1.民法改正で敷金と原状回復義務が明確に
4月に改正となった新しい民法では、今まで明文化されていなかった敷金や原状回復についてはっきりと定義されました。
改正民法第622条の2では、敷金について「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と明記されました。
また、預かった敷金のうち「賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額」を、「賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたとき」に返還しなければならないとされました。
賃貸管理会社としては、この改正により敷金に対する考え方が今までと大きく変わった点はないので、実務で行ってきたことが改めてはっきりしたという形です。
賃借人の原状回復義務についても、改正民法第621条で「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」とされましたが、「通常の使用によって生じた賃借物の損耗」「賃借物の経年変化」は原状回復義務から除外され、「賃借人の責めに帰することができない事由によるもの」は原状回復義務を負わないことが明文化されました。
こちらも今までの実務上の考え方から大きな変更はなく、これまで通りきちんと要件を満たせば、室内清掃代等を入居者負担とする特約を結ぶことも可能です。