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相続税改正で課税割合が急上昇、相続対策が必要に

相続税関連トピックス

 

公開日:2017年2月28日

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国税庁は平成28年12月に平成27年分の相続税の申告状況を発表しました。平成27年中に亡くなられた方は約129万人。このうち相続税の課税対象となった課税割合は8.0%でした。前年である平成26年の課税割合は4.4%ですから、前年比で1.8倍に増えた訳です。

相続税の課税割合は昭和62年に7.9%を記録して以来、低下傾向が続き、平成13年以降はずっと4%台が続いてきました。それが一気に上昇したのは平成27に相続税が改正されたからです。

課税割合の推移

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*国税局WEBページより

他人ごとではない相続税の課税

相続税の改正では税率も変わりましたが、課税割合が上昇した大きな理由は基礎控除額が引き下げられたことでしょう。基礎控除は下表のように変わりました。これにより、法定相続人が3人(配偶者+子ども2人の場合など)のケースでは、平成26年12月までは8,000万円あった基礎控除額が、現在は4,800万円と4割も引き下げられてしまったのです。この影響で、以前なら相続税の対象にならなかった方も課税対象となるケースが増えました。

〈相続税の基礎控除額の引下げ〉

平成26年12月まで 平成27年1月以降
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数) 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

国税庁は、被相続人(亡くなった方)1人当たりの平均課税額も発表しています。平成26年が2億407万円だったのに対し、平成27年は1億4,126万円と3割近く減少しました。

特に大都市圏では要注意です。全国の課税割合が4.4%に過ぎなかった平成26年でも、東京国税局の管轄区域(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)の課税割合は7.5%と非常に高かったのですが平成27年は12.7%に上昇しています。つまり、亡くなられた方の内、ほぼ8人に1人は相続税の課税対象になっているということです。

参考に課税割合が次に高かったのは名古屋国税局の管轄区域(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)で11.0%でした。3番目は大阪国税局の管轄区域(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)で8.2%でした。この3区域が全国平均を上回っています。

こうしたデータから、相続税の課税対象となる方が大幅に増えていることがわかります。被相続人が「うちは大丈夫」と油断していると、相続人に負担が掛かることになりかねません。早いうちに、ご自分の相続税負担について、調べておく必要があると言えそうです。

相続財産では金融資産が増加

国税局は相続財産(評価額)の大まかな内訳も公表しました。平成27年の相続財産の内訳は、上位から土地、現金・預貯金等、有価証券、家屋の順です。このうち、土地と家屋は不動産資産、現金・預貯金等と有価証券が金融資産ということになります。

〈相続財産の種別と金額推移〉

相続財産の種別と金額推移

*国税局WEBページより

平成26年と平成27年の比較で顕著なのは金融資産の比率の増加です。平成26年は不動産資産の比率が46.9%で、金融資産の比率41.9%を上回っていました。それが平成27年には、不動産資産の合計金額は増加しているものの、比率は43.3%に減少し、金融資産と逆転しました。

今回、税制改正の影響を受けて相続税を新たに支払うことになった層は、従来、相続税を払っていた層よりも明らかに金融資産の比率が高いということです。これは従来なら、複数の不動産を所有し、それに加えて金融資産を持っていた層に課税されてきた相続税が、不動産は自宅だけで、それに加えて金融資産を持つ層などにも拡大されたと考えられます。

相続財産の評価額は資産の種類によって異なります。金融資産は時価=評価額ですから、株式や債券は相続時点の市場価格、現金・預貯金はその時の額面になります。一方、不動産資産は、相続時点の市場価格が評価額にならず、時価よりも相続評価額が低くなる場合が多くあります。ですから、今回、相続税を支払うことになった相続人も、金融資産を不動産資産に代えていたら、支払わなくて済んだ可能性があります。

つまり、手元の金融資産でマンション等を購入し、不動産の形での資産を承継すると、結果的に相続財産の評価額が下がることになります。賃貸用マンションへの投資が代表的な方法です。ただ不動産は換金に時間が掛かりますから、相続税納税資金として現金・預貯金を一定額保有しておくことも大切です。要は、相続財産の評価と相続税納税資金の確保のために最適な財産バランスに、資産を組み換えておくことがポイントとなります。それを考える上で、不動産の活用による相続評価の引下げが有効な手段であることは知っておいて損はないでしょう。

他に不動産を活用して、金融資産を相続人に承継する方法として、「住宅取得資金贈与」があります。これは、父母や祖父母など、直系尊属からマイホームの建築や購入、リフォーム費用のための贈与を受けた場合に、一定額贈与税が非課税となる制度です(詳細は国税局WEBページ)。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

  • ※弊社は、会計・税務等の取扱いを推奨し、もしくは保証するものではありません。実際の不動産取引にかかわる税法上の適応の可否については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
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