【シリーズ連載】初めての不動産購入(第三話「不動産会社活用術編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.5

第3話 不動産会社活用術編

【Aさん夫婦】
結婚3年目のA夫婦。夫は29歳、妻は27歳。世帯年収は700万円程度で、現在は1LDK・家賃8万円の賃貸アパートに居住している。第2話「資金計画編」で初めての不動産購入を決断した2人。金額が大きく初めての購入となることもあって、不動産のプロのサポートを受けながら購入を進めたい様子です。しかし、不動産会社といってもどこでもいいわけではありません。不安を安心に変えてくれる不動産会社が一番ですし、そのためには不動産会社と円滑なコミュニケーションを交わすことが欠かせません。そこで今回は、購入者アンケートや不動産会社へのアンケートからポイントを考えてみたいと思います。

購入者アンケートから見る「不動産会社に満足した理由」

Q.問合せた不動産会社の対応について満足だったこと・不満だったことは?(複数回答)(n=71)※上位10位まで表示(その他、特になしは除く)

満足だったこと 割合 不満だったこと 割合
問合せに対するレスポンスが
早かった
66.2 契約の意思決定を急かされた 18.3
言葉遣いや対応が丁寧だった 56.3 問合せ後の営業がしつこかった 11.3
内見をさせてくれた 45.1 問合せをしたら、「その物件はもうない」と言われた 9.9
こちらの都合を配慮してくれた 40.8 言葉遣いや対応が気に障った 9.9
物件まで同行してくれた 40.8 物件や不動産に詳しくなかった 9.9
物件の提案や追加の連絡などをしてくれた 39.4 問合せへの回答が的を射ていなかった 8.5
物件や不動産に詳しかった 36.6 物件の提案や追加の連絡などがなかった 7.0
問合せへの回答が的を射ていた 29.6 問合せをしていない(希望していない)物件を必要以上にすすめられた 5.6
契約の意思決定をこちらのペースに合わせてくれた 26.8 問合せをしたら返答が遅かった 4.2
問合せした物件よりいい物件を紹介してくれた 7.0 内見を断られた 4.2

まずは不動産会社の選び方から考えてみましょう。不動産情報サイト事業者連絡協議会が一般消費者向けに実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」によれば、売買の際、不動産会社に満足だったこととして、「問合せに対するレスポンスが早かった」、「言葉遣いや対応が丁寧だった」、「内見をさせてくれた」など、スタッフの細やかな心遣いが見られる回答が上位にきています。一方、「契約の意思決定を急かされた」、「問合せ後の営業がしつこかった」、「問合せをしたら、『その物件はもうない』と言われた」など、営業スタッフの自分本位な態度が不満だったこととしての割合が高くなっています。不動産の購入は、ほとんどの方にとって一生に一度のビッグイベント。大きなお金が動くため、不安や心配も多いことでしょう。そのような中、親身かつスピーディーに対応してくれるスタッフが好感を持たれるようです。

不動産会社に対して、「強引なセールスをされるのではないか」と疑心暗鬼になっている方もいらっしゃるようですが、そういった点を解消してくれるような購入者に寄り添った対応が、満足した理由として結果に表れているのかもしれません。これらの結果から、不動産会社を選ぶ際には、スタッフの対応力やスピーディーな情報提供力が重要なポイントになると言えるでしょう。不明な点に対して、親身に相談に乗り、適切なタイミングで回答をしてくれるスタッフであれば安心して任せることができます。また、単に物件情報を提供するだけでなく、物件のメリット・デメリットを説明してくれたり、足を使って収集した周辺環境の情報を教えてくれたりなど、知識や経験を生かした情報を提供してくれるかどうかも重要です。「不動産のプロ」と巡り合えるかが不動産購入の成否を決めるポイントと言っても過言ではありません。

不動産会社のホームページで確認するポイント

<スタッフ紹介ページ>

ホームページにスタッフ紹介ページを用意している不動産会社もあります。顔写真や自己紹介文、取得している資格などを見て、不動産会社選定の参考にするのもいいのかもしれません。

