1.ルームシェアという貸し方とは
コロナ禍で「暮らしの不安」を経験し、日々の固定費を減らそうと決めた方も多いようです。そして、賃貸住まいの方にとって大きな固定費である家賃を減らそうと、安いところへの引っ越しを検討している方も増えています。
これまでも、家賃負担を抑えたいという若い人たちの間ではシェアハウスが人気でしたが、あまりに人数が多いと「密」になってしまいますので、一般的な賃貸物件で似たような暮らしができる「ルームシェア」を選ぶ人も増えそうです。
ルームシェアとは、一般的な賃貸物件を数人で借りて暮らすスタイルのことです。ファミリー向けの3LDKの物件を友人3人で借りて、居室はそれぞれの個室にし、LDKを全員の共用部にするというような住まい方です。シェアハウスとの違いは規模感で、シェアハウスよりも部屋数が少なく、一緒に住む人数も少なくなります。お部屋探しサイトには「ルームシェア相談」と書かれて募集されています。
ルームシェアで貸す場合の注意点を、友人3人でルームシェアする場合を例に考えてみましょう。
まずは契約の形態についてですが、契約全体の責任者を決めてその人が代表して契約者になるか、3人の連名契約の場合は特約で責任者を決めておくことが肝心です。3人がばらばらに自分の家賃を支払って来て、1人が滞納していても知らん顔だとか、ごみの捨て方や騒音などで問題が発生した場合に、お互いに責任を擦り付け合って解決しないなどが起こりがちだからです。契約が一つである限り、家賃も生活マナーも連帯責任であるという意識を持ってもらうと同時に、窓口は一つに絞り、誰が最終的に責任を持つかを決めておくのが良いでしょう。
また、3人は家族関係ではないので、それぞれに連帯保証人を取るか、家賃債務保証会社を利用する場合には、3人とも別々に緊急連絡先を取っておきましょう。
その他、ルームシェア特有の注意点としては、「退去者が出た場合どうするか」を考えておかなければならないということが挙げられます。先の例で考えると、誰かが退去するなら解約という考え方もありますが、空室期間やリフォームの負担を考えると、入居者の入れ替えを認める方向で検討するほうが良いと思います。入居者入れ替え時には新たな入居者の審査が必要となり、万一責任者に決めた入居者が退去するときには、新たに責任者を決めて再契約をする必要があるなど手間はかかりますが、後々のトラブル軽減のためには必ずやっておくべきでしょう。
ルームシェアに向く物件とは、各個室へ入る動線が分かれている振分けタイプの間取りです。各個室に収納がある、居室の広さが同じくらい、居室が全て洋室の部屋も好まれそうです。また、Wi-Fi設備が入っていると、それぞれの部屋でインターネットを使えるので喜ばれます。