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住まいの満足度が高いのは賃貸?持ち家?

住まいに関する調査の分析

公開日:2020年3月30日

この記事の概要

  • 国土交通省は、5年に一度、「住生活総合調査」を実施しています。その最新データである2018年調査の結果が1月に発表されました。住宅及び居住環境に関しての満足度は、過去最高に高くなっています。持ち家と借家では、住居に関する満足において持ち家の方が高い傾向があります。住宅ローンの家計への影響が少なくなっていることも読み取れます。

2020年4月の民法改正による、住宅建築契約への影響とは?

国土交通省は2020年1月、「平成30年(2018年)住生活総合調査」の速報集計を発表しました。同調査は、住宅や居住環境に対する評価などを調査して住宅政策の基礎的資料にするため、5年に1回実施されています。最新データから読み取れる日本人の住宅及び居住環境に関する意識を紹介します。

持ち家は不満が2割以下、借家は3割以上

まず、住宅及び居住環境の満足度。「満足」と「やや満足」の合計(満足率)は78.0%で、調査開始(1983年)以来、最高になりました(図1)。一方「不満」と「やや不満」の合計(不満率)は21.5%で調査開始以来、もっとも低くなりました。1983年調査の満足率は60%、不満率は38.4%でしたから、35年間で、日本人の住まいに関する満足度は大幅に改善しています。

図1 住宅及び居住環境に対する総合的評価の推移

図1 住宅及び居住環境に対する総合的評価の推移

住宅と居住環境に分けて満足度を見ると、改善が顕著なのは住宅です。住宅に関してもっとも不満率が高かったのはバブル期の1988年で、51.5%と半数を超えていました(図2)。それが今回の調査では23.1%で半分以下になっています。それに対して、居住環境は、もっとも不満率が高かった1998年の35.8%に対して、2018年も27.8%ですから2割程度しか減っていません(図3)。

図2 住宅に関する評価の推移

図2 住宅に関する評価の推移

図3 居住環境に対する評価の推移

図3 居住環境に対する評価の推移

次に持ち家と借家(賃貸住宅)で、満足度を比較してみましょう。2018年の持ち家の満足率は80.4%、不満率は18.8%。一方の同年の借家の満足率は66.5%、不満率は33.1%でした(図4、図5)。過去のデータで、もっとも不満率が高かったのは持ち家が45.0%、借家が64.1%(ともに1988年)。それからの改善は借家の方が著しいのですが、借家ではいまだ、3人に1人が住宅に不満を感じていることになります。住宅に関する満足度では「持ち家派」が優勢のようです。

図4 持ち家の住宅に対する評価の推移

図4 持ち家の住宅に対する評価の推移

図5 借家の住宅に関する評価の推移

図5 借家の住宅に関する評価の推移

「住宅ローンのある持ち家」でも、負担感は軽くなる

ただ、いくら持ち家の満足度が高くても、住居費の負担感が強ければ問題です。「住宅ローンのある持ち家」と「借家」で住居費の負担感に違いはあるのでしょうか。

2018年で「住宅ローンのある持ち家」で、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」という回答は5%、「ぜいたくはできないが何とかやっていける」という回答がもっとも多く53.8%でした(図6)。「生活必需品を切りつめるほど苦しい」は2008年調査では11.7%、2013年でも8.8%もありましたが、2018年ではかなり減りました。一方「家計にあまり影響がない」という回答が2013年(10.3%)の2倍近い19.4%にまで増えています。低金利が続いている影響もあるのか、住宅ローンある持ち家の住居費の負担感は、近年、かなり軽くなっています。

図6 住宅ローンのある持ち家の住居費負担評価の推移

図6 住宅ローンのある持ち家の住居費負担評価の推移

2018年「借家」の場合、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」という回答は8.1%(図7)。「住宅ローンのある持ち家」よりも3.1ポイント高くなっています。過去の結果と比較すると減少傾向ですが、「住宅ローンのある持ち家」よりは高止まりしています。「ぜいたくはできないが何とかやっていける」という回答は52.1%で、2013年よりも3ポイントも増えていることも含めて借家の場合の住居費負担感は、大きくは変わっていないことが読み取れます。

図7 借家の住居費負担評価の推移

図7 借家の住居費負担評価の推移

2018年の「住宅ローンのある持ち家」と「借家」の住居費負担に対する評価を比較すると、「生活を切りつめるほど苦しい」が「借家」のほうが多少比率が高い程度で、ほぼ同様の傾向であることが読み取れます。住宅ローンと家賃の支払いで住居費の負担感はあまり変わらないようです。

住み替えをした目的は「通勤・通学の利便」がトップ

最近5年間に実施した住み替えの目的では、「通勤・通学の利便」が35.9%でトップでした。この選択肢は、2013年調査では13.3%で、それ以前も9~14%の範囲内に収まっていましたが、今回大幅に増加しました(図8)。

2番目に多かったのは「広さや部屋数」(21.8%)でした。こちらは1993年の33.4%から減少傾向にあり、2013年調査では17.7%にまで減少していましたが、2018年調査では増加しました。それ以外に2013年調査から増加傾向が見られるのは「住居費負担の軽減」と「日常の買物、医療などの利便」。前者は、7.7%から13.5%に、後者は2.2%から10.5%に増えています。

図8 最近5年間に実施した住み替えの目的(複数回答、主なもの)

図8 最近5年間に実施した住み替えの目的(複数回答、主なもの)

※最近5年間に住み替えをした世帯に対して、その目的を1998年調査以前は3つまで、2003年調査以降は2つまで選択。2018年において選択した世帯が10%以上の9項目に関して経年変化を表示。

一方、今後の5年以内に住み替え意向を持つ世帯に対して、その目的を聞いたところ、一番多かったのは「広さや部屋数」(42.3%)。2番目が「使いやすさの向上」(31.9%)、3番目が「新しさ・きれいさ」(27.4%)、4番目が「性能の向上(断熱性・省エネ性など)」(22.7%)の順でした。「通勤・通学の利便」(20.3%)は6番目。最近5年の目的とはかなり違った傾向になっています(図9)。

図9 住み替え検討世帯と住み替え実施世帯の目的

図9 住み替え検討世帯と住み替え実施世帯の目的

今回の調査結果から読み取れるのは、当たり前のことかもしれませんが、やはり持ち家の方が住宅としての満足度は高いこと。そして、住宅ローンの家計に与える影響は低くなっていることです。住み替えの目的は様々かもしれませんが、満足度向上につながる住宅購入を改めて検討してもいいのではないでしょうか。

執筆

日経BPコンサルティング

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年3月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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