【シリーズ連載】親子で暮らす?近くに住む?二世帯住宅と近居を考える(第一話「二世帯住宅の基本編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.28

この記事の概要

  • 二世帯住宅は大きく分けて3つのタイプがある。どのタイプにするかは、それぞれのライフスタイルなども加味してしっかり話し合って決めることが大切。
  • 一緒に住むことで共助できるメリットはあるが、干渉のし過ぎには注意。相手の立場を考えながら、つかず離れずの関係を保つように意識するとよい。
  • 同居でなく近居という選択もある。長男と別々に暮らす親世代を対象としたアンケートでは、同居よりも近居を望む割合が高い傾向。また、子世代の生活を大切にしたいという思いから、4割強が同居も近居も望まないという結果に。

第1話 二世帯住宅の基本編

【Aさん・Bさん親子】
親のこれからについて、心配するようになってきた共働き夫婦のAさん。結婚後は電話やメールで連絡を取り合っていたが、最近子どもができたことで親との同居や近居を検討中。親世帯のBさんは、子育てがひと段落して夫婦水入らずの生活を送っていたものの、息子夫婦のこれからを考えて、できる限り協力したいと考えている。

二世帯住宅のプランはさまざま

ひとくちに「二世帯住宅」といってもそのプランはさまざまです。下記のように大きく3つに分けられますが、大切なのはそれぞれが快適に過ごせるようにしっかりと話し合っておくこと。ライフスタイルの違いがあるのは当然ですから、お互いに理解するところから始めるといいでしょう。また、兄弟姉妹がいる場合は相続時にトラブルに発展しないよう、同居する子が相続後も住み続けることについて同意を得ておくことも大切です。

二世帯住宅 プランの種類

●完全分離型

玄関・設備などすべてが完全に分かれているタイプ。それぞれの世帯で生活時間が大きく異なる場合に向いている。

●一部共用型

玄関はひとつで、室内が分かれているタイプ。スペースなどの関係で完全分離ができないケースに向いている。

●完全同居型

玄関も設備も共有するタイプ。スペースにゆとりがない、食事を一緒にすることが多い場合などに向いている。

同居のメリット・デメリット

同居のメリットとしては、子は高齢になった親の生活を近くで見守れるという点があげられます。子育て中であれば、親から育児面でサポートを受けられるというのも心強いでしょう。親も子が近くにいることで『何かあったときはすぐに来てもらえる』というような安心感が得られます。一方、互いのプライバシーやライフスタイルを尊重しないとうまくいかないのも事実。近くにいる時間が長くなると気になることが増えるのは仕方がありませんが、過干渉になればなるほど日々の生活が窮屈になってしまうものです。『困ったときには助け合い、普段は互いの生活に深く干渉しない』ということが気持ちよく過ごしていける秘訣といえます。相手の立場を考えながら、つかず離れずの関係を保つように意識するといいでしょう。

同居でなく近居という選択も

親のことは心配でも、なかなか同居に踏み切れないという場合は近居という選択もあります。ここでは、アットホーム株式会社が行った「長男にUターンして欲しいか」調査をもとに、持ち家の跡継ぎの対象として見られやすい“長男”に対して、親がどのように思っているかを紹介します。

Q.長男と、将来同居したいと思いますか?
(対象:618名、有効回答:618名)

男女別 長男と将来同居したいか否か

Q.長男と、将来、同居ではなく“近居”をしたいと思いますか?
(対象:将来長男と“同居したいと思わない”人 511名、有効回答:511名)

男女別 長男と将来近居したいか否か

長男と将来“同居したいか”を聞いたところ“したい”人は 17.3%という結果となりました。男女別に見てみると男性が女性のポイントを約 10 ポイント上回っており、男性の方が実家に戻って家を継いで欲しいといった思いが強い傾向にあるようです。“同居したいと思わない”人に“近居”をしたいかを聞いたところ、43.8%の人が“したい”という回答。近居の場合は女性の方が男性を 14 ポイント上回っており、女性はある程度は近いところに住みたいという思いがあることが分かりました。

同居も近居も考えていないという人は287名いましたが、その理由で最も多かったのが「長男やその家族に気を遣うのが嫌」というもの。「長男の自由にさせてあげたい」「長男の仕事の都合もある」といった回答もあがっており、長男を気遣う声が多数という結果になりました。

自分たちに合った選択を

現代のシニア世代は、子世代の生活を大切にしたいという思いもあって、共助するにしても同居より近居を望む傾向にあるようです。それぞれがずっと仲良くやっていくためにはどのような方法がベストかを考えて、同居や近居を検討するとよいでしょう。

調査概要 「長男にUターンして欲しいか」調査

調査方法……インターネットによるアンケート調査
対象……東京で働く長男を持つ、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県以外のエリアに住む 40 歳以上の男女 618 名。
現在長男とは同居しておらず、かつ長男と同じ都道府県に住んでいない人。
調査期間……2018年2月26日 月曜日~2月27日 火曜日

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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