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2016年後半、新築マンション供給は増加 住宅取得支援制度を見逃さずに利用しよう

アナリストが分析、マンション市場の展望(2016年下半期)

公開日:2016年6月30日

消費税増税の先送りをはじめ、株価や円相場など社会の変動もあって、分譲マンションの供給や流通市況もずいぶんと変わってきそうです。2016年下半期のマンション市況がどう変化し、購入のタイミングや狙い目はいつなのか気になるところです。住宅業界や不動産流通市場に詳しい、みずほ証券の上級研究員である石澤卓志さんに、これからのマンション市場やトレンドについて伺いました。

2016年下半期は新築供給が上半期よりかなり増加する

消費税増税が先送りされたことで、マンション市場にも大きな影響が出てきているかと思います。まずは大きな動きについて教えてください。

石澤:2017年4月に消費税増税を予定していたため、2016年は住宅取得希望者の駆け込み需要があると考えられていました。しかし増税が先送りされたことで、現在この需要もいったん消滅した状況にあります。そのため、デベロッパーも新たに戦略を立て直しています。

増税延期によって、デベロッパーの供給戦略が変わっているわけですね。

石澤:過去のデータでは消費税増税前には大きな需要の盛り上がりがありましたから、デベロッパーは増税があるかないかで2016年下半期の需要はかなり変わると考えていました。それがはっきりしなかったので、2016年の販売戦略が立てにくく、前半もどの程度供給すべきなのか手探りだった面があります。それが増税延期になったことで、後期の販売戦略が立てやすくなったのです。

2015年下半期、杭打ち偽装事件などの影響もあって、デベロッパーは販売を手控えました。例えば、東京圏の新築分譲マンションの年間供給戸数は、2010年以降、消費税率アップの影響があった2013年を除いて45,000戸程度でしたが、2015年は4万戸程度に減っています。その後、2016年上半期も手探りだったので供給はそれほど多くありません。

それでも、デベロッパーは、今後、2016年の売り上げを確保しなくてはなりません。ですから、先送りしていた物件も含めて、下半期に供給を増やす可能性が高いでしょう。私は2016年の年間供給戸数は、45,000戸程度にまで回復すると予想しているので、下半期は豊富な物件から選択するチャンスではないでしょうか。

価格についてはどうでしょうか?

石澤:オリンピックや震災復興などの影響もあって、建設コストの高止まりは当面解消されそうにありません。土地価格も同様です。したがって、新築マンション価格は、横ばいか高くはなっても、下がることはなかなか期待しにくい状況にあります。

そのため、デベロッパーの取る戦略として、面積を少々抑えめにして販売価格をそれほど上げずに、値頃感を打ち出す方法がまず考えられます。もう一つ、立地がいい割にはそれほど注目されなかったため土地価格に値ごろ感のある地域に、建物や付帯施設などで高付加価値を付けて良質な物件を提供する方法もあるでしょう。

例えば東京・国分寺市では、JR中央線国分寺駅前の再開発地区にタワーマンションが2棟企画されました。この物件は、大規模開発であり、都心へのアクセス性の高さと、徒歩圏内に武蔵野の豊かな自然環境をもつ優良な環境にあることから、当該地域ではかつてない価格設定ですが、非常に注目されています。こうしたエリア全体をトータルで開発しているようなマンションは人気が高く、資産価値が落ちにくいといえそうです。

大阪地区では事務所需要が苦戦しているので、都心のオフィスビルが大規模分譲マンションに建て替わるケースが増えています。こうした交通利便性の立地の高い物件は、多少価格が高くても、資産価値は落ちにくいのではないでしょうか。

中古マンションには相対的な割安感が

中古マンション市場はどうでしょうか?

石澤:中古マンションの人気や販売実績などのトレンドは、エリアによって相当の開きがあるといえます。概して郊外部では需要が弱めなものの、都心部は人気も高く、活発に取引されています。都心部では取得できる土地が少なく、新築の供給も少なめですから、相対的に中古マンションの需要も高いわけです。中古マンション価格が下がっているわけではありませんが、新築マンション価格が急上昇したので相対的に割安感も感じられるようです。

郊外の中古マンションは都心と比べると価格上昇は穏やかで、相対的に買いやすくなっているといえますが、人口減や都心回帰などの傾向から、将来売却が難しくなる可能性も考えておくべきでしょう。

ホームインスペクション(住宅診断)の普及や、住宅履歴情報の保存、住宅瑕疵担保責任保険の登場など、中古マンションも安心して取り引きできる流通環境が整備されてきました。こうした、建物性能を客観的に評価できる制度を活用することが、後でトラブルに見舞われにくい中古マンション選びにつながっていくかと思います。そういう意味でも、信用できる不動産会社を選ぶことも大切です。

住宅ローンを史上最低の金利で利用できたり、手厚い減税制度があったりと、現在はマイホームの買い時であるようにも思うのですが。

石澤:それは間違いありません。住宅購入は景気を強く刺激します。現在、景気の行方は楽観視できませんから、政府は住宅ローンの減税制度拡充などで購入を引き続き支援していくものと考えられます。低金利も当分続きそうなので、マイホームの取得環境は現在、非常に良好といえます。

今後、景気テコ入れ策として、住宅取得支援制度の拡充や延長が打ち出される可能性があります。それを常にウオッチしておいて、損をしない住宅購入を実現してください。

解説

石澤 卓志 

1980年代より一貫して不動産市場の調査に携わる。国土交通省・社会資本整備審議会の委員をはじめ、自治体、経団連などの委員や専門委員、国連開発機構技術顧問、上海国際金融学院客員教授などを歴任。テレビや新聞などでコメンテーターとしても活躍。

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