アンケートから分かる購入・売却の「ポイント」vol.20
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この記事の概要
- 平成30年度の売買及び媒介・代理(売買)における苦情・紛争相談件数の総数は、前年に比べ微減。
- 平成26年度~30年度において、売主(売買)、媒介・代理(売買)の主要原因別の苦情・紛争相談件数は、「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)が最も多い。
- 媒介・代理(売買)では、「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)に次いで、「報酬」(高額報酬の請求含む)や「媒介に伴う書面の交付」の件数が多い。
- 苦情や紛争を避けるには、不動産会社選びも慎重に行うことが重要。
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 不動産業指導室による「平成30年度 宅地建物取引業法施行状況調査の結果」がまとまりました。今回は、その中から売買における苦情・紛争相談等の状況について見ていきましょう。
売買及び媒介・代理(売買)における苦情・紛争相談件数の状況。
『平成30年度の総数は前年に比べ微減』
平成26年度~30年度に取り扱われた、苦情・紛争相談件数は表1のとおりです。平成30年度と前年を比べてみると、売主(売買)は45件増、媒介・代理(売買)は51件減となっています。両方を合わせると、苦情・紛争相談件数は6件減という結果に。また平成30年度は、平成26年度~30年度の中では最も苦情・紛争相談件数が少なくなっています。
売主(売買)の主要原因別の苦情・紛争相談件数 ※上位5項目の件数と構成比。
『どの年度も「重要事項の説明等」が件数・構成比が最も多い結果に』
表2からもわかるように、いずれの年度も「重要事項の説明(※1)等」(重要事項の不告知を含む)の件数・構成比が最も多くなっています。平成30年度に注目してみると、「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)119件(35.2%)、「契約の解除」(ローン不成立による解除も含む)35件(10.4%)、「瑕疵(かし)(※2)問題」(瑕疵補修を含む)34件(10.1%)、「契約内容に係る書面の交付」28件(8.3%)、「相手方等の保護に欠ける行為の禁止」8件(2.4%)と続いています。
※1 売買契約を締結するまでに、宅地建物取引士が購入予定者に対して物件の重要事項を説明すること。宅地建物取引業法で定められている
※2 見えない部分の不具合のこと
媒介・代理(売買)の主要原因別の苦情・紛争相談件数 ※上位5項目の件数と構成比。
『媒介・代理(売買)では、「報酬」や「媒介に伴う書面の交付」が上位に』
売主(売買)同様、どの年度も「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)の件数・構成比が最も多くなっています(表3)。平成30年度に注目してみると、「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)135件(37.1%)、「報酬」(高額報酬の請求含む)44件(12.1%)、「媒介に伴う書面の交付」38件(10.4%)、「契約の解除」(ローン不成立による解除も含む)35件(9.6%)、「瑕疵問題」(瑕疵補修を含む) 20件(5.5%)となっています。「重要事項の説明等」(重要事項の不告知を含む)がトップというのは売主(売買)とかわりませんが、2番目以下は順位や構成比・項目も異なってます。「報酬」(高額報酬の請求含む)や「媒介に伴う書面の交付」の件数が多いのは、媒介・代理という取引態様の特徴とも言えるでしょう。
苦情や紛争を避けるには、不動産会社選びも慎重に
重要事項説明を受けてから、再度購入を検討するということも可能です。しかし、この説明が曖昧だったり買主が知っておくべき重要な情報が漏れていたりすれば、正しい判断ができなくなってしまいます。瑕疵も同様で、購入後に不具合が見つかった場合、夢のマイホームでの新生活が残念なことになってしまうでしょう。
今回ご紹介した調査結果からもわかるように、重要事項の説明等が原因で苦情や紛争に発展するケースが多くあります。案内時に物件のいいところだけではなく、購入者が検討できるようにメリット・デメリットを伝えてくれる、希望条件に耳を傾けてくれるなど、信頼できる不動産会社を選択するというのも重要と言えます。
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2020年2月28日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。