この記事の概要
- 建築費指数が前回のピークであった2015年7月の水準を上回り、2016年11月以降の再上昇の基調が顕著となった。
- 2017年は、建設資材価格、建設技能労働者の不足率がともに上昇した。
- 建築費の再上昇は、円高の緩和や資源価格の上昇傾向、建設需要の増加等が背景と考えられる。
1)2016年11月以降の建築費再上昇の基調が顕著に
東京の建築費指数が、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造は2017年12月(暫定値)に、鉄筋コンクリート造は2018年1月(暫定値)に前回のピークであった2015年7月の水準を上回り、2016年11月以降の再上昇の基調が顕著となった[図表1]。
2)2017年は建設資材価格、建設技能労働者の不足率がともに上昇
建築費は、主にモノ(建設資材価格)、ヒト(建設技能労働者数と労務単価)および建設会社の利潤から構成される。2017年は建設資材価格、建設技能労働者の不足率がともに上昇した[図表2]。東京の建設資材価格は、2017年12月に前回のピークである2014年の水準を超えた。2017年の建設技能労働者不足率(全国)は2016年と比べ高い水準となり、2017年9月に前月の0.8%から1.3%に大きく上昇した。2017年における建設業の所定内賃金引き上げ額は、1人あたり月額8,411円と、全産業平均の5,627円を大きく上回り、全産業別の中で最高となった[図表3]。
3)建築費上昇の背景
建築費上昇の背景として、2016年に101円台まで上昇した円高が緩和したこと[図表4]、2017年の原油や鉄鉱石等の資源価格に2016年の水準と比べ上昇の傾向がみられたこと[図表5]等に加え、2018年以降の竣工に向けた建設需要の増加が考えられる。
2018年以降の各種物件タイプの新規供給の動向は以下のとおり。
- ・東京都区部では2017年に減少傾向であった大型オフィスビルの供給が2018年以降増加し、年間200万m²(延床面積)前後の供給が予定されている[図表6]。
- ・物流施設(東京圏)についても同様で2018年に近年で最高の300万m²(延床面積)程度の供給が予定されている[図表7]。
- ・国内におけるホテルの新設・増設計画は2015年以降時点の調査で大きく増加[図表8左]。2017年12月調査時点で2018年は4万8千室の供給が見込まれており、地域別では関東が32%と最も多くなっている[図表8右]。
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部
※本コンテンツは参考情報の提供を目的とするものです。
※当社は、読者に対し、本資料における法律・税務・会計上の取り扱いを助言、推奨もしくは保証するものではありません。
※本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成していますが、その正確性と完全性、客観性については当社および都市未来総合研究所は責任を負いません。本コンテンツに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。