不動産売却時には抵当権抹消が必要。登記事項証明書(登記簿謄本)には何が書いてある?

初めての不動産購入で知っておきたいことvol.6

この記事の概要

  •  不動産を担保として確保するために設定するのが抵当権。売却時には、抵当権抹消の手続きが必要。
  •  登記事項証明書には所有者情報や物件概要、権利関係などが記載され、一般公開されている。

不動産売却時には抵当権抹消が必要。登記事項証明書(登記簿謄本)には何が書いてある?

不動産売却時に必要な抵当権抹消とは?

住宅ローンを組んで不動産を購入した場合、何らかの理由で返済が滞ってしまうケースがあります。そういったことを想定し、金融機関等の貸し手が不動産を担保として確保するために設定するのが抵当権です。簡単に言えば、貸し手は借り手の返済状況によって、競売手続きを行い、第三者への売却代金により貸した金銭を回収できるようになります。通常は、借り入れ時に金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を締結し、抵当権設定登記が実行されます。
抵当権がついている不動産を売却するとなったら、借りている金銭を貸し手に返済し抹消手続きをする必要があります。一般的な理由としては、抵当権が設定されたままの不動産は、買主が住宅ローンを借りて購入しようとしても融資が受けられないからです。また、買主が住宅ローンを組まずに現金で購入しようにも、前述の競売が成されてしまうリスクもあり、そもそも抵当権付きの不動産は購入する気持ちにもならないでしょう。
抵当権抹消の手続きは自分ですることも可能です。しかし、慣れていないと確認や資料作成などで多くの時間を要してしまうことになるので、一般的には司法書士に任せるという人が多いようです。

登記事項証明書とは?

不動産の売買時によく耳にする、登記事項証明書。所有者情報や物件概要、権利関係などが記載され、一般公開されています。抵当権が設定されているのかどうかも、登記事項証明書で確認することができます。
ちなみに、現在の正式名称は登記事項証明書で、かつての名称が登記簿謄本です。登記簿謄本は紙のみで保管されていましたが、現在は記録が電子化されたことにより、紙の登記簿謄本とデータが併せて保管されています。データから証明書を発行するため登記事項証明書という呼び方に変更されたというもので、その記載内容について変わりはありません。


登記事項証明書は一般公開されていますので、どなたでも請求や取得が可能です。
法務局や出張所などに直接請求・取得するという方法もありますが、郵送やオンラインで請求することもできます。受け取りは法務局や出張所などに直接出向くか郵送となります。

登記事項証明書は、表題部・権利部(甲区)・権利部(乙区)・共同担保目録の4部構成

登記事項証明書に何が書いてあるかを知れば、物件への理解が深まることにもなります。ここでは項目別に主な内容を紹介しましょう。


項目名 内容
表題部 ●主な内容:不動産の物理的現況
○土地:不動産番号・所在・地番・地目・地積・所有者など
○建物:不動産番号・種類(居住など建物の用途)・構造・床面積・所有者など。主である建物と附属建物に分かれている
※一戸建ては土地と建物に分かれているが、マンションは建物の情報内に土地についても記載されている
権利部(甲区) ●主な内容:権利についての登記記載
○現在や過去の所有者情報、登記の目的など
権利部(乙区) ●主な内容:権利についての登記記載
○所有者以外の権利関係、登記の目的や理由など
共同担保目録 ●主な内容:権利部(乙区)以外に、担保としている不動産がある場合、ここに記載
○担保の目的である権利の表示(所在や地番・家屋番号)など

人生で何度も抵当権を抹消したり不動産を売却したりすることはありませんが、予備知識があるのとないのとでは、質問するポイントや疑問点、取引の理解度なども変わってきます。登記事項証明書は物件の履歴書のようなものと捉え、それぞれの項目をチェックし、把握するようにするといいでしょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2021年3月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。