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この記事の概要
今回調査では住宅地・商業地ともに全国的に地価が下落に転じたが、地価の変化の程度には濃淡があり、大都市圏の商業地で特に下落傾向が強まった。[図表1、2]。住宅地では、新型コロナウイルス感染症の影響による取引減少や、住宅購入者の取得への慎重な態度から需要は弱含みとなっているものの、①都市中心部の優良な住宅地やマンションなど、希少性と地域における価格水準が高い住宅地、②交通利便性や住環境に優れ、相対的に価格水準が割安な住宅地の中には、横ばいあるいは上昇が継続している地域が見られる。商業地では、店舗需要やホテル需要が減退したこと、投資家の取得に対する慎重な態度から、多くの地点で下落基調となった。なかでも外国人観光客をはじめとする国内外の訪問客の増加による店舗、ホテル需要により上昇してきた地域や飲食店等の立地が集中する飲食街・歓楽街で大きな下落となった地点が見られ、特に大阪市の梅田・心斎橋・なんば地区では大きな下落となった地点がみられた。
住宅地、商業地とも、前半は緊急事態宣言により全国的に経済活動が停滞した影響から地方四市を除き下落したが、後半は、景気の持ち直しなどを背景に大阪圏の商業地を除き横ばいあるいは上昇に転じた[図表3]。ただし、国土交通省は、下落地点は後半においても上昇地点を上回り、地域や地点による差があることや、共通地点は比較的需要が堅調であった各地域の優良な住宅地やオフィス需要が中心となる商業地が含まれる割合が高いことに留意する必要がある、としている。
住宅地は、荒川区や北区など生活利便性に優れ、地価の割安感により上昇幅が拡大していた区でも上昇から下落に転じた。一方で、港区(+0.3%)や目黒区(+0.3%)では、上昇幅は縮小したが上昇を継続した[図表4]。国土交通省は、その要因として、それらの区には高級住宅地などの地点が多く、コロナ禍の影響が小さい高所得者層が需要者の中心となっていることなどをあげている。商業地は、東京都区部の全区で下落に転じた。特に、観光地を擁する台東区や、繁華街・歓楽街を擁する都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)など、観光客や飲食に関連した需要が大幅に減退した区では地価の下落幅が大きい[図表4]。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率(2021年地価公示)
データ出所:国土交通省「地価公示」
(注)圏域等の定義は以下のとおり。
・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。
・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地および近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。
・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域および近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。
・「地方圏地方四市」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。
・「地方圏その他」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。
[図表2]圏域別の対前年地価変動率の推移
[図表3]半年ごとの地価変動率(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)
(注)前半(1月~7月)は7月1日時点、後半(7月~1月)は1月1日時点
[図表4]東京都区部の地価の変化が大きかった上位5区と都心5区(用途別)
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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※2021年4月16日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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