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全国主要都市100地区の地価動向~地価LOOKレポートから~

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 9月号

この記事の概要

  • 国土交通省の「地価LOOKレポート※1(2021年1月1日~4月1日)」によると、全国100地区のうち上昇(0%超上昇。以下、同じ)地区は前回から13地区増加し28地区となる一方、下落(0%超下落。以下、同じ)地区は11地区減少し27地区となるなど、地価の回復傾向が進んでいる。
  • 圏域別※2では、東京圏は住宅系4地区が横ばいから上昇に転じるなど回復基調であるが、商業系地区は住宅系地区に比べ回復は穏やかである。名古屋圏は上昇地区が67%を占めるなど回復が顕著である。

全国の地価は、住宅系地区で上昇地区が増加、商業系地区は横ばい・上昇に転じる地区がみられるなど回復傾向

国土交通省が主要都市の高度利用地等を対象として四半期ごとに公表する地価LOOKレポート(2021年第1四半期:1/1~4/1)によると、 全国100地区中、上昇地区は前回(2020年第4四半期)から13地区増加し28地区、横ばい地区は2地区減少し45地区、下落地区は11地区減少し27地区となり、地価の回復傾向が進んでいる。国土交通省によると、住宅地ではマンションの販売状況が堅調な中、事業者の素地取得の動きが回復していることから上昇地区が増加し、商業地では法人投資家等による取引の動きが戻り、横ばい・上昇に転じた地区がみられた、としている。

東京圏では、住宅系4地区が横ばいから上昇に転じた。商業系地区は住宅系地区に比べ回復は緩やか

圏域別では、東京圏43地区のうち上昇地区は前回から4地区増加して10地区となり、地区数の割合は23%となった。同様に横ばい地区は3地区減少し23地区(地区数割合53%)、下落地区は1地区減少し10地区(同23%)となった[図表1<東京圏>]。横ばいから上昇に転じた4地区はいずれも住宅系地区の「番町」、「南青山」、「二子玉川」」、「吉祥寺」であり、都心、郊外とも住宅販売の持ち直しを背景に地価は回復基調となった。商業系地区は、「八重洲」と「日本橋」が下落から横ばいに転じたものの、「六本木」は横ばいから下落に転じるなど、商業施設のテナント売上低迷やオフィステナント需要の減退懸念が根強く回復は緩やかである。

名古屋圏は上昇地区が67%を占め、下落地区はゼロとなり地価の回復が顕著

大阪圏(25地区)は、下落地区が前回から6地区減少して11地区となったものの、地区数割合は44%を占めた。同様に、上昇地区は2地区増加して6地区(地区数割合24%)、横ばい地区は4地区増加し8地区(同32%)となった[図表1<大阪圏>]。大阪市では、住宅系地区の「福島」が下落から上昇に、「天王寺」は横ばいから上昇に転じた。京都市では、商業系3地区、住宅系2地区の計5地区が下落から横ばいに転じて全6地区とも横ばいとなった。
名古屋圏(9地区)は、上昇地区が前回から4地区増加して6地区となり、地区数割合は67%を占めた。同様に、横ばい地区は1地区減少して3地区(地区数割合33%)、下落地区は3地区減少してゼロとなった[図表1<名古屋圏>]。名古屋市では、「名駅駅前」、「伏見」、「久屋大通駅周辺」の商業系3地区と住宅系1地区の計4地区が横ばいから上昇に転じるなど、地価の回復が顕著であった。

※1.主要都市の高度利用地等の地区として全国100地区を対象に、四半期ごとに実施している地価動向調査で、地価の先行的な動向を明らかにするもの。2015年第1四半期から調査地区数が150地区から100地区に削減。2016年第1四半期から対象地区が1地区変更(地方圏の商業系地区1地区)

※2.東京圏(43地区):埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県、大阪圏(25地区):京都府・大阪府・兵庫県・奈良県、名古屋圏(9地区):愛知県。他に、地方中心都市等23地区で、計100地区

[図表1]地価LOOKレポートにみる地価変動率別地区割合
<東京圏>

[図表1]地価LOOKレポートにみる地価変動率別地区割合<東京圏>

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

<大阪圏>

[図表1]地価LOOKレポートにみる地価変動率別地区割合<大阪圏>

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

<名古屋圏>

[図表1]地価LOOKレポートにみる地価変動率別地区割合<名古屋圏>

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

都心5区の大規模オフィスビルの成約賃料は直近のピークから14.0%下落

都市未来総合研究所の調査では、都心5区*1の2021年Ⅰ期*2の規模別*3平均成約賃料(後方4四半期移動平均*4の月額賃料)は、大規模ビルが23,390円/坪で直近のピーク(2020年Ⅱ期の27,190円/坪)から14.0%下落した。同様に、大型ビルの下落率は13.4%、中小型ビルは11.0%となり、規模が大きいほど下落率が大きくなった。

[図表2]東京23区の規模別オフィス平均成約賃料

[図表2]東京23区の規模別オフィス平均成約賃料

データ出所:都市未来総合研究所「Office Market Research」

*1.千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

*2.Ⅰ期:1-3月、Ⅱ期:4-6月、Ⅲ期:7-9月、Ⅳ期:10-12月

*3.大規模ビル:基準階面積200坪以上、大型ビル:同100坪以上200坪未満、中小型ビル:同100坪未満

*4.当期を含む直前4四半期の平均値

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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