初めての住宅購入 頭金はどのくらい必要?

初めての不動産購入で知っておきたいこと vol.1

更新日:2024.04.15

初めての住宅購入 頭金はどのくらい必要?

「結婚を機に、住宅購入を検討したい」、「子どもが小学校にあがるタイミングに合わせて、マイホームが欲しい」と考えて、インターネットで物件情報を検索したり、ポストに投函されている折り込みチラシのチェックを始めたりしている方もいらっしゃるでしょう。様々な物件を見ていると、マイホームへの夢は膨らみますが、価格を見ると数千万円~億越えのものばかりで支払いに不安を感じて、なかなか先に進めないというお話を聞くことがあります。
今回は、住宅にまつわるお金の中でも、頭金にスポットを当ててみていきましょう。

頭金は2割用意?!

「頭金は物件価格の2割を用意しておくこと」。住宅購入に関する記事を読んで、このようなフレーズを見たことがあるという方もいらっしゃると思います。これは、以前はほとんどの融資割合の限度が物件価格の8割までだったからです。つまり“残りの2割を頭金として用意しておかないと、融資を受けることが難しかった”ということになります。しかし、民間では融資限度額が物件価格の9割以上や100%OKのところも増えてきていますし、フラット35においても100%融資可能なケースがあります。さらに、別途かかる購入時の諸費用についてもローンが組めるなど、住宅購入時の自己資金についてはハードルが低くなっているのが実情です。
では、実際住宅を購入した方はどのくらいの頭金を用意しているのでしょうか。
住宅金融公庫の「フラット35利用者調査」(2022年度(※))では、下記のような結果が全国平均値として出ています。

※<2022年4月~2023年3月>に機構が買取りまたは保険付保の承認を行ったフラット35案件<借換えに係るものを除く51,142件>について集計

物件種目 頭金 物件価格に対する頭金の割合
注文住宅 641.2万円 17.3%
土地付き注文住宅 449.6万円 9.6%
建売住宅 317.7万円 8.5%
新築マンション 987.8万円 20.4%
中古戸建 274.3万円 10.1%
中古マンション 528.9万円 16.8%

頭金は2割用意?!物件種目によっても異なりますが、頭金の割合は9.6~20.4%となっており、1~2割程度を頭金とするのが平均的というのが分かります。中でも、注文住宅や新築マンションが高い水準です。
なお、頭金の額は全種目で前年度より上がっています。物件価格の上昇に合わせて頭金の額も増えているようです。

頭金別、返済負担の違い

ここでは、頭金の割合や返済負担を試算表とあわせて見てみることにしましょう。

■試算表:頭金の割合別 返済負担額
(物件価格4,000万円・金利1.7%・返済期間35年・ボーナス返済なし)

頭金の割合 返済額※概算
年(※) 総額(※)
0% 12.6万円 151万円 5,310万円
10% 11.3万円 136万円 4,779万円
20% 10万円 121万円 4,248万円
  • ※頭金の割合で比較している表のため、それ以外の条件は同一としています。実際はお借入時の金利が適用となり、お借入れの条件によっても金利は異なりますのでご注意ください。
  • ※上記返済額は概算値です。返済額の「年」「総額」は1,000円未満の端数を切り捨てて表示しています。

物件価格4,000万円・金利1.7%・返済期間35年・ボーナス返済なしの場合、頭金がゼロで住宅ローンを組んだケースでは、月々の返済額は約12万円です。表をみると、頭金の割合が1割、2割と増えるほど約1万円ずつ月々の返済額が減っているのがお分かりになると思います。しかし、このように月々では数万円の差と思っていても、この差は、返済期間が長くなるほど総額に影響してきます。よって、長期の返済を考えている人ほど、頭金の割合を多めに設定しておくことによる効果を感じることができるといえます。

年収によって考えるポイントは異なる

現在まとまった頭金がなくても、収入(月収、年収とも)が安定していて、かつ高めであれば、月々の返済額をアップして今すぐ欲しい物件を購入するという考え方もあります。一般的に返済負担率は年収の30~35%以内に収めるのが理想的といわれていますので、その範囲内でしっかり返済していけるのであれば、自己資金がなくても今が買い時と判断していいかもしれません。しかし、あまりギリギリのラインで組んでしまうと、状況の変化によって、返済が困難になってしまう可能性があります。お子さまの進学、留学など今後のライフスタイルの変化なども想定しつつ、慎重に検討しましょう。

年収によって考えるポイントは異なる

無理のない資金計画を

無理のない資金計画をマイホームを手に入れても日々の生活が苦しくなっては意味がありません。本来マイホームでの暮らしはゆったりと豊かであるべきもの。どのようなケースでも無理のない返済となるように、資金計画を立てていきましょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

バックナンバー

おすすめ・関連記事