3.入居者が抱える問題と、オーナーが取るべき対策とは
入居者の立場から見た問題点として、インターネット無料物件やインターネット設備がある物件の回線が自分のニーズに合わない場合があることが挙げられます。
集合住宅では1つの回線を分配してみんなで共有している場合が多く、単独で回線を引くよりも回線速度が落ちてしまいがちです。コロナ過での緊急事態宣言中は、在宅で仕事をする会社員や授業を受ける学生が増えたためインターネット利用が集中し、回線速度が遅いというクレームが一気に増えました。前出した総務省の通信利用動向調査では、テレワークを「導入している」「具体的な導入予定がある」と回答した企業は約3割でしたが、新型コロナウイルスの影響を受けている現在は更に増加していると思われ、インターネット回線への関心度は高まっていくでしょう。
その他にも、複数の部屋で4Kやフルハイビジョン動画をストリーミング再生したい、世界中の人とオンラインで対戦するFPSと呼ばれるシューティングゲームが趣味、動画配信をしている、株式のデイトレードを行っているなど、インターネットの利用目的は多様化しています。
オーナーが取るべき対策としては、まずは自分の物件のインターネット設備の有無や、既にある場合にはその内容をしっかり把握することです。同じインターネット回線業者でも物件ごとに回線の引き方や種類が違い、その速度や安定性も異なるからです。
次にすべきことは、既存の回線がニーズに合わない場合に、入居者が自分で回線を契約して利用できるかを確認しておくことです。引き込み工事の際に、物件の壁に穴を開けたりビス止めする許可を求められることもありますが、そのような要望があった場合にどうするか、方針を決めておくことも必要でしょう。穴あけ、ビス止めは禁止として、回線工事不要のポータブルWi-Fiやルーター等を使用してもらうと割り切るのも一案だと思われます。回線の種類によっては物件に穴あけやビス止めをしないで引き込み工事ができる場合もあります。入居者から要望があった際に代替案をスムーズに示すことができれば、顧客満足度が高まると思われます。