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2019年度税制改正大綱、住宅ローン減税延長へ

税制改正大綱に関するトピックス

公開日:2019年1月31日

この記事の概要

  •  2018年12月21日、2019年度の税制改正の大綱が閣議決定されました。1~2月にそれに沿った税制改正法律案が国会に提出され、審議されます。そして3月、法律案が成立し、公布されて、4月1日に施行されるのが一般的なスケジュールです。政府案で明らかになった住まいに関連する大綱のポイントを説明します。(本記事は2019年1月11日時点の情報であり、今後変更となる場合があります。)

税制改正のイメージ図

2018年12月21日に2019年度の税制改正の大綱が閣議決定されました。その中に盛り込まれた、住まいの取得、売却、そして相続に関する重要ポイントをそれぞれ紹介します。

住宅ローン減税の延長で消費税アップ分を相殺できる?

まずは住まいの取得に関する重要ポイントです。2019年10月1日から消費税が10%にアップすることは規定路線です。政府は増税後の消費停滞や景気の冷え込み等を抑える政策を打ち出しています。税制改正大綱にも、それが盛り込まれました。住まいの購入は景気への影響が大きいため、優遇措置が実施される見通しです。具体的には「住宅ローン減税」が延長されそうです。

住宅購入者の多くは住宅ローンを利用します。その残高に応じて、年末調整や確定申告を通じて毎年の所得税などから還付されるのが住宅ローン減税です。その減税期間は、これまで10年でしたが、13年へと3年延長することが大綱に盛り込まれました。

対象となるのは、消費税の増税実施される2019年10月1日から2020年12月末日までの間に住宅を購入し、入居するケースです。注文住宅は契約から引き渡しまで時間がかかることから、2019年4月1日以降の契約から減税対象になります。ただし引き渡しは増税後の2019年10月1日以降であることが条件ですから注意が必要です。

減税期間だけでなく、減税額も増えるケースが出てきます。ローン残高の上限がこれまで一律4000万円(最大減税額は年40万円×10年=10年間で400万円)でしたが、新たに長期優良住宅や低炭素住宅などの高品質な住宅を「認定住宅」として、最大5000万円(同年50万円×10年=500万円)へと増額されるからです。

減税額は、10年目までは住宅ローン残高の1%というのは、従来の計算方法と変わりません。ただし延長される11年目から13年目については計算方法が変わり、①建物価格の2%を3等分した金額、②住宅ローン残高の1%のどちらか少ない方の額が減税額となります。「建物価格の2%を3等分した金額」とはややこしい言い回しですが、要は3年間で建物価格の2%を還付するということです。住宅購入の際にかかる消費税は建物分だけですから、この減税拡充分をフルに活用できる方は、2019年の増税分2%を相殺できることになります。

税制改正大綱に盛り込まれたわけではありませんが、住宅ローン減税の延長の関連トピックとして「すまい給付金」も支給要件が拡充されたこともチェックしておきましょう。すまい給付金制度は、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、住宅取得者の負担緩和のために創設されました。住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。それをカバーするために、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、現金を支給するのがすまい給付金制度です。

2019年10月からの10%への増税に合わせて、支給要件が拡充されます。消費税率8%時は、年収目安が510万円以下の住宅購入者を対象に、最大30万円を給付する仕組みでしたが、税率が10%に移行した後は、給付対象者が年収目安775万円以下の住宅購入者に、最大50万円を給付する仕組みへと拡充されます(給付に各種要件があります)。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の延長と拡充

次に住まいの売却に関する重要ポイントです。親の遺産として住宅を相続された方が、現住所と離れているなどの理由から、空き家として放置するケースが目立っています。そこで国は、空き家を不動産として利活用させやすいよう、所有者が売却しやすくなるよう、譲渡所得に対して「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を設けています。これは、相続や遺贈により取得した家屋や敷地等を売却した場合、一定の要件に当てはまれば譲渡所得から最高3000万円まで控除することができるというものです。

この特例を適用するためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 相続開始直前、被相続人(親など)が1人で住んでいたこと
  • 昭和56年5月31日以前に建築された、いわゆる「旧耐震基準」の家屋(区分所有家屋を除く)
  • 家屋を取り壊さずに譲渡する場合にはその家屋が新耐震基準に適合するものであること
  • 相続した時から譲渡時まで、事業や貸付、居住等に使用していないこ
  • 譲渡価額が1億円以下であること
  • 相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること

現状では、この特例の適用時期は2019年12月31日までに譲渡することとなっていますが、それを4年間延長することが大綱に盛り込まれました。また、従来は被相続人が老人ホームなどに入所していた場合、適用できませんでしたが、今回、一定の条件を満たせば適用可能になることが大綱にうたわれていますから、より使いやすくなりそうです。

「配偶者居住権」の算定方法が明確に

最後は、相続に関する重要ポイントです。2018年7月に民法の規定が40年ぶりに改正され、2019年から順次「改正民法」として施行されます。相続に関する規定も大きく変わり、2020年4月1日に施行する規定の中に「配偶者居住権」が登場します。これは「配偶者が引き続き自宅に住み続けられる権利」といえます。

配偶者居住権とは、被相続人の所有する住宅に住んでいた配偶者が原則として亡くなるまでの間、引き続きその住宅に住み続けられる権利で、いわゆる「利用権」のひとつです。新しい規定では、住居の資産価値を大きく「所有権」と「居住権」とに分け、亡くなった方の配偶者が居住権を使って引き続きその家に住まうというものです。

ただ、配偶者居住権を活用するかどうかは、税務上の取り扱いが判明しないと判断できませんでした。中でも評価額の算定方法がポイントでした。それが税制改正大綱で明らかになったのです。評価額は、土地や建物に分けられ、相続税評価額や残存耐用年数などによって算出する方法を明示しています。計算方法は少し難しいので、専門家によるアドバイスを受けることをお勧めします。

税制改正大綱は、今後、国会の審議などを経るので、3月の成立まで多少の見直しが考えられます。大筋は変わることはないと思われますが、関係する方は注意を払いましょう。

執筆

谷内信彦(たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

監修

東京シティ税理士事務所

不動産を所有する方の相続と不動産税務を専門とする税理士事務所。35年の歴史を持ち、20人以上の税理士が所属。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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