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収納の科学と視覚のマジックがポイント

自然に片付くリフォームの極意(第1回)

公開日:2017年5月31日

AFTERの写真1

 新築ではなく、既存のマンションや一戸建てを購入しリフォームすることで、住環境を充実させるケースが増えています。リフォームによって住宅設備は一新され、床・壁・天井はピカピカ。

 しかし、引っ越してしばらく経つと<もの>が増えはじめます。「収納はしっかり用意したはずなのにどうして?」。このような疑問がでてくることも。住まいをきれいにして、設備を変えることだけがリフォームの目的ではありません。きちんと<もの>を片づけることができて、美しい状態を維持できるようにすることも重要です。自然と片付くリフォームのポイントを紹介します。

 「片付かないのは、住み手ではなく家に原因があります」。一級建築士の水越美枝子さんは、きっぱりと言い切る。水越さんが手掛けた住まいは、どの家も驚くほどすっきりと片付いている。そして住人たちは、「頑張らなくても自然に片付く」と口をそろえる。

一級建築士の水越美枝子さん

一級建築士の水越美枝子さん。
日本女子大学住居学科卒業。一級建築士事務所アトリエ・サラを秋元幾美さんと共同主宰。キッチンスペシャリスト。家事効率の良い住まいの設計やアドバイスに定評がある。著書は『いつまでも美しく暮らす住まいのルール』など

 埼玉県のKさん一家も、水越さん設計の1階の全面リノベーションで、雑然としていた部屋から一転、目に入るところに余計なものが一切なく、すっきりと整った住まいを手に入れた。住み替えて2年近く経過した今も、ご覧の通り美しい状態が維持されている。

 水越さんいわく、いつも片付いている美しい家は「収納の科学」と「視覚のマジック」でつくれる。Kさん宅を例に、その極意をひもといていこう。

AFTER

AFTERの写真1

ダイニングの棚やテーブルの上もキッチンカウンターの上も、<もの>がなくてすっきり。

BEFORE

BEFOREの写真1

脱いだ服やかばんがそのままに床に放置されていた居間。収納はあるのに片付かなかった。

 「家が散らかる原因は明快です。収納が生活動線上の適切な場所にないこと。そして収納があっても、スペースに無駄が多くて効果的に使われていないこと。このような家はいくら収納家具を増やしても、住み手の努力なくしては片付きません」と水越さん。基本的なことのようで、これらの点をきちんと考えて設計されている家は、意外なほど少ないという。

居住スペースを犠牲にせず、収納力が格段にアップ

Kさん一家の生活スタイルを分析した上で、適所に必要な収納を設置。
居住スペースはリノベーション前とほとんど変わらないが、高密度収納で収納量が大幅に向上した。

 逆にいえば、生活動線上の最適な場所に無駄のない収納を設ければ、家が片付かないという問題はシンプルに解決する。水越さんが、「収納は科学」と主張するゆえんだ。<もの>を使う場所のそばに、その<もの>の指定席となる収納を設ける「適所の法則」。そして、収納空間を棚で細かく仕切り、限られたスペースを最大限生かし切る「高密度の法則」で、居住空間を犠牲にしなくても収納量を大きく向上させることができる。<もの>を捨てずにすべて収めることも可能だ。

一,適所の法則 二,高密度の法則

 この2つの法則に従って間取りを見直していく上でポイントとなる、〝片付けの要所〞とでも呼ぶべき場所がある。洗面所、玄関、ダイニングだ。この3カ所で起こりがちな、収納される<もの>と収納量が適切でない〝収納のミスマッチ〞を解消すると、家全体が自然とすっきり片付くようになる。

収納力だけでは物足りない「視覚のマジック」で部屋が美しくなる

 ただ、<もの>が散らかっていないだけでは、美しく片付いた家は完成しない。「美しい家には、効果的な〝見せる場所〞が必要。「視覚のマジック」とでもいうべきテクニックで、家全体の印象を大きく変えられます」(水越さん)。

 そこで覚えたいのが、「フォーカルポイント」の使いこなしだ。「フォーカルポイント」とは、家の中で人の視線が最初に集中する場所のこと。特に、ドアを開けた瞬間に目に入る光景は家全体の印象を左右する。このポイントに、センスのいい家具を置いたり、絵や花を飾ったりすると、その家全体をセンスよく美しい空間だと感じさせることができる。逆に、このポイントが殺風景だったり、無機質なテレビやテレビ台が目に入ったりすると、家全体の印象が台無しになるので気を付けよう。

フォーカルポイント

家の印象はドアを開けた瞬間に8割決まる

 玄関のドアを開けて最初に目に飛び込んでくる光景が重要。Kさん宅では、骨董のたんすやグリーンを配置して演出。玄関の横を飾る家も多いが、目に入りにくくあまり意味がない。

AFTER

AFTERの写真2

BEFORE

BEFOREの写真2

リビングのドアを開けたら...

 リビングのドアを開けたとき、まず目に入る場所を装飾壁にしている。厚みがランダムな割り肌のタイルを使用しており、光の陰影が美しい。

AFTER

AFTERの写真3

BEFORE

BEFOREの写真3

 第2回は、片付けの要所、洗面所、玄関、ダイニングのリフォームの具体的なポイントを紹介する。

DATA

  • 所在地埼玉県春日部市
  • 家族構成夫(58歳・会社員)、妻(53歳・パートタイム勤務)、長男(24歳・会社員)
  • 構造木造2階建て
  • 延べ床面積、間取り約 148㎡、3LDK
  • 住み替え時期2014年7月
  • 設計アトリエ・サラ(水越美枝子)

執筆:文/臼井美伸(ペンギン企画室)
写真/中村風詩人
協力:『日経おとなのOFF』(日経BP社)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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