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平成29年(2017年)地価公示にみる住宅地・商業地価の動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 4月号

 

公開日:2017年4月28日

この記事の概要

  • 国土交通省が、2017年3月21日に「平成29年(2017年)地価公示(2017年1月1日時点)」(以下、2017年地価公示)を公表した。(本稿では、主に三大都市圏に着目して結果概要と今後の見通しを考察する。)
  • 住宅地は、前年対比上昇率が拡大したものの上昇幅は鈍化し、やや落ち着き感が出てきている。
  • 商業地は、名古屋圏を除いて前年対比上昇率が拡大したが、住宅地と同様に上昇に鈍化がみられる。

1)三大都市圏の住宅地の地価動向

①2017年地価公示の結果概要

三大都市圏の住宅地は、前年対比上昇率が拡大したがやや落ち着き感が出てきている。一部の市区を除いて上昇率の大幅な鈍化や下落率の拡大はみられないが、全般的に上昇率がやや縮小している[図表1]。分譲価格の上昇による売れ行きの減速(初月契約率70%割れの月が増加、在庫の積み上がり等)で分譲マンション市況の先行き不透明感が強まっており、マンション需要が弱い地域における取得抑制や分譲価格が大きく上昇した地域での素地仕入れの選別強化が一因となっていると考えられる。なお、全国でみると、2007年の地価上昇の際の上昇率上位の地点は、青山、神宮前、恵比寿など東京の都心住宅地が占め、最大4割弱の大幅上昇をみせたが、今回は仙台市やいわき市など震災被災からの住宅需要に係る地域が中心で、その上昇率もおおむね10%台と緩やかであった[図表2]。

②今後の住宅地価の見通し

三大都市圏の住宅地は、分譲マンション市況が在庫調整と価格調整の局面を迎え、地価上昇の鈍化傾向が強まると思われる。地価が上昇していた地域の中で、最寄駅までバス便の利用が必要な郊外地域や生活利便性の点で分譲マンションの需要が弱い地域や分譲価格が実需からかい離した地域、賃貸アパートの供給過剰が生じている地域などでは、地価が横ばいないし僅かに下落する可能性もある。しかし、住宅ローン減税などの税制優遇措置や2016年2月のマイナス金利導入による住宅ローン金利が歴史的な低水準であることなどの下支え要因もあり、基本的には一時的な調整の範囲内にとどまると考えられる。

※ 三大都市圏とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいう。「東京圏」は、首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町の区域を指す。「大阪圏」は、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域を指す。「名古屋圏」は、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域を指す。

[図表1]三大都市圏の住宅地・商業地の公示地価変動率の推移

[図表1]三大都市圏の住宅地・商業地の公示地価変動率の推移

[図表2]上昇率の上位10地点(住宅地)(2007年・2017年)

[図表2]上昇率の上位10地点(住宅地)(2007年・2017年)

図表1~2のデータ出所:
国土交通省「平成29年(2017年)地価公示」

2)三大都市圏の商業地の地価動向

①2017年地価公示の結果概要

三大都市圏の商業地の上昇率は、名古屋圏を除いてさらに拡大した。堅調なオフィス需要や都市部でのマンション素地取得競争の激化、投資家による旺盛な不動産投資意欲、主に東京都心部で進行中の大型プロジェクト完成・進捗の波及効果などが複合的に影響していると考えられる。ただし、期待利回りが世界金融危機前の水準まで低下(物件価格の高騰)し、不動産市況のピークアウトに対する懸念が高まっていることや、訪日中国人による「爆買い」の単価下落などの不安要因もあり、上昇率が縮小した地点・地域も散見される。

②今後の商業地価の見通し

2018~2020年の東京都心部でのオフィスビル供給集中([図表3])など供給要因から一時的にオフィス賃貸市況が軟化する可能性があり、これがトリガーとなって三大都市圏の商業地でも地価の上昇が減速することも考えられる。ただし、資金調達環境は堅調で投資家の不動産投資意欲も高い([図表4])ため、地合いは比較的良好とみられる。そのため、住宅地よりも軽微な調整にとどまると考えられる。

[図表3]東京23区のオフィス供給量(2016年11月末日現在)

[図表3]東京23区のオフィス供給量(2016年11月末日現在)

※ 東京23区における延床面積5,000㎡以上のオフィス用途が主であるプロジェクト(賃貸ビル、自用ビル等)を都市未来総合研究所が独自に収集・集計。今後のオフィス供給については、再開発等で一体開発される供給面積の用途別面積が公表されていない場合、他用途を含めた全体の供給面積で算定。なお、再開発物件も含むため、オフィス面積の純増を表すものではない。

データ出所:
都市未来総合研究所

[図表4]今後1年間の不動産投資に対する考え方の割合(複数回答あり)

[図表4]今後1年間の不動産投資に対する考え方の割合(複数回答あり)

データ出所:
(一社)日本不動産研究所「不動産投資家調査」

発    行: みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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