3.不動産業者やオーナーが出来ることとは
最近は水害がある度にショッキングな映像がテレビやインターネットで流れ、それを目にすることも増えているため、水害リスクを気にする賃借人も今後は増えて来ると思われます。重要事項説明の時に物件が浸水想定区域内にあることを知った場合、賃借人が水害対策の詳細について質問してくるケースも想定されますが、その場合、誤解を避けるために不動産業者からは各区市町村の問い合わせ先を案内することになっています。国土交通省からも都道府県に宛てて「水害ハザードマップの周知に関する不動産関連団体への協力について(依頼)」という文書が出され、市区町村へも周知するように依頼されており、説明については各市区町村任せとなってしまうのです。
オーナーが出来ることとしては、不動産業者と協力して近隣の避難所の情報を集めておく、物件所在地の市区町村が出している水害対策についてのリーフレット等があれば取り寄せておく、物件の倉庫などに防災用品を用意しておく、物件所在地の町内会などで災害対策が考えられていれば加入を案内するなどがあります。近隣にある避難所についての説明は義務付けられてはいませんが、最寄りの避難所だけでなく複数の避難所の位置を示すことが望ましいとされています。それらの説明があると無いとでは、賃借人の受ける印象も大きく違ってくるでしょう。
日本の河川は川の長さが短く、上流から下流への勾配が急です。年間の降雨量も多く、梅雨の時期や台風の時期に集中して降るために短時間で増水しやすいという特徴があります。そして、洪水時の河川水位より低いところにある都市も多いため、水害ハザードマップの浸水想定区域内にも多くの賃貸住宅が存在しています。
自然災害は誰のせいでもなく、100年に一度と言われるような災害が多い状況では予測することも難しいので、万一の時の対策を考えておくことが最大の防御になるでしょう。