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この記事の概要
「令和2(2020)年地価公示」によると、住宅地の地価変動率は、全国平均で3年連続上昇しプラス0.8%となった。地方圏では地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の上昇率が5.9%となり、三大都市圏の中心市(エリア)の中で最も上昇率の高い東京都区部の4.6%を上回った。地方四市の上昇幅は前年の1.1%ポイントから1.5%ポイントへ拡大した。地方圏から地方四市を除いた地方圏(その他)の平均は1996年から続いた下落から横ばいとなった[図表1、2]。
住宅地の変動率の全国上位100位(101地点)において、地方圏が90地点でうち地方四市が52地点、三大都市圏が11地点でうち東京圏が2地点であった[図表3]。
地価上昇が顕著な地方四市では、鉄道駅徒歩圏等を中心に引き続き住宅地の需要が堅調である。また、その周辺においても住宅地としての需要が堅調で地価が上昇しており、地方四市の周辺市でも上位100位に入る地点が北海道では小樽市、北広島市、仙台市では名取市、福岡県では春日市、筑紫野市、大野城市でみられた[図表3]。小樽市では、傾斜地・郊外地から市中心部への回帰傾向を背景に、平坦な中心部でのマンション用地等の需要が堅調であった。
変動率全国上位の1位と2位は北海道の倶知安町、3位は沖縄県の糸満市で地方圏(その他)であった[図表4]。倶知安町はスキーリゾートとして別荘地や賃貸住宅需要が旺盛であることが要因で、同様の事例として長野県白馬村(15位)がみられた。糸満市の埋立てエリアは那覇市内への交通アクセスに優れ、住環境が良好なことから住宅需要が旺盛である。沖縄県では那覇市の中心部等のほか2019年10月に沖縄都市モノレールが延伸された地域をはじめ那覇市周辺部においても住宅需要が引き続き強い。
東京圏における変動率の最上位地点は高輪ゲートウェイ駅の暫定開業(2020年3月)やリニア中央新幹線の開業(2027年を予定)など更なる利便性の向上が期待される東京都港区の港南・芝浦地区であった[図表4]。ただし、当地点の全国における順位は54位で、他圏域の最上位と比べ低順位に留まった。
[図表1]住宅地の圏域別地価変動率(2020年地価公示)
データ出所:国土交通省 「地価公示」
(注)圏域等の定義は以下のとおり。
・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。
・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。
・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。
・「地方圏 地方四市」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。
・「地方圏 その他」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。
[図表2]住宅地の圏域別対前年地価変動率の推移
[図表3]住宅地の変動率の全国上位100位(101地点)の地域別地点数
(注)上位100位が同値で2地点のため合計101地点
[図表4]住宅地の変動率全国上位100位のうち特徴的な地価の上昇例として紹介されている地点
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
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