2.高齢入居者を受け入れているオーナーが気を付けていること
高齢者を積極的に受け入れしているという投資用不動産オーナーが、契約の際に気を付けていることをお聞きしてみました。
家賃滞納リスクを無くすために、家賃債務保証会社に必ず加入して頂いているというオーナーが多いようです。高齢者は長期に入居する人が多いため、賃借人と同年代の方を連帯保証人にするのは避けたほうが良いとの考えです。
また、同じくらい重要視しなくてはならないのは、何かあったときの緊急連絡先だそう。その選定基準は連帯保証人とは違い、経済力は二の次で、一番親身に賃借人のことを考えてくれるご親族になってもらうのが肝心とのことです。そして、それは多くの場合、息子さんではなく娘さんなのだそう。親思いの専業主婦の娘さんがいた場合、連帯保証人には向きませんが、緊急連絡先としては適任です。高齢者にお部屋を貸す際の緊急連絡先は身元引き受け人としての意味があり、何かあったときに相談出来たり、現地に来てもらうことが出来る人が良いのです。
また、高齢者にお部屋を貸す際にオーナーが気にするのは孤独死のリスクですが、見守りシステムを導入するのはハードルが高い場合があります。健康な高齢者に室内で倒れることを想定した設備を受け入れてもらうのは、急には難しいでしょう。
そういう場合に便利なのが、賃借人が加入する火災保険に孤独死保険が付帯している商品です。火災保険なら年代関係なく全ての賃借人に加入して頂くものなので、健康な高齢入居者にも気兼ねなくお勧め出来るのも良いところです。
孤独死のリスクをカバーするために必要な補償内容は、主に二つあります。原状回復費用が高額になった場合のための特殊清掃費用、残った荷物を処分するための遺品整理費用です。その二つが補償内容に含まれている他、遺品整理費用については病院などで最期を迎えられた場合にも保険金が支払われるもの、そして、保険金請求手続きを賃貸人が行うことが出来る特約が付いているものを選びましょう。
なお、参考までに述べておきますと、日本少額短期保険協会が公表した孤独死レポート(2019年5月)によると、年齢別の孤独死の割合は65歳未満が過半を占めています。また、総務省の死亡の場所別にみた年次別死亡数(2017年)によれば、病院等の施設内で亡くなる人が圧倒的多数で84.7%、自宅で亡くなる人は13.2%となっています。高齢入居者を受け入れたからと言って、必ずしも孤独死のリスクが高まるとは限らないようです。