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リフォームにやさしい平成29年度不動産税制改正

税制改正大綱に関するトピックス

 

公開日:2017年2月10日

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2016年12月8日、自民・公明両党は平成29年度の税制改正大綱をまとめ、同月22日に閣議決定されました。今後は、2017年の通常国会に提出され、年度末である3月末までに、大きな変更なく成立する見通しです。

平成29年度の税制大綱は、配偶者控除・配偶者特別控除やタワーマンションの固定資産税の見直し等、個人消費者に大きな影響を与える改正が打ち出されています。ここでは不動産関連税制の改正案からトピックスをご紹介しましょう。

タワーマンションは1階と40階とで固定資産税が約1割違ってくる

超高層マンション、いわゆるタワーマンションと呼ばれる居住用超高層建築物について、階数によって固定資産税や都市計画税に差が付けられることになりました。

分譲マンションの建物分についての固定資産税は、これまでは建物全体の総額を各戸の専有面積に応じて按分し、階数による違いはありませんでした。一方で特にタワーマンションの場合は、同じ専有面積でも高層階の方が高額で販売され、売却時の価格も高くなる傾向が見られます。今回の税制改正は、こうした不公平感をある程度、解消するものです。

制度が適用されるのは、2017年1月2日以降に完成する、高さが60mを超える高層マンションです。概ね20階建て以上のマンションが該当します。ただし、2017年3月31日以前に売買契約が締結された住戸があるマンションは対象外となっています。制度が適用された場合、固定資産税額の按分の際、高層になるほど税額が上がり、低層階は下がります。なお、マンション1棟を合計した税額は従来と同額で変わりません。

長期優良住宅化リフォームに税制優遇を適用

安倍内閣では2016年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2016」において、「住宅の断熱性を高めるなどの省エネ化やバリアフリー化等、住宅の長寿命化に資するリフォームを促進する」ことを明記しています。この方針の中で税制改正大綱には、「長期優良住宅化リフォーム等の促進に向けた既存住宅リフォームの特例措置の拡充」を盛り込んでいます。

「長期優良住宅化リフォーム」とは、耐久性や耐震性、省エネ性を一定水準にまで高める等によって、新築に劣らない快適で長期使用できる住宅ストックとして性能向上を図る工事を指します。特例措置とは、このリフォームを行った場合、費用の一部について所得税額の特別控除などを認めるというものです。

従来、控除の対象は耐震改修や省エネ改修、バリアフリー改修に留まっていました。今回、対象が拡充され、建物自体を長寿命化させる「耐久性」向上改修でも控除が可能になりました。控除額は投資型(自己資金)の場合最大50万円、各種ローンを使用した場合は最大62.5万円です。また、固定資産税についても翌年度は3分の2を減額されます。

「長期優良住宅化リフォーム」はある程度高額なリフォームにはなりますが、耐久性や省エネ性等の向上により、資産価値の向上にもつながるといえます。減税だけでなくリフォーム自体の補助制度もありますから、合わせてチェックしましょう(長期優良住宅化リフォームについては「国立研究開発法人 建築研究所ホームページ(長期優良住宅化リフォーム推進事業)」をご参照ください)。

「国立研究開発法人 建築研究所ホームページ(長期優良住宅化リフォーム推進事業)」

災害対応の救済措置新設や特別控除の継続も

2017年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置について、災害による被害を受けたことにより期限までに居住できなかった場合の救済措置が設けられました。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度とは、マイホームの新築や取得、増改築等に充てるための資金を父母や祖父母等の直系尊属から贈与を受ける場合、一定の要件を満たすときは、贈与税に非課税限度額が設けられる制度です。平成33年12月31日までの非課税措置で、非課税限度額は住宅取得日や住宅性能、消費税が10%にアップした場合等によって違ってきます。

この制度では、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充ててマイホーム等の新築等をすること、また贈与を受けた年の翌年3月15日までに新しいマイホームに居住すること(あるいは同日後遅滞なく新しいマイホームに居住することが確実であると見込まれること)等、新築時期や入居に関する要件がありますが、災害等やむを得ない場合、時期に関する要件が緩和されることが盛り込まれました。

具体的には、贈与を受けた翌年12月31日までに住み始めることができなかった場合は、その居住期限を1年延長し、翌々年12月31日までとなります。同様に、贈与を受けた翌年の3月15日までに新築できなかった場合も、翌々年3月15日までに新築をすれば減税措置が適用されます。

以上の3点以外にも特例措置の拡大や延長が盛り込まれました。主なポイントを簡単に整理しておきます。

【所得税】(特例の継続)

優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例期限について3年間延長されます。

【個人住民税】(適用対象の拡大)

給与所得者等が使用者等から貸付けを受けた住宅借入金等について、住宅借入金を有する場合の個人住民税額の特別控除(住宅ローン控除)の対象外となる契約の利率について、現行、利率1%未満を対象としていましたが、これを0.2%未満に引き下げます。

【登録免許税】(期限延長)

土地の売買による所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用期限が2年延長されます。また、住宅用家屋(建物)の所有権の保存登記、移転登記、抵当権設定登記に対する軽減措置については、適用期限が3年延長されます。

【不動産取得税・固定資産税】(期限延長)

サービス付き高齢者向け賃貸住宅を新設する際の土地・建物に対する不動産取得税の減額措置が2年延長されます。また、固定資産税の減額措置についても適用期限が2年延長されます(一部、対象要件の変更もあります)。

他に、地震等で被災した方について、所得税や固定資産税、都市計画税、贈与税、登録免許税、印紙税、個人住民税について要件等が緩和され、救済措置が受けられます。

2016年に今後10年の住宅政策の指針となる「住生活基本計画」が発表され、リフォーム・既存住宅流通等の住宅ストック活用型市場への拡大が示されました。今回の税制大綱も、こうした動きを受け、既存住宅の性能向上を支援しているといえます。良質の住まいを取得、リフォームすることにより、ご家族の日々の生活の質をぜひ高めていってください。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

  • ※弊社は、会計・税務等の取扱いを推奨し、もしくは保証するものではありません。実際の不動産取引にかかわる税法上の適応の可否については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
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