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商品特性を明確にした企画力のある物件が出てくる。こだわる優先順位を整理し、良質の住まいを手に入れよう!

アナリストが分析、マンション市場の展望(2017年上半期)

公開日:2016年12月27日

消費税増税延期の影響も薄まった2017年上半期は、デベロッパーも供給量を増やしそうです。住宅業界や不動産流通市場に詳しい、みずほ証券の上級研究員である石澤卓志さんに、2017年上期の分譲マンション市場の動向や、賢い探し方についてうかがいました。

2016年は増税延期で新築供給は手控え気味

2016年6月、当初2017年4月に予定されていた消費税増税が見送られ、マイホーム購入を検討していたユーザーは大きな影響を受けたかと思います。2016年、実際の市場動向はどのようなものだったのでしょうか。

石澤:これまで消費税増税前には「駆け込み購入」による大きな需要の盛り上がりが見られました。しかし、今回は増税が先送りされたことで、消費者は急いで購入する必要がなくなりました。そのため、デベロッパー側もその影響を考えて2016年上半期は供給量を絞り込んでいました。2016年1〜6月の分譲マンション供給戸数を見ると、東京圏では前年同月比で19.8%減、大阪圏も11.5%減です。

下半期は、デベロッパーが絞り込んでいた新築の供給を再び活性化させるような動きも予測されていましたが…。

石澤:そうした動きは確かに見られますが、多少、増加時期がずれ込んでいるようです。7月以降、東京圏の供給量は引き続き前年を下回っています。1~10月の合計でみると、前年同期比15.3%も減っています。ただし、新築の着工件数は増加傾向が出てきたので、今後は供給量が増えていく可能性は高いと思います。2017年は、そんな持ち越されていた新築供給が本格化していく年になるのではないでしょうか。

成約率はどう推移したのでしょうか。

石澤:分譲マンションの初月契約率は一般に70%が好不調の分岐点とされていますが、東京圏は1~10月の平均で67.4%と不調ぎみです。大阪圏は71.8%でなんとか好調な水準を維持するなどエリアや物件によって差が出ている状況にあります。

マンションごとの企画性を見極めよう

2017年、マンションの販売価格はどう推移していくと思われますか。

石澤:2015年頃から土地価格と建設コストがアップした影響もあり、現在も高い水準で推移しています。東京圏では1~10月に供給された新築分譲マンションの平均坪単価が267万円に達してしまいました。私の試算では、一般的な世帯で購入できるマンションの坪単価は240万円程度ですから、すでに「実需の限界」を超えていることになります。そのこともあって、東京圏の2016年1~10月の新築分譲マンションの平均価格は前年同期比3.6%の上昇、平均面積は0.63㎡の縮小と比較的小幅な変動にとどまりました。2017年も、販売価格は大きく上昇することはなく高止まりの状態が続くことになると思います。

「実需の限界」を超えているのなら、デベロッパーは何らかの工夫をしないと販売が難しくなりますね。

石澤:デベロッパーは、1戸当たりの専有面積を少しコンパクトにすることで販売価格を抑えて値頃感を出したり、付加価値をつけたりとより高品質化させるなど、エリアや物件によって様々な企画性を打ち出すようになっています。エリアの特長を生かした個性的な物件については、良好な住環境や資産性などによって高い人気を見せています。

マンション選びに際して、今後注目すべきトレンドのようなものはありますか。

石澤:都心の土地価格が上昇しすぎた影響もあり、各デベロッパーは少しエリアを広げて様々な地域でマンション企画しています。例えば、東京圏であれば、隅田川の東側の城東地区などが現在活性化しています。これらのエリアはもともと都心への交通利便性は悪くない割に、販売価格や広さなど城南地区よりはるかにコストパフォーマンスが高い地区ですので、今後もっと注目されていくはずです。そういう意味で、あまり希望する地域を絞り込まず、広いエリアで住宅を取得するような視点が、賢い住まい選びとして有効ではないでしょうか。

選択肢を広げて検討していくということですね。

石澤:例えば、都心部は交通利便性に長けていますから、多少コンパクトであっても快適に過ごせます。逆に、周辺環境も含めた豊かな住環境を手に入れるという考え方で都心以外を探すという考え方もあります。「エリア」「交通利便性」「築年」「広さ」「設備」「周辺環境」「将来性」など、何を優先し、何を我慢するかで、物件選びは変わってきます。全ての要素が高水準にある物件はとんでもない高額になってしまいます。皆さんが自分たちのライフスタイルや将来を見つめ直せば、住まいの選び方も大きく変わってくるといえます。妥協点をうまく見つけることができれば、チョイスの幅が大きく広がっていくでしょう。

そうした検討ポイントの中には、新築・中古の選択も含まれますね。

石澤:新築好きといわれる日本人ですが、中古は立地の良さであったり、管理やコミュニティがすでに醸成されていたりといったメリットをもっています。新築・既存住宅にとらわれずに検討していくことが、最終的に自分たちの暮らし方にマッチしたマンションを手に入れることにつながるはずです。

2017年は住宅の買い時といえますか?

石澤:ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任の影響もあって日本の長期金利が久々に上がり、住宅ローンの金利も少々アップし始めています。しかし、長期スパンで見れば依然低金利であることは疑いありません。また新築・中古とも、政府が住宅取得に向けて減税や補助、優遇制度を手厚く打ち出しており、住宅の取得環境は良好であるといえます。 繰り返しになりますが、2017年は今年より新築供給数が増え、企画力に富んだ魅力的なマンションが出て来る可能性が高いでしょう。選択肢が多彩になる中、先に挙げたようなこだわりの優先順位を上手に整理し、ぜひベストな住まいを手に入れてください。

解説

石澤 卓志 

1980年代より一貫して不動産市場の調査に携わる。国土交通省・社会資本整備審議会の委員をはじめ、自治体、経団連などの委員や専門委員、国連開発機構技術顧問、上海国際金融学院客員教授などを歴任。テレビや新聞などでコメンテーターとしても活躍

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