<ホームページの情報量・質に注目する>

「物件情報を探す際に重要だと思う情報は?」の問いに対しては、「物件外観の写真」、「居室/リビングの写真」、「キッチンの写真」などが上位に並んでいます。これらの情報、コンテンツの質・量を確認することで、不動産会社の情報力をチェックしてみるといいでしょう。

Q.物件情報を探す際に重要だと思う情報は?(複数回答5つまで、上位10位までを表示)(n=77)

必要だと思う情報 割合
物件外観の写真 77.9
居室/リビングの写真 75.3
キッチンの写真 54.5
物件の設備・構造・条件に関する文字情報 50.6
バスの写真 40.3
トイレの写真 29.9
物件の室内の動画 23.4
部屋からの眺望の写真 19.5
玄関の写真 14.3
物件の周辺施設に関する文字情報 14.3

<会社紹介ページ>

会社紹介のページには宅地建物取引業者の免許番号が記載されています。

例)みずほ不動産販売株式会社宅建免許番号
国土交通大臣(9)第3529号


( )内の数字は宅建免許の更新回数です。5年おき(1996年3月31日までは3年に一回)に更新が必要で、同社の場合、9回更新していることがわかります。数字が大きければ大きいほど、営業年数が長く、多くの実績をあげてきたとも考えられるので、信用度の指標として参考にしてみるのもいいでしょう。また、宅建業免許には「都道府県知事免許」と「国土交通大臣免許」の2種類があります。都道府県知事免許は営業所が1つの都道府県内にのみ存在する場合に必要で、都道府県知事が発行。そして、国土交通大臣免許は複数の都道府県に営業所がある場合に必要となり、国土交通大臣が発行します。つまり、国土交通大臣免許を取得しているのは、様々な都道府県で営業をしている不動産会社となるため、幅広いネットワークを生かした提案が受けられるというメリットがあると言えます。

不動産会社が考える顧客との良好なコミュニケーション

絞り込んだ不動産会社と良好な関係を築くためにはどうすれば良いのでしょうか?athomeVOXが同社の加盟店に調査した「不動産店といいお付き合いをするためのコツ」から、不動産会社の声をご紹介します。

<アポイントは忘れずに!>

「事前に連絡をしていただけると、希望条件の物件を調べておいたり、事前に調査することができるので助かります」

<物件検討の時に注意してほしいこと>

「ネットの情報だけで判断しないこと。ご自分の希望に合うかをネットの情報だけに頼りすぎている方が多いように感じます」
「自分で調べて耳年増にならずに、担当者の経験や実績に基づいた話を素直に聞くことがポイントだと思います」

<信頼関係を作るコツ>

「こまめに連絡を取り合うことが大切なので、少しでも疑問点があれば何でも相談していただければと思います」
「飛込みで来店をしても、当日物件が決まる可能性は低いです。ヒアリングにはある程度時間をかけて、本当にお客さまが望む物件を精査してご紹介する方が、妥協点が減ると思います」

納得のいく住まい探しには、良好なコミュニケーションを築くことが大切

お客さまと不動産会社のスタッフというそれぞれの立場はありますが、お互い感情を持つ人間であることは忘れてはいけない点です。どんな立場であっても人としての気遣いを忘れずに不動産会社のスタッフと接することで、より関係が深まっていくことが分かるアンケート結果と言えます。不動産会社のスタッフと良好なコミュニケーションを築き、納得できる住まいを探しましょう。

調査概要
不動産情報サイト利用者意識アンケート

調査方法…不動産情報サイト事業者連絡協議会サイト、会員サイト、不動産情報サイト上で行ったオープン型調査
紹介したアンケート結果の対象…過去1年のうちにインターネットで自身が住む住まいを購入するために不動産物件情報を調べた(調べている)人の中で、物件を「契約した人」

調査期間…2023年3月16日~6月19日の91日間

調査概要
良質物件をゲットするには不動産店と積極的にコミュニケーションすべし!~*at home VOX 調べ

調査方法…インターネットリサーチ

対象…全国のアットホーム加盟・利用不動産店約53,000店のうち215店

調査期間…2016年3月

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 2024年9月17日本編更新時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討いただく際の考え方の一例です。

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