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この記事の概要
全国全用途平均の対前年平均変動率は5年連続で上昇、上昇幅も4年連続で拡大した。三大都市圏平均では、住宅地・商業地ともに地価変動率の上昇幅が拡大したが、名古屋圏では僅かながら上昇幅が縮小した。地方圏平均は住宅地・商業地ともに2年連続で上昇し、地方四市の高い上昇率がけん引する傾向は変わらないが、地方四市以外のその他地域でも住宅地が下落から横ばいに、商業地が横ばいから上昇に転じるなど地価の回復傾向が全国的に広がっている[図表1、2]。
住宅地は、先行して地価が上昇した中心区や区部南西部の高級住宅街を擁する区で上昇率の鈍化や縮小がみられる一方で、荒川区や北区など生活利便性に優れ地価の割安感がある区で上昇幅が拡大した[図表3]。商業地については、大規模再開発事業や訪日外国人の増加などで地価上昇が続いていた東京都中央区や渋谷区などで上昇幅が縮小する一方、台東区や荒川区など区部の北東側に位置する区では、上昇幅が拡大した[図表3]。都心部では不動産価格の上昇に伴い投資利回りが低下する中、周辺区に立地する収益不動産は賃料上昇を背景に中心区よりも高い利回りが得られることなどから、周辺区に需要がシフトしている傾向が続いている。
2020年地価公示の結果には新型コロナウィルスの影響は織り込まれていない。人の移動の制限や国内イベント自粛などによる影響で、既に足元では訪日観光客を主要な顧客とした業種(百貨店・免税店等の小売業、ホテルや観光施設、旅客業等の観光関連業)や集客施設(ライブハウスや劇場、アトラクション施設、レクリエーション施設など)を中心に売上高減少の直接的な影響が生じている。今後、新型コロナウィルスの感染拡大による景況悪化を通じて、不動産市場への影響は多岐にわたって生じると考えられる。終息までの期間が長期に及んだ場合、投資用不動産や住宅など不動産に対する需要が減少することで、地価の下落圧力が高まる可能性がある。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率(2020年地価公示)
データ出所:国土交通省 「地価公示」
(注)圏域等の定義は以下のとおり。
・「三大都市圏」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。
・「東京圏」とは、首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町の区域をいう。
・「大阪圏」とは、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域をいう。
・「地方圏」とは、三大都市圏を除く地域をいう。
・「地方圏 地方四市」とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市をいう。
・「地方圏 その他」とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域をいう。
[図表2]圏域別の対前年地価変動率の推移
[図表3]東京都区部の変動率上位5区(都心5区を除く上位5区の上昇幅高い順)と都心5区との比較
[図表4]半年ごとの地価変動率(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)
(注1)前半(1月~7月)は7月1日時点、後半(7月~1月)は1月1日時点
データ出所:国土交通省「地価公示」、「都道府県地価調査」
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
※本コンテンツは参考情報の提供を目的とするものです。
※2020年4月17日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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