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この記事の概要
住宅取得者等を対象とする住宅市場の実態把握を目的とした「住宅市場動向調査※1」を国土交通省が2001年度から継続して実施している。同調査では、「景気の先行き感(以下、景気先行き)」、「家計収入の見通し(以下、家計収入)」、「地価/住宅の価格相場(以下、価格相場)」、「住宅取得時の税制等の行政施策(以下、行政施策)」、「従前住宅の売却価格(以下、売却価格)」および「金利動向」といった経済的要因が住宅取得にどの程度影響したかを問うている。
これら各要因についての回答を指標化※2したところ、2018年度調査では、6つの全ての経済的要因が新築(分譲)・中古の戸建・マンションの全ての住宅の取得においてプラスに影響した。そのうち、「金利動向」や「行政施策」は全ての住宅において高いプラスの影響度で推移しており、低金利政策や住宅政策が住宅取得の強いインセンティブであるといえる。また、「売却価格」は2018年度に新築マンション以外では最も高い点数の要因となり、住宅価格の相場が住宅の売却を促す動機に足る水準としてとらえられたとみられる。さらに「家計収入」も近年はプラスの影響度で推移しており、住宅の価格相場が上昇するなかでも、収入の増加や安定が住宅取得につながったとみられる。[図表1]。
※1前年度中に住み替え等を行った世帯が対象。本レポートは三大都市圏(首都圏、中京圏、関西圏)のデータに基づく。
[図表1]住宅取得時に経済的要因が与えた影響度の推移
データ出所:国土交通省「住宅市場動向調査」
※2上記6要因に関する5段階評価について、それぞれ「大きなプラス影響」に1、「多少のプラス影響」に0.75、「影響なし」に0.5、「多少のマイナス影響」に0.25、「大きなマイナス影響」に0の点数を与え、この点数を5段階評価の回答数の構成比で加重平均して各要因の影響度を指標化した。各要因についてこの指標が0.5より大きければ住宅の取得等にプラスに影響したとみられ、0.5より小さければマイナスに影響したとみられる。
取得した住宅を選択した理由についての設問(複数回答)において、「新築/中古だから」、「戸建/マンションだから」、といった属性以外で回答を多く集めたのは、「価格の適切さ」と「立地環境の良さ」であった[図表2]。
中古住宅では「価格の適切さ」が戸建・マンションともに6割と多くの回答を集めた。ただし、回答の割合は近年低下傾向にある。
「立地環境の良さ」は、近年新築マンションで回答割合が年々高くなっており、2018年は7割超で最多。中古マンションでも「価格の適切さ」と同率で最多となった。
調査回答者が取得した住宅の平均購入価格はいずれも上昇傾向にある。一方、それぞれの住宅取得者の平均世帯収入も増加傾向がみられる。購入価格の対世帯年収比は、新築戸建は2017年以降低下。新築マンションは2018年に上昇して新築戸建を上回った。中古戸建は2015年に上昇しその後4倍超で推移。中古マンションも4倍前後と高めの水準で推移している[図表3]。
[図表2]住宅選択理由(複数回答)
[図表3]住宅購入価格と対世帯年収比の推移
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
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