3.オーナーサイドと物件状況の両面からどちらが向くかを考える
これらの不動産会社の心理を踏まえ、専任媒介が向いているケースと一般媒介が向いているケースを考えてみましょう。これは、オーナーサイド、物件状況の両面から考える必要があります。
オーナーサイドを基準にして考えると、どこか一社としっかりタッグを組みたい方、本業が別にあり賃貸経営にあまり時間が取れない方、お部屋の仲介だけでなく管理も頼みたい方、賃貸経営に慣れておらず物件力の向上方法が分からない方などは、一般媒介より専任媒介が向いていると思われます。
逆に、色々な不動産会社に仲介を依頼したい方、不動産会社との打ち合わせに時間を割くことが出来る方、自主管理で入居審査も自分で出来る方、自分で物件力を向上させることが出来る方などは一般媒介の方が向いていると言えますが、これに加え、一般媒介オーナーとして成功するのに欠かせない重要な要件がもう一つあります。それは、不動産会社からの連絡に迅速に対応できるということです。仲介営業担当者は面前のお客さまに全力対応していますので、すぐに連絡が付き結論が早いオーナーを優先したいと考えています。仲介営業担当者にとっては、今申し込みが入っておらず紹介可能な状態なのかを確認したり、家賃などの条件交渉がすぐに出来たり、入居申し込みした際に自分が一番手だと確認出来ることがとても重要です。専任媒介であれば、すぐにオーナーと連絡が付かなくても他社に先を越されるということはありませんが、一般媒介の場合は自分が一番かどうかを常に気にしているのです。
今度は物件状況を基準にして考えてみると、空室期間が長くなったり複数の空室がある物件は、専任媒介にしてパートナーを一社と決め、タッグを組んでしっかり対策を立てていくのが良いと考えられます。たくさんの不動産業者の募集看板が付いているにも関わらず長期間にわたって多くの空室がある物件を見かけることがありますが、それは一般媒介で失敗している典型的なケースで、そういう物件こそ専任媒介にして一社とじっくり対策を考えるべきです。やる気のある仲介営業担当者がいて、リフォーム提案や設備変更、募集方法の見直しなど物件力向上のアイデアを持っていたとしても、一般媒介のままではその提案が自社の利益に繋がらない恐れがあります。仲介営業担当者も会社員ですから、そのような仕事に貴重な時間を使うことは出来ないというのが本音なのです。
逆に、空室が出ると周辺の仲介営業担当者が時間を置かずに決めてくれる物件は、競争力があるので一般媒介でも問題ないと言えるでしょう。
賃貸物件を巡る状況は変化が激しく、人気があった物件でも、築年数が古くなったり周辺にライバル物件が出来たりして競争力が落ちてしまう場合があります。また、オーナー様自身やご家族の状況も時とともに変化していくと思います。専任媒介か一般媒介かも、一度決めたらずっと同じではなく、状況の変化に応じて見直してみるのも一案です。