- 東京圏※では中古マンションの流通量が増加基調にあり、2016年に中古マンションの成約件数が新築分譲マンションの供給戸数を上回った。
- 都県別にみると、東京都において新規登録件数と成約件数が大きく増加し、販売単価も大きく上昇。神奈川県、埼玉県、千葉県では新規登録件数、成約件数とも比較的安定的に横ばい傾向で推移。販売単価は緩やかに上昇。
- 価格帯では、東京都で5千万円台以上の上位価格帯の成約件数が大きく増加。神奈川県、埼玉県、千葉県では主力の下位の価格帯の成約件数が減少。
1)東京圏の中古マンションの成約件数は増加基調。2016年は新築マンションの供給戸数を超えた
2016年の東京圏の中古マンションの年間成約件数は3.7万戸で、新築マンションの年間供給戸数3.6万戸を上回る水準であった[図表1]。新築マンションが価格の高止まり等の要因から供給戸数が減少する一方、中古マンションでは、近年価格が大きく上昇している新築マンションに比べた割安感や、専用部の更新および購入者の好みに合わせた仕様の変更を可能にするリノベーションの普及、近年、素地の確保が難しい状況にある新築に対し、立地において優位性を持つ物件の分布などを背景に成約件数が増加していると考えられる。
[図表1]東京圏の新築/中古マンションの流通量の推移
データ出所: (株)不動産経済研究所
「首都圏のマンション市場動向」、(公財)
東日本不動産流通機構「Market Watch」
2)都県別に濃淡あり。東京都で新規登録件数と成約件数、販売単価の伸びが顕著である一方、他県は比較的安定的
都県別では最近数年、東京都における新規登録件数の伸びが大きい[図表2]。成約件数も増加基調にあり、販売坪単価の上昇も顕著である[図表3]。2016年後半に販売坪単価は200万円/坪を超える水準に上昇している。一方で神奈川県、埼玉県、千葉県では新規登録件数、成約件数とも比較的安定的に推移している。販売坪単価も横ばいか微増傾向で推移している。
[図表2]都県別の中古マンションの新規登録件数(指数)の推移
データ出所:(公財)東日本不動産流通機構
「Market Watch」
[図表3]都県別の中古マンションの成約件数および販売坪単価の推移
データ出所:(公財)東日本不動産流通機構
「Market Watch」
3)東京都で5千万円台以上の上位価格帯の成約の伸びが顕著。他県では主力の低価格帯の成約が減少傾向
東京都では2010年に1.8千件、2013年に2.5千件程度であった5千万円台以上の成約件数が、2016年には4.3千件とほぼ倍増している[図表4]。このうち7千万円以上の高額物件の増加が特に大きい。神奈川県では2千万円台以下(3千万円未満)、埼玉県と千葉県では1千万円台以下(2千万円未満)の成約件数が2013年をピークに減少している。いずれも一次取得層向けで各県の主力価格帯の成約件数が減少している。これら郊外部では、一次取得層向けの供給が減少している新築マンションも含め、マンション市場が停滞している状況がみてとれる。
[図表4]都県別の中古マンションの価格帯別成約件数の推移
データ出所:(公財)東日本不動産流通機構
「Market Watch」
※東京圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県
発 行: みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
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