
マンションを購入したい! そんな思いからマンションの広告を見たり、インターネットで検索したりしている方は多いと思います。さまざまな希望条件から物件を絞っていきますが、その中で重要なポイントはなんといっても価格でしょう。
価格を見る際に注意したいのは、広告に表示されているのは、基本的に物件代金だけだということです。それ以外にさまざまな費用がかかることを覚えておきましょう。住宅を買うのは初めてでも、自動車を購入したことがあるという方も多いと思います。その際に「諸費用」と呼ばれる費用がかかったケースが多いはずです。それと同じことです。
ただし、住宅は自動車と比べても価格自体が高額ですから諸費用もそれなりにかかります。それを最初から考えておかないと資金が用意できずに、その物件をあきらめることになったり、無理して購入したとしても、せっかくの新居で厳しい節約生活を余儀なくされたりしれかねません。
住宅購入にはほとんどの方が住宅ローンを利用します。その金利によって住宅ローンの借入限度額と返済総額は変わってきます。つまり、住宅購入にかかる総費用は「物件価格+諸費用+住宅ローン利息」ということになります。本記事では諸費用を説明します。諸費用は原則現金での支払いとなるため、資金計画に直結します。無理のない購入計画とするためにも、諸費用がどのようなものかを正しく理解しましょう。
4000万円の物件の諸費用をシミュレーション
上記の表では、諸費用をイメージできない方もいらっしゃるかもしれません。実際に物件代金4000万円の中古マンションを例に、諸費用がどのくらい掛かるか確認してみましょう。ただし、諸費用は物件代金だけなく、マンションの築年数、住宅ローン借入額、固定資産税評価額などによって変わってきます。同じ4000万円の物件でもそうした条件により諸費用は異なります。ですから、この計算は下記の試算条件によるモデルケースと考えてください。
【試算条件】
- 中古マンション 築年数:20年、専有面積:80.00㎡ 自己居住用
- 物件価格:4000万円(建物価格2500万円、消費税200万円、土地価格1300万円)
- 住宅ローン借入予定額:3800万円(民間住宅ローン利用 期間35年)
- 固定資産税評価額:2000万円(土地1200万円、建物800万円)
- 固定資産税・都市計画税の年額:17.6万円
- 固定資産税(土地分):評価額1200万円×1/6(小規模宅地特例)×1.4%=2.8万円
(建物分):評価額800万円×1.4%=11.2万円
- 都市計画税(土地分):評価額1200万円×1/3(小規模宅地特例)×0.3%=1.2万円
(建物分):評価額800万円×0.3%=2.4万円
- 管理費、修繕積立金等の月額合計は3万円
- 引き渡し日:7月1日(売主:買主の負担が1:1)
主な諸費用例
項目 |
概要 |
購入時点で必要な費用 |
仲介手数料 |
129.6万円 |
3800万円(税抜価格)×3.3%+6.6万円
※売買代金が400万円以上の場合(消費税を含む) |
ローン事務手数料 |
3.24万円 |
金融機関の標準的な手数料 |
ローン保証料 |
79万円 |
期間35年 借入額3800万円 |
司法書士費用 |
12万円 |
司法書士、ケースにより異なります |
団体信用生命保険料 |
― |
このモデルケースは金融機関が負担
フラット35の場合は任意加入(保険料(特約料)の負担あり) |
火災保険料・地震保険料 |
13.3万円 |
A社の火災・家財10年(地震5年)一括、ワイドコース
※家財は800万(地震400万) |
固定資産税等の清算金 |
8.8万円 |
7月1日~12月31日
※起算日1月1日の場合 |
管理費・修繕積立金等の清算金 |
6万円 |
7月分、8月分を対象とした場合 |
印紙税 |
3万円 |
不動産売買契約書1万円、ローン契約書2万円
(軽減税率適用) |
登録免許税(所有権移転登記) |
20.4万円 |
土地評価額×1.5% 建物評価額×0.3%
(軽減税率適用) |
登録免許税(抵当権設定登記) |
3.8万円 |
住宅ローン借入額3800万円×0.1% |
不動産取得税 |
― |
軽減の特例を適用 |
合計 |
約280万円 |
|
どうですか? 概算ですが約280万円、物件価格の約7%になりました。これに加えて、新居への引越費用が必要です。さらにせっかくの新居ですから、家具やインテリア(カーテンなど)も新調したいもの。中古マンション・戸建てならば、キッチンや冷暖房などのリフォーム費用も考えておく必要があるでしょう。つまり、新しい生活のスタートには、物件価格の10%程度は覚悟して資金計画を立てなくてはならないことがお分かりいただけたかと思います。
購入後には、毎月の住宅ローンのほか、固定資産税や都市計画税等の税金など、賃貸住宅生活にはない支出も生じます。マンションなら修繕積立金、戸建てなら維持管理や将来のリフォーム費用も見ておく必要があります。ライフプランに合わせた長期的な資金計画も欠かせないのです。住宅購入にかかる全体費用のイメージをつかみ、無理のない購入計画で新居での生活を楽しんでください。