- マンションには、住戸の内側にあたる専有部分と、それ以外の共用部分がある。
- 専用庭・専用カースペース・ベランダ・バルコニーなども共用部分なので、勝手に私物を置いたりリフォームしたりすることはできない。
- 共用部分には避難経路としての役割もある。また、ほかの住民に迷惑のかかる行為をしないようにすることが大切。
- 子どもの事故としては、共用部分の外廊下からの転落、廊下での転倒、エレべーターの戸袋に手を引き込まれるなど数多く考えられる。子どもは何をするかわからないということを念頭に置き、行動することが大切。
第七話「マンション購入を検討。共用部分の注意ポイント編」
【F さんファミリー】
結婚と同時に購入した郊外のマンションに住む、2歳の女の子、1歳の男の子の子育てに奮闘中のFさんファミリー。2人がよく動き回るようになり、目が離せない毎日を送っています。ママ目線で安全に配慮した居住空間造りに注力していますが、成長を考えるとこのままでいいのかと悩んだ末、子育てがしやすい快適なマイホームを探しているところです。
マンションには専有部分と共用部分がある
一戸建てを購入するとすべてが自分のものになりますが、マンションは専有部分と共用部分に分かれています。細かい規定はありますが、簡単に言うと専有部分は住戸の内側部分。購入者の所有物となるので、壁紙や間取り変更など自由に手を入れることができます。一方、共用部分は廊下や階段、エスカレーターなど住戸の外側にあたる部分。マンションの全住民が共有するため、個人的に占有したり手を入れたりすることはできません。
意外と知らない?!ここも共用部分
廊下や階段というと、共用部分という認識があるかもしれませんが、専有部分と誤認されやすいのが専用庭・専用カースペース・ベランダ・バルコニーなど。これらはマンションの全住民が使うことはありませんが、専有部分ではなく共用部分にあたります。
これらは共用部分のため、使用にあたっては廊下や階段と同じ位置づけです。許可なく私有物を置いたりリフォームすることはできません。ほかにも、窓やサッシ、玄関ドアなども共用部分になるので注意しましょう。
共用部分は避難経路の役割もあるため、物を置くことで大惨事につながってしまう可能性も
“共用部分に勝手に物を置いて場所を占有するのはいけないことかもしれないけれど、お互い様ということで自宅の前ぐらいは使っていいのでは?”とお考えになるかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、共用部分に物を置かないというのには、消防法上の理由があります。
共用部分である廊下や階段などは避難経路としての役割があります。火災や地震などが起きたときに、避難経路に物が置いてあったら、思うように避難できず大惨事につながることもあります。また、災害発生時に玄関扉が開かない場合はバルコニーが避難経路になります。上階の住民は避難ばしごを使って階下へ避難するわけですが、バルコニーに物が置いてあったらスムーズに避難することができません。災害時はただでさえパニックになりやすいもの。そのような中、避難経路が閉ざされていては混乱が広がってしまうことになります。
子育て世帯がやってしまいがちな、共用部分のNG行為
子育て世帯でよくみられるのが、共用部分の廊下にベビーカーや外遊び用のおもちゃを置くというもの。外出時に便利かもしれませんが、専有部分内に置くようにしましょう。消防法上の理由もありますが、ベビーカーが通行中の住民にぶつかる、おもちゃにつまずいて転んでしまうというようなこともあります。
また、“夏の暑い日はベランダにビニールプールを出して水遊びをさせたい。遊んでも日中の数時間。避難経路以外に置けば問題ないのでは”という意見も聞かれますが、マンションは戸建て以上にほかの住民に配慮した生活が求められるということも忘れずに。マンションの使用細則では明記されていなくても、それが迷惑行為につながるようではNGと言えるでしょう。
全国マンション管理組合連合会「中高層共同住宅使用細則モデル」によると、バルコニー及び屋上テラスでの禁止行為として「多量の撒水」が挙げられています。ビニールプールで遊んでいるときの水しぶき、遊び終わって排水溝へ流す大量の水などで、両サイドや下階の洗濯物を濡らしてしまうこともあります。前面が道路になっている場合は、通行人に水しぶきがかかってしまうことも考えられるでしょう。子どもがよろこぶことをしたいというのは親心ではありますが、迷惑行為になっていないかどうかを考えながら行動するようにしましょう。
マンションの共用部分で多い事故や怪我。気を付けたいポイントとは
好奇心旺盛で活発に動く子どもは、大人には考えられないような行動をすることもあります。マンションの敷地内だからといって安心しきってしまうことは禁物です。外廊下に出て、何かを踏み台にして下をのぞき込み転落、雨や雪の日に滑りやすくなっている廊下で走って転倒、エレベーターの戸袋に手を引き込まれる事故など数多く考えられます。
一緒にいるときは目を離さないというのはもちろんのこと、意外としてしまいがちなのが「おとなしく寝ているから」と子どもを部屋に残して出かけてしまうこと。数分の外出であっても、目が覚めて親が視界に入らなければ子どもはあちこち探しまわります。ひとりで歩けるような年齢にもなれば、鍵を開けて外にでてしまうという事例も。マンションの場合、高層階から落下するケースもあり、怪我だけでは済まないかもしれません。たった数分だから大丈夫・・・という気持ちは捨てて、万が一のことを考えて行動するようにしましょう。
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2020年2月28日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。