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2020年上期の一棟賃貸マンションの売買取引動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 8月号

公開日:2020年8月6日

この記事の概要

  • 2020年上期の一棟賃貸マンションの売買取引件数は101件、売買取引額は5,116億円で、前年同期(78件、1,532億円)に比べて大幅に増加。外資系法人による複数物件の一括取得が大きく寄与した。
  • 売主セクター別では、不動産・建設と国内の事業法人等が、堅調な取引の増加をみせている。

1)2020年上期の一棟賃貸マンションの売買取引件数と取引額は、前年同期に比べて大幅に増加

株式会社都市未来総合研究所の「不動産売買実態調査※1」によると、2020年上期に公表された国内における一棟賃貸マンション※2の売買取引件数※3は101件で対前年同期比29%増、売買取引額は5,116億円で同234%増となった[図表1]。四半期ごとにみると、複数物件を一括した大型取引事例があった2020年1~3月期の取引件数は74件で対前年同期比48%増、取引額は4,564億円で同413%増となったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された同年4~6月期は27件(同4%減)、552億円(同14%減)となった。2010年以降はいずれの年も4~6月期の取引額は1,000億円未満で、取引件数も含めて2020年4~6月期に特に取引事例が大幅減少したわけではないが、新型コロナ禍による取引停滞も影響したとみられる[図表2]。

2)外資系法人が複数物件を一括取得し取引額が大幅に増加、取得件数はSPC・私募REITが大幅に増加

買主セクター別では、2020年上期は外資系法人が複数物件を一括取得する事例が多く、3,866億円の取得額となった[図表3、4]。2018年上期以降の取得件数推移をみると、J-REITが前年上期の水準に減少した(35件)。一方、SPC・私募REITが2018年上期の水準に増加した(34件)[図表5]。

3)J-REITの売却件数が減少した一方で、不動産・建設と国内の事業法人等の売却件数が増加

売主セクター別の2018年上期以降の売却件数推移をみると、J-REITは2019年における小型物件・築古物件の売却を中心とする資産入替トレンドが2020年に入り一服し、同年上期は件数が減少した(10件)。一方、事業法人等は新規組成した私募REITに複数物件を売却する事例が2事例あり、件数が増加した(34件)。J-REITのスポンサー企業として物件供給する事例が多い不動産・建設の件数も前年および前々年の傾向に引き続いて多く(37件)、同セクターと事業法人等の売却件数の合計は、全体の77%を占めた[図表6]。

4)物件所在地別の動向としては、東京都区部以外の東京圏における取引件数が減少

物件所在地別(区分は[図表7]の注を参照)の取引件数推移をみると、東京都区部では都心5区が低水準ながら3半期連続で増加を続け(2020年上期17件)、周辺18区が前年同期(27件)と同水準に復調(同24件)となった一方、その他東京圏が2016年上期(8件)以来の1桁台を記録する低水準となった(同9件)[図表7]。

[図表1]一棟賃貸マンションの売買取引件数と取引額の推移(2010年以降の暦年ベース、2020年のみ上期)

[図表1]一棟賃貸マンションの売買取引件数と取引額の推移(2010年以降の暦年ベース、2020年のみ上期)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

※1:不動産売買実態調査は、「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づき東京証券取引所に開示される固定資産の譲渡または取得などに関する情報や、新聞などに公表された情報から、上場企業等が譲渡・取得した土地・建物の売主や買主、所在地、面積、売却額、譲渡損益、売却理由などについてデータ(概数の事例も含む)を集計・分析したもの。情報開示後の追加・変更等に基づいて既存データの更新を適宜行っており、過日または後日の公表値と相違する場合がある。また、本稿の集計では、海外所在の物件は除いている。

※2:主として一棟の賃貸マンションで、寮・社宅等を含む。

※3:複数物件を一括した取引で各物件の詳細が不明である取引は、1取引を1件として集計している。買主セクター別、売主セクター別、物件所在地別の集計についても同じ。

[図表2]四半期ベースの一棟賃貸マンションの売買取引件数の推移(左)と取引額の推移(右)

[図表2]四半期ベースの一棟賃貸マンションの売買取引件数の推移(左)と取引額の推移(右)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表3]一棟賃貸マンションの買主セクター別の取得額の推移(買主セクター不明の取引は除く)

[図表3]一棟賃貸マンションの買主セクター別の取得額の推移(買主セクター不明の取引は除く)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表4]2020年上期に外資系法人が一棟賃貸マンションを複数物件一括取得した売買事例

[図表4]2020年上期に外資系法人が一棟賃貸マンションを複数物件一括取得した売買事例

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表5]買主セクター別の取得件数の推移

[図表5]買主セクター別の取得件数の推移

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表6]売主セクター別の売却件数の推移(左)と2020年上期の構成比(右)

[図表6]売主セクター別の売却件数の推移(左)と2020年上期の構成比(右)

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

[図表7]物件所在地別の取引件数の推移

[図表7]物件所在地別の取引件数の推移

データ出所:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

(注)所在地の区分は次のとおり

・都心5区:千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区

・周辺18区:東京23区から都心5区を除く18区

・その他東京圏:東京23区を除く東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

・大阪圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県

・名古屋圏:愛知県、三重県、岐阜県

・その他(国内)等:東京圏、大阪圏、名古屋圏を除く国内各地域、複数物件取引や所在地不明(国内)も含む。

5)新型コロナ禍が賃貸マンション投資市場に及ぼす影響や、今後の見通しに関する投資家向けのアンケート

2020年4月に実施された新型コロナ禍が不動産投資市場に及ぼす影響に関する不動産投資家向けのアンケート調査によると、賃貸マンション(同アンケートではレジデンシャルと表記)に新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響および流行が収束したと仮定した場合の今後の見通しは、アセットタイプによって異なり、ワンルーム・ファミリー向けは「ネガティブな影響はあまりない」、「収束後いち早く反転回復する」との回答が最も多く、外国人向け高級賃貸は「影響がある」、「回復までに1年程度の期間を要する」との回答が最も多いという結果となった[図表8]。

[図表8]新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響(左)、および流行が収束したと仮定した場合の今後の見通しについて(右)

[図表8]新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響(左)、および流行が収束したと仮定した場合の今後の見通しについて(右)

(注)回答者は、アセット・マネージャー、アレンジャー、開発業(デベロッパー)、生命保険、商業銀行・レンダー、投資銀行、年金基金、不動産賃貸などの属性

データ出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査 特別アンケート(Ⅰ)新型コロナ ウイルス感染症の拡大が不動産投資市場に及ぼす影響について(2020年4月)」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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