするなど、交通の利便性が高いにもかかわらず、これまで比較的価格の低かった地点の上昇が目立ち、地価の上昇が区部都心部から周辺区、更に都心部に近い周辺都市へ波及している様子がうかがえる[図表4]。

[図表1]圏域別・用途別の地価変動率

[図表1]圏域別・用途別の地価変動率

データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」

(注)圏域の定義等については以下のとおり。

・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。

・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地および近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。

・「区部都心部」とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区をいう。

・「区部南西部」とは品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区をいう。

・「区部北東部」とは墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区をいう。

・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域および近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。

・「大阪市中心6区」とは北区、福島区、中央区、西区、天王寺区、浪速区をいう。

・「京都市中心5区」とは北区、上京区、左京区、中京区、下京区をいう。

・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。

・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。

・「地方圏(地方四市)」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。

・「地方圏(その他)」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。

[図表2]圏域別の対前年地価変動率の推移

[図表2]圏域別の対前年地価変動率の推移

データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」

[図表3]圏域別基準地価格の変動指数の推移(2005年=100)

[図表3]圏域別基準地価格の変動指数の推移(2005年=100)

データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」

[図表4]基準地変動率の上昇率上位10位(東京圏・住宅地)

[図表4]基準地変動率の上昇率上位10位(東京圏・住宅地)

データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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