アンケートから分かる購入・売却の「ポイント」vol.14
- 入居・購入希望者からの災害に関する質問頻度は、大阪府・兵庫県・広島県では「増えた」、「やや増えた」の合計が高い傾向。
- 「災害リスク」に関する説明で最も利用されているのは「自治体提供資料」。
- 今回の調査結果から、災害を受けたばかりの地域において関心度が高まっていて、被害を受けてから時間が経っているエリアや被害を受けていないエリアでは、災害に対する意識が薄い傾向にあることが分かった。
- ハザードマップをチェックし、被害想定区域や避難場所を把握しておくと安心。
2018年の7~9月には西日本の豪雨や北海道の地震、近畿地方に襲来した台風21号など、自然災害が相次いで発生しました。入居・購入希望者が住まい探しをする上で災害リスクへの関心は高まっているのでしょうか。
今回はその現状について、仲介業に携わっている不動産店の経営者層にとったアンケート結果を見ながら確認していきたいと思います。
入居・購入希望者からの災害に関する質問頻度は「増えた(11%)、「やや増えた」(33%)、「変わらない」(54%)という結果。大阪府・兵庫県・広島県では「増えた」、「やや増えた」の合計が高い傾向
入居・購入希望者からの「災害リスク」に関する質問頻度(n=1,219・単一回答)
エリア別比率(単一回答)
「災害リスク」に関して以前より増えたと感じる質問内容(複数回答)
全体では、「増えた」(11%)、「やや増えた」(33%)、「変わらない」(54%)という結果となり、約半数が「変わらない」
という回答でした。エリア別に見てみると、2018年に災害が発生した大阪府・兵庫県・広島県などの西日本エリアでは、「増えた」、「やや増えた」の合計が60%を超えているという結果が出ています。実際に被災したエリアとそうでないエリアの差が顕著に現れている結果となりました。
また、南海トラフ地震の影響を大きく受けると言われている静岡県や愛知県の「増えた」、「やや増えた」の合計の高さも目立っています。
「災害リスク」に関して以前より増えたと感じる質問内容については、「洪水・浸水」が最も多い結果となり、「地震・津波」や「建物構造」を上回っていました。
入居・購入希望者に向けた「災害リスク」についての説明方法で最も多かったのは「自治体提供資料」
入居・購入希望者に向けた「災害リスク」についての説明方法(複数回答)
エリア別比率(複数回答)
入居・購入希望者に向けた「災害リスク」についての説明方法として、最も使われているのは自治体が編集・発行している資料という結果でした。
エリア別に見てみると、宮城県では自治体資料で説明する割合と口頭で説明する割合が半々という結果になっています。また、「東日本大震災より7年が経過し、防災の意識は薄れつつある。3月頃、地震保険付帯を外してほしいというお客さまがいた」など、東日本震災からの時間の経過を感じさせるコメントがいくつか寄せられたようです。
快適かつ安心・安全な住まいを
今回の調査結果では、災害を受けたばかりの地域において関心度が高まっていて、被害を受けてから時間が経っているエリアや被害を受けていないエリアでは、災害に対する意識が薄い傾向にあることが分かりました。
災害はないに越したことはありませんが、備えておくことは必要です。住まいを選ぶ際には、地盤の強弱や浸水しにくいエリアかどうかという点は知っておくと安心でしょう。各自治体では、ハザードマップといって被害想定区域や避難場所などを表示した地図を作成しホームページなどで公開しています。ハザードマップは、災害の種類別に作られているのでそれぞれをチェックし、総合的にそのエリアの特性を把握しておくといいでしょう。また、そこに住むことになったら、避難場所についても確認しておくと安心です。
マイホーム購入時は、物件そのものに目が行ってしまいがちですが、こういった点も質問し、快適さと安心・安全を手に入れてください。
※各自治体のハザードマップは、「国土交通省ハザードマップポータルサイト」からもチェックできます。
https://disaportal.gsi.go.jp/
調査概要「地場の不動産仲介業における景況感調査(2018年7~9月期)
調査方法・・・インターネットによるアンケート調査
対象・・・宮城県、首都圏(1都3県)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の12都府県のアットホーム全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて仲介業に携わっている不動産店の経営者層
調査期間・・・2018年9月13日 木曜日~9月30日 日曜日
※小数点第2位を四捨五入しているため、合計100%にならない場合があります