- 東京圏※1の新築分譲マンションは東京23区を中心に平均価格の上昇基調が続く。初月契約率が2年連続で70%割れとなり、在庫戸数も高止まりするなど、全体的にやや軟調
- 大阪圏※1では、平均価格の上昇に歯止めがかかり、初月契約率が2017年度も70%超を維持
1)東京圏における新築分譲マンションの市場動向
2017年度の東京圏における新築分譲マンションの発売戸数(以下、供給戸数という。)は3万6,837戸(前年比+1.1%ポイント)、1戸あたりの平均価格は5,921万円(前年比+6.9%ポイント)、1㎡あたりの単価は86.4万円(前年比+7.9%ポイント)、2018年3月末の在庫戸数は6,498戸(前年同月比▲0.04%ポイント)、初月契約率は68.8%(前年比+0.3%ポイント)であった。3年連続で減少していた供給戸数は増加に転じ、平均価格は1990年度6,214万円以来の高水準となった。初月契約率は4年ぶりに上昇に転じたが、2年連続で好不調の目安とされる70%を下回った。
[図表1]は、2014年度以降の東京圏における新築分譲マンションの供給戸数や平均価格などを図示したものである。傾向を分かりやすくするため、12ヶ月後方移動平均している。足元の特徴的な動きとして、平均価格および1㎡あたりの単価の上昇と、初月契約率70%割れの常態化があげられる。平均価格[図表2]と初月契約率[図表3]の地域別の特徴は以下のとおりである。
東京23区では、平均価格が7,000万円を突破し、初月契約率も70%台に回復。交通利便性や資産価値の高さ、相続対策などを理由に、富裕層やパワーカップルなどが買い支えているとの見方がある。一方、東京都下、埼玉県および千葉県といった都心郊外部では平均価格の上昇が鈍化し、初月契約率が大幅に下落するなどの傾向がみられ、新築分譲マンション市況はやや軟調である。
[図表1]東京圏における新築分譲マンションの供給戸数・平均価格・平均単価(左図)と在庫戸数・初月契約率(右図)
![[図表1]東京圏における新築分譲マンションの供給戸数・平均価格・平均単価(左図)と在庫戸数・初月契約率(右図)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_01.jpg)
データ出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」
注)左図・右図ともに各月の数値は12ヶ月後方移動平均値
[図表2]地域別の平均価格(東京圏)
![[図表2]地域別の平均価格(東京圏)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_02.jpg)
[図表3]地域別の初月契約率※2(東京圏)
![[図表3]地域別の初月契約率※2(東京圏)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_03.jpg)
データ出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」
2)大阪圏における新築分譲マンションの市場動向
2017年度の大阪圏における新築分譲マンションの供給戸数は1万9,849戸(前年比+8.1%ポイント)、1戸あたりの平均価格は3,846万円(前年比▲0.8%ポイント)、1㎡あたりの単価は63.6万円(前年比+3.8%ポイント)、2018年3月末の在庫戸数は2,355戸(前年同月比▲0.06%ポイント)、初月契約率は76.6%(前年比+4.7%ポイント)であった。大阪圏の新築分譲マンションは、初月契約率7割超を維持し、平均価格が2年連続で低下するなど、東京圏の分譲マンション市況との違いがみられる。
[図表4]は、2014年度以降の大阪圏における新築分譲マンションの供給戸数や平均価格などを12ヶ月後方移動平均したものである。大阪圏の新築分譲マンションは、供給戸数が増加傾向にあるなか、在庫戸数の消化が進み、初月契約率もV字回復がみられる。
[図表5]は、大阪圏における新築分譲マンションの供給戸数を地域別に整理したものである。これによると、大阪圏の供給戸数の4~5割弱を大阪市が占めており、大阪市が大阪圏における供給戸数の増加を牽引していることが分かる。しかし、新築分譲マンションの供給戸数の先行指標である分譲マンション着工戸数※3をみると、2017年の大阪市の着工戸数は8,862戸で、2015年比▲22.0%ポイントの大幅減となった[図表6]。今後、大阪圏における分譲マンションの新規供給戸数は減少する可能性が考えられる。
[図表4]大阪圏における新築分譲マンションの供給戸数・平均価格・平均単価(左図)と在庫戸数・初月契約率(右図)
![[図表4]大阪圏における新築分譲マンションの供給戸数・平均価格・平均単価(左図)と在庫戸数・初月契約率(右図)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_04.jpg)
データ出所:不動産経済研究所「近畿圏のマンション市場動向」
注)左図・右図ともに各月の数値は12ヶ月後方移動平均値
[図表5]地域別の新規供給戸数(大阪圏)
![[図表5]地域別の新規供給戸数(大阪圏)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_05.jpg)
データ出所:不動産経済研究所「近畿圏のマンション市場動向」
[図表6]主要都市の分譲マンション着工戸数(大阪府)
![[図表6]主要都市の分譲マンション着工戸数(大阪府)](/Portals/0/resources/article/common/images/img_report-201806_06.jpg)
データ出所:国土交通省「建築着工統計」
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
※本コンテンツは参考情報の提供を目的とするものです。
※2018年6月15日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
※当社は、読者に対し、本資料における法律・税務・会計上の取り扱いを助言、推奨もしくは保証するものではありません。
※本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成していますが、その正確性と完全性、客観性については当社および都市未来総合研究所は責任を負いません。本コンテンツに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。