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2016年 基準地価は交通利便性などで動向に違い

2016年9月公表 基準地価(都道府県地価調査)

公開日:2016年10月07日

9月20日、国土交通省から基準地価が発表されました。これは年1回、7月1日時点の全国各地の基準となる土地の地価を、全国の都道府県が主体となって1m²当たりの価格で示したものです。不動産取引の際、土地の客観的な市場価値の指標として利用されています。

基準地価は「住宅地」「商業地」「工業地」の3つの用途別に分類・調査されていますが、まずは、皆さんのマイホーム取得に一番関連深い、「住宅地」の傾向についてご紹介します。

「住宅地」の全国平均の変動率は、2015年の-1.0%に対して、2016年は-0.8%でした。つまり、「下落が続いているものの、下落幅については小さくなっている」というのが、全国平均の分析です。しかし、これはあくまで平均にすぎません。実際はエリアによって相当の差異が見られます。「土地は安くなりつつあるんだ」などといった一律の判断は早計です。

都市部では値上がり傾向、ただしエリアで優劣が

はっきりしているのは、全国的に大都市圏の住宅地では上昇傾向が続いており、それ以外の地域については下落傾向にあるという二極化が見られることです。

表1をご覧ください。三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)は大阪圏が横ばいながら、東京圏と名古屋圏は依然上昇を続けています。それ以外の地方圏は、地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)が三大都市圏を上回る大幅な上昇を示している一方、その他の地域においては下落が続いています(ただし、下落の幅については縮小しています)。

表1:圏域別の変動率の推移

圏域 変動率(%)
平成27年 平成28年
全国 △1.0 △0.8
三大都市圏 0.4 0.4
東京圏 0.5 0.5
大阪圏
名古屋圏 0.7 0.5
地方圏 △1.5 △1.2
地方圏(地方4市) 1.7 2.5
地方圏(その他) △1.6 △1.4

各圏域の中でもすべて同じ傾向を示しているわけではないので、さらに詳しく分析するために、圏域別の「上昇・横ばい・下落の調査地点数」をチェックしてみましょう(表2)。全国的には、上昇地点数を下落地点数が大きく上回っているのに対して、東京圏、名古屋圏で逆になっているのがお分かりいただけると思います。さらに地方4市の勢いが目につきます。

地方4市の上昇が目立つ理由として、東京、名古屋、大阪といった圏域では、人気住宅地の価格が上がりすぎたために、購入意欲の減少を心配した不動産事業者などが、それにつぐ地方都市に目を向けている影響が指摘されています。

表2:圏域別 上昇・横ばい・下落地点数

(単位:地点)

  上昇 横ばい 下落
全国 3077 2751 8871
三大都市圏 1749 1190 1162
東京圏 1151 643 626
大阪圏 327 396 413
名古屋圏 271 151 123
地方圏 1328 1561 7709
地方圏(地方4市) 254 46 36
地方圏(その他) 1074 1515 7673

東京圏でも、交通利便性などで明暗が分かれる

圏域の中での違いを、東京圏を例に具体的に見てみましょう(表3)。

表3:東京圏における変動率順位

順位 上位5地域 下位5地域
市区町村 市区町村
東京都千代田区 10.0% 神奈川県三浦市 △4.9%
東京都目黒区 6.1% 神奈川県中井町 △3.6%
東京都中央区 5.5% 茨城県常総市 △3.6%
東京都港区 4.3% 神奈川県二宮町 △3.3%
東京都武蔵野市 4.3% 千葉県栄町 △3.2%

変動率、上位5地域のうち4地点が山手線の内側または周辺部であり、5位の武蔵野市も「住みたい街ランキング」などで好結果を出している吉祥寺のある市です。つまり交通利便性が高い、人気の高い街ばかりです。対して変動率の下位は、各都県の郊外部または地方部ということがいえるかと思います。こうしてみると、大都市圏でも都心や地域の中心市街地へのアクセス性の高い街の地価が上昇していることがうかがえます。

ちなみに、全国での変動率上昇地の上位5地域に、東京圏は一つもランキングされていません。住宅地で、今年最も地価変動率が上昇したのは北海道の倶知安町で、27.3%にも達しました(表4)。これはニセコエリアなど、パウダースノーのスキーリゾート人気から近年外国人訪問客が増え、外国人向けの別荘やリゾートマンションの建設が数字を後押ししたようです。

表4:地方別 対前年平均変動率

順位 都道府県 基 準 地 の 所 在 地 平成27年基準地価格(円/m²) 平成28年基準地価格(円/m²) 変動率(%)
北海道 虻田郡倶知安町字樺山65番132外 16,500 21,000

27.3

石川県 金沢市本町2丁目89番『本町2-3-29』 160,000 185,000 15.6
福島県 いわき市四倉町字西4丁目7番14 32,500 36,500 12.3
福岡県 福岡市南区高宮2丁目100番『高宮2-10-25』 250,000 280,000 12.0
宮城県 仙台市若林区裏柴田町29番5外 128,000 143,000 11.7

今回の地価調査結果の発表に際し、国交省は「住宅地の地価は総じて底堅く推移しており、上昇ないし下落幅の縮小が見られる」と評価しています。その要因として、全国的に雇用情勢の改善が続く中、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え効果等を挙げています。

2016年の結果も含めて基準地価は、インターネットで調べることができます。皆さんが購入を予定しているエリアについて、過去からの動向を確認することが、現在の物件価格が妥当なものなのか、将来的にどう変動しそうかといった判断の参考材料の1つになるかと思われます。

【インターネット 参照サイト】

基準地価ってどんなもの?

基準地価は、毎年7月1日時点の地価を不動産鑑定士がエリア単位で鑑定評価を行い、これを都道府県が確認のうえ公表したものです。現状存在している建物の形態や権利に関係なく、最も土地を有効に活用した場合を想定して、1m²当たりの価格を算出しています。土地の客観的な市場価値の指標として広く利用されています。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※表はすべて平成28年都道府県地価調査(国土交通省「土地総合ライブラリ」)からの引用です。

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