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この記事の概要
4月7日に緊急事態宣言が発表されて、移動や営業の自粛、テレワークの実施などが本格化し、不動産の売買取引でも、海外投資家の入国制限や移動自粛による物件実査の延期、意思決定の滞りなどが生じた。市況の先行きが読みにくく様子見姿勢が強まったこともあって、2020年第2四半期(4月~6月)に公表された国内不動産の売買額は、前年同期の6割減に落ち込んだ[図表1]。
業績悪化を見込む企業が増え、2020年6月の民間調査では、全体の2/3の企業が既に業績下押しの影響が生じていると答えた[図表2]。売上高が低下し回復期待も持ちにくいことから、飲食店やホテル、小売店などで休業や店舗閉鎖、一部では倒産の事例が増えている。また、先行きオフィスビルの空室率の上昇が懸念されること(後述)もあり、不動産業では賃貸収入の減少等に対応して手元資金を確保するため、資金需要が急増している[図表3]。景況が更に悪化すると、不動産業や事業会社等で低稼働資産の処分や資金調達を目的に売却物件が増加し、買手の取得機会となる可能性がある。
感染拡大を防止するため、多くの企業で時差出勤やテレワークなどの対策が講じられており[図表4]、都内では緊急事態宣言前の3月と比べて6月のテレワーク実施率が30~45%pt上昇した[図表5]。オフィスの稼働が低下しオフィス床が遊休化することから、大企業の社長・会長を対象とした調査では、約38%がオフィス面積の縮小を考えると答えた[図表6]。大企業が入居するビルの多くは定期借家契約(平均期間4年弱)を採用しているため、年内よりも来年以降でオフィスの解約リスクが高まるとみられる。
賃貸住宅はオフィスビルやホテル、店舗のような需要減少に陥るリスクは小さいとみられるが、雇用環境の悪化が下押し要因。加えて、テレワーク対応の住環境に需要がシフトする可能性もある[図表7、8]。
[図表1]活動自粛と先行き不透明感から、2020年4~6月期の不動産売買額は前年同期比約6割減
データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」
[図表2]業績にマイナスの影響を受けた企業の割合が全体の2/3に上昇
データ出所:株式会社帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年6月)」
[図表3]資金繰り対策等で不動産業の資金需要急増
データ出所:日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査2020年7月」2020年7月17日、日本銀行「日銀短観(全国企業短期経済観測調査)2020年6月」2020年7月1日
[図表4]企業は様々な感染防止策を並行して実施
データ出所:日本経済新聞社「社長100人アンケート」2020年7月20日
[図表5]都内企業のテレワーク実施率は大幅に上昇
データ出所:東京商工会議所『「テレワークの実証状況に関する緊急アンケート」調査結果』2020年6月17日
[図表6]オフィス面積の縮小を考える大企業が約38%
[図表7]テレワーク中の賃貸住宅居住者のうち3割に住み替え意向
データ出所:株式会社リクルート住まいカンパニー『「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査』2020年5月22日
[図表8]独身者は周辺環境の良い住宅、夫婦世帯は今より部屋数の多い住宅への住み替えを希望
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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