3)着工動向は地域によって差がみられる。
地域比較のため、弊社店舗がある都道府県(17都道府県)を取り上げ、着工動向を概観する。
貸家全体の着工戸数が前回ピーク比でどの程度回復したかを比較すると、東京圏の一都三県は9割超の水準まで回復しているのに対し、静岡県、愛知県は4~5割台の水準にとどまっている[図表2]。また、賃貸マンションとアパート等の別に着工動向を概観すると、埼玉県、千葉県、神奈川県、兵庫県、岡山県のように賃貸マンションの着工が低調でアパート等の増加が目立つ地域がある一方、北海道、大阪府、福岡県のように賃貸マンションもアパート等と同様に増加が目立つ地域もみられ、地域によって着工動向には差がみられる※3[図表3]。
[図表3]貸家着工戸数の推移(賃貸マンション/アパート等の別)(都道府県別)
データ出所:国土交通省「建築着工統計調査」
※1:相続税制改正(相続税の課税ベース等の見直し)は、当初、2011年4月1日以後の相続等に適用されるものとして、平成23年度税制改正大綱(2010年12月)で公表された。
※2:世界金融危機前(2001年度〜2008年度)のピーク。建物属性(賃貸マンションとアパート等)や都道府県によってピークは異なる。なお、2007年度に賃貸マンションの着工戸数が大きく減少したのは、2007年6月の建築確認・検査の厳格化が一因と考えられる。
※3:本稿はマクロ的な視点で都道府県別の地域差異を例示したものであり、実際に不動産投資を行う場合に投資対象物件が立地するエリアの動向はこれらと異なる可能性がある。