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2020年の国内不動産売買取引は年後半持ち直し

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 3月号

公開日:2021年3月12日

この記事の概要

  • 2020年の国内の不動産売買取引額は取引活動が大幅に制限された4~6月期は大幅減となったが、その後持ち直し、2020年通期では4兆1,044億円で前年(4兆2,340億円)とほぼ横ばい。
  • 建物用途別では、新型コロナの影響度合いで格差。ホテル、商業施設が弱含み、物流施設、住宅が堅調。

1)2020年の国内の不動産売買取引は4兆1,044億円で前年比3.1%減

2020年に公表された上場企業およびJ-REIT等による不動産売買額(公表日ベース)※1、2は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下で取引活動が大幅に制限された4~6月期は前年同期比58%減となったが、7~9月期は同42%増と持ち直した[図表1の左図]。7~9月期の大幅増は4-6月期に滞った取引が期ずれで上乗せされたことが影響した可能性がある。10~12月期は同6%減と再びマイナスとなったが大幅減には至らず、2020年通期では、4兆1,044億円で前年比3.1%減とほぼ横ばいとなった。取引件数は、大型取引の割合が高く、4~6月期の前年同期比46%減、7~9月期の同36%減と大幅減が続いたが、10-12月期は同9%増とプラスに転じた。

低金利の状況下、消去法的に不動産投資需要は残ると考えられるが、一方、現状では資金調達環境は大きく悪化しておらず[図表2]、一部の業況がひっ迫した企業以外では不動産の売り急ぎの必要性が高まらないと考えられる。ただし、新型コロナウイルス感染が長引けば、投資用不動産の物件収益見通し悪化に伴う売却や業績悪化が顕著な一部の業種・業態では決算対策による益出し、閉鎖店舗等の売却意向が高まる可能性があり、待機資金が潤沢なファンドやキャッシュリッチな事業法人、富裕層においては物件取得の好機となり得ると考えられる。

[図表1]国内の不動産売買取引額・取引件数(Ⅰ:1~3月期、Ⅱ:4~6月期、Ⅲ:7~9月期、Ⅳ:10~12月期)

[図表1]国内の不動産売買取引額・取引件数(Ⅰ:1~3月期、Ⅱ:4~6月期、Ⅲ:7~9月期、Ⅳ:10~12月期)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表2]金融機関の貸出態度判断DI(全産業、不動産業)

[図表2]金融機関の貸出態度判断DI(全産業、不動産業)

データ出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」

※1:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」による。不動産売買実態調査は、「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づき東京証券取引所に開示された固定資産の譲渡または取得などに関する情報や、新聞などで報道された情報から、譲渡・取得した土地・建物の売主や買主、所在地、面積、売却額、譲渡損益、売却理由などについてデータの集計・分析を行うもの。情報公表後の追加・変更等に基づいて既存データの更新を適宜行っており、過日または後日の公表値と相違する場合がある。また、本集計では、海外所在の物件は除外した。金額は報道機関等による推計額を含む。数値化のため、「約」などの概数表記を省いたものや範囲表記の中間値を採用したものなど、報道された値を修正したものを含む。

※2:売買取引件数とは、適時開示情報や報道情報など不動産売買に係る公表情報の情報件数をいう。売買された(される)物件ごとの売買金額が公表された取引においてはそれぞれを1件とし、複数物件の一括取引で売買金額が個別物件ではなく合計額で公表された取引は、これらをまとめて1件とした。なお、複数物件の一括取引で、個々の物件の属性が非公表の場合の物件の所在地や用途等は、公表情報からみて最多と判断される種別に一括して分類した。

2)建物用途別の不動産取引動向は新型コロナの影響度合いで格差。期待利回りにも影響

新型コロナウイルス感染拡大の影響が相対的に大きいホテルと商業施設は取引額が減少している。ホテルは国内の不動産取引額が持ち直した7~9月期以降も前年同期比88%減、10~12月期も同98%減と取引額が大幅に減少し、10~12月期における国内の不動産売買金額・件数に占める割合はともに1%以下まで低下した[図表3]。商業施設は7~9月期が前年同期比69%減、10~12月期は減少幅が縮小し同5%減であったが、10~12月期における国内の不動産売買金額・件数に占める割合は、それぞれ6.2%、4.9%まで低下した[図表3]。これら用途は賃貸収益の低下や流動性、価格変動等の投資リスクが懸念され、期待利回りは上昇に転じている(商業施設はインバウンド需要喪失、外出自粛の影響が大きい都市型高級専門店)[図表4]。ただし、中長期的には新型コロナ終息で観光・消費需要の回復にめどが立てば、これらリスクが弱まり、期待利回りが横ばいもしくは低下に転じることが考えられる。

一方、3密回避を背景としたEC(電子商取引)拡大による需要の増加が期待される物流施設は、7~9月期が同262%増であった。10~12月期は同51%減となったが、期待利回りは唯一低下した[図表4]。新型コロナウイルスの影響が相対的に小さいと考えられる住宅は、投資単位(物件規模)が小さく、金額ベースの構成割合は低いものの、取引件数ベースの構成割合は高水準で推移し[図表3]、期待利回りは横ばいを維持している[図表4]。 オフィスビルは7~9月期に1取引1,400億円、10~12月期に同2,170億円の超大型取引があり、金額ベースの構成割合は急伸した。オフィスビルの期待利回りは横ばいを維持している[図表4]。

[図表3]国内不動産取引における建物用途別の構成割合(取引金額ベース、取引件数ベース)

[図表3]国内不動産取引における建物用途別の構成割合(取引金額ベース、取引件数ベース)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表4]建物用途別の不動産投資家の期待利回り(2020年10月調査)

[図表4]建物用途別の不動産投資家の期待利回り(2020年10月調査)

データ出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部

※本コンテンツは参考情報の提供を目的とするものです。

※2021年3月12日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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