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2018年の路線価の全国平均値は3年連続で上昇するも、地方を中心に29県が下落

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 9月号

この記事の概要

  • 2018年の路線価は全国平均値※1で前年比+0.7%となり3年連続の上昇
  • 都道府県庁所在都市の最高路線価は47都市中33都市(約7割)で上昇し、下落は1都市のみ
  • 地方では最高路線価が上昇する一方、都道府県別の平均値では下落が続く県も多い。

1)2018年は全国平均値※1で対前年比+0.7%上昇し、上昇幅も前年(同+0.4%)より拡大

2018年の路線価の全国平均値は、前年比+0.7%と上昇した[図表1]。2016年以降、3年連続してプラスの伸びとなり、上昇幅も拡大が続いている。

※ 1:路線価の全国または都道府県別の平均値とは、全国または各都道府県における標準宅地の評価基準額の平均値のこと。標準宅地とは、全国の民有地を対象にして主要な街路に隣接する宅地の中から、地積や形状等が標準的であるとして選定された宅地のこと。2018年の路線価では、全国の標準宅地は約32万4千地点

2)都道府県庁所在都市の最高路線価は33都市で上昇

都道府県庁所在都市の最高路線価は、47都市中33都市(全体の70%)で上昇、横ばいは13都市(同28%)、下落は1都市(同2%)のみで、都道府県庁所在都市では、路線価は上昇あるいは下げ止まりの状況にある[図表1]。

都市別の最高路線価は、前年までに地価上昇が著しかった東京中央区の銀座中央通り(2017年の対前年比26.0%から2018年9.9%)や大阪市北区の御堂筋(同15.7%から6.8%)で、上昇率が大幅に鈍化したものの、大規模再開発の進展や大型商用施設のオープンがみられた地域、あるいは訪日外国人が多い地域などの上昇幅が大きく、3大都市圏の主要都市や政令指定都市など11都市で、最高路線価は対前年比二桁の上昇となった[図表2]。活発なホテルやオフィス需要などから神戸市中央区の三宮センター街が前年から22.5%と大幅に上昇したほか、複合商業施設のオープンなどで熊本市中央区手取本町の下通りは22.0%の上昇、訪日外国人が多い京都市下京区の四条通も昨年を上回る21.2%の上昇を示し、次いで、駅周辺の再開発事業が活発な札幌市中央区の札幌停車場線通りが15.2%の上昇で、これら4地点が15%以上の上昇となった。政令指定都市以外でも、駅周辺の大規模再開発などの影響で大分市末広町の大分駅北口ロータリーが12.8%、人口増加や好調な観光などから沖縄県那覇市の国際通りが10.4%の上昇となった。

3)各都道府県別の平均値は、地方を中心に下落が続く県も多く最高路線価との動きに違い。各都道府県別の所管税務署別最高路線価では、下落地点が多い都道府県も。

各都道府県の路線価を平均値でみると、上昇しているのは大都市圏や政令指定都市が所在する都道府県がほとんどで、沖縄、福島を除けば、地方では上昇しても小幅に止まるか横ばい、もしくは下落が続いているところが多い[図表3]。最高路線価と平均値を対比すると、各都道府県の動きは、①最高路線価・平均値ともに上昇、②最高路線価は上昇か横ばい・平均値は下落か横ばい、③最高路線価・平均値ともに下落に分けられ、地方の多くが②に該当する[図表4]。各地域の国税局が公表した都道府県別の税務署管内における最高路線価をみても、同一都道府県内で高めの上昇地点がある一方、横ばいもしくは下落地点が多い都道府県も多く、ほぼ全てが上昇する大都市圏とは異なる動きを示している[図表5]。

[図表1]路線価の全国平均値の対前年変動率の推移

[図表1]路線価の全国平均値の対前年変動率の推移

データ出所:国税庁資料「標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の推移」

[図表2]都道府県庁所在都市の最高路線価 ※2018年の対前年変動率上位20

[図表2]都道府県庁所在都市の最高路線価 ※2018年の対前年変動率上位20

※2:大分は2017年に地点変更があり連続性のない2016年は非表示

データ出所:国税庁資料「平成30年分都道府県庁所在都市の最高路線価」、「平成29年分都道府県庁所在都市の最高路線価」

[図表3]都道府県別にみた平均値(標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値)

[図表3]都道府県別にみた平均値(標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値)

データ出所:国税庁資料「標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の推移」

[図表4]都道府県別「最高路線価」と「平均値」の分布(2018年)

[図表4]都道府県別「最高路線価」と「平均値」の分布(2018年)

データ出所 図表 4:国税庁資料「標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の推移」、 「平成30年分都道府県庁所在都市の最高路線価」

[図表5]各国税局の管内税務署の最高路線価の対前年変動率分布(2018年)

[図表5]各国税局の管内税務署の最高路線価の対前年変動率分布(2018年)

データ出所 図表 5:各国税局「平成30年分管内各税務署の最高路線価」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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