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後悔しないキッチンリフォームは優先順位の整理がカギ

スペース別に考えるリフォームテクニック vol.1

公開日:2016年9月30日

新築マンションの価格が急上昇したこともあって、中古マンションの購入にターゲットを変えた方は少なくないのではないでしょうか。あるいは、親の相続によって、一戸建ての実家に住み替えることになるというケースも珍しくありません。

そうした中古のマンションや一戸建てに住み替える場合には、その規模の大小はありますが、何らかのリフォームが欠かせません。どの程度行うかはケース・バイ・ケースですが、やはり多いのは水回りの改修、なかでもキッチンリフォームです。国土交通省の住宅市場動向調査(平成27年度)によるとリフォームを行った場所ではキッチンがトップ(35%)で、2位のトイレ(29.4%)、3位の浴室(29.2%)を引き離しています。

築浅の中古マンションを購入しても、「キッチンだけは手を入れたい」というニーズは高いようです。それは、キッチンが毎日使う場所であること、リビングと連動した生活の中心スペースであること、使い方は各家族でかなり異なること、ゲストの注目を浴びやすいといった理由が考えられます。

5つの視点で家族に最適のキッチンを考える

キッチンは、日々の生活を機能面で支える「実用性」と、快適に過ごせ、また人を迎え入れられる「空間性」の両者を兼ね揃えた場所でなくてはなりません。リフォームは、単なるキッチン設備の入れ替えではありません。家族の要望や暮らし方のイメージ、優先順位等の整理などをしっかり行うべきです。リフォーム会社やシステムキッチンを選ぶ前に、まずは、キッチンリフォームの目的を家族で整理して、優先順位を考えておきましょう。

新しいキッチンを考えるスタートは、現状のキッチンへの不満点を整理することです。夢のキッチンを作るには、最低でも現在の不満点を解消することが不可欠だからです。家族それぞれが、さまざまなご意見をお持ちだと思います。それをみんなで話し合うことで、日頃の暮らしをより楽しくする助けになることもあります。ただ漠然と考えてもうまくまとまらないことも多いので、5つの視点を紹介します。

不満点を摘出・整理する際の5つの視点

視点 検討ポイント例
①全体面
  • ・ダイニングやリビングとのつながりや、キッチンのタイプが、目指す暮らし方にマッチしているか(家全体の中でレイアウトや動線を考える)
  • ・広さは足りているか(誰が台所で働くので、必要スペースは異なる)
②動線面
  • ・キッチン内が機能的に使えるか
  • ・ダイニングやリビングに移動しやすいか
  • ・数名が同時に作業しても移動しやすいか
③設備面
  • ・設備等の古さは気にならないか
  • ・コンロの数やシンクの広さなどは使い手にマッチしているか
  • ・食洗機やIHコンロなど、欲しい機能があるか
④収納面
  • ・収納量は足りているか
  • ・収納のための場所や形状が、確保されているか
⑤デザイン面
  • ・家族の好みに合ったカラーや素材、デザインでまとめられているか
  • ・お客さまに見られても誇れる空間か

独立型? オープン型? セミオープン型って?

それでは、5つの視点をそれぞれ簡単に説明しましょう。①の「全体面」というのは、キッチン内というより、他の部屋も含めたレイアウトを検討するということです。特にダイニングやリビングとの関係は重要です。それによってリフォーム後のキッチンレイアウトは大きく変わります。

キッチンレイアウトは大きく「独立型」「オープン型」「セミオープン型」に分けられます。独立型は、キッチンが1つの部屋に納まっているタイプを指します。オープン型は、ダイニングやリビングから見渡すことができ、それらと一体的な空間として活用するタイプです。セミオープン型は、両者の中間タイプでダイニングやリビングと、カウンターや低めの間仕切りなどで分けます。

キッチンレイアウトの特徴

タイプ 特徴 注意点
独立型
  • ・ダイニングやリビングから見えづらく、生活感が他の部屋に出にくい
  • ・においや煙、音などが他の部位に伝わりにくい
  • ・コンパクトにまとめることで、他のスペースを広げられる
  • ・作業領域が限定される
  • ・広さによっては大人数で作業しにくい場合も
  • ・ダイニングにいる人と会話しながらの調理は難しい
オープン型
  • ・ダイニングやリビングと連動して、広い空間を作れる
  • ・アイランド型など多彩なキッチンレイアウトが可能
  • ・臭いや煙、音等への配慮が必要
  • ・洗い物やゴミ箱など、リビングにいる人に生活感を覗かれやすい
  • ・リビングからの視界に入るため、デザイン性やメンテナンスに気を使う必要がある
半独立型
(セミオープン型)
  • ・キッチンとダイニングを壁や建具などで緩やかにゾーニングし、広がりを持つ中にも適度なプライバシーを保てる
  • ・キッチン内にいても、ダイニングの様子が分かる
  • ・独立型ほどのプライバシーはない
  • ・アイランド型キッチンは配置が難しい

それぞれのタイプごとにメリットがあるので、ご自分たちの目指す暮らしにマッチしたタイプをイメージし、現状のキッチンの満足度を確認し、新しいレイアウトを検討してください。

②の「動線面」は、キッチン内の使い勝手についての、不満点の確認や要望の整理です。代表的なキッチンの動線として、シンク⇔コンロ⇔冷蔵庫を結ぶトライアングルが挙げられます。この配置によって作業性は大きく違ってきます。

動線の中では作業スペースにも注意しましょう。調理工程の中では、まな板を置いて包丁を使ったり、仕上げ調理にかかる前に下ごしらえした食材を並べておいたり、できた料理をお皿に並べて盛り付けをしたりする作業スペースが大切だからです。それを広く確保しておくことが、キッチンの使いごごちをアップします。現状のキッチンに立ってみて、食事の準備や調理、配膳、片付けといったシーンを想定し、どうしたら新しいキッチンが使いやすくなるのか想像してください。

最近は、キッチンを単なる調理スペースと考えるのではなく、洗濯やアイロンかけなども含めた総合家事スペースとしての機能を果たすようにするという考えた方もあります。要は調理だけでなく、他の家事のしやすさなどもキッチンを検討する視点に加えるということです。

③の設備面では、設備で不足しているものや、新たに欲しい機能がないかを確認します。加熱機器の口数、調理機器への不満などから、新しく導入する機器を検討します。食器洗い機や、ゴミ処理機など、家事を楽にする機器の導入も考えられるでしょう。オーブンレンジや食器洗い機は、据え置き型がいいのかビルトインタイプがいいのかも大切なポイントです。

④の「収納」も、キッチンリフォームの重要ポイント。キッチンに収納する必要があるのは大きく分けると、調理器具、食器、食材の3つです。それぞれ、現状で足りているのか、場所は適切なのかをチェックし、新しい計画に生かしましょう。今のキッチンをチェックすると、奥にしまって一度も使っていない調理器具や食器がたくさんあることに気が付くと思います。ただし、スペースを大きく確保するだけでなくどこに何を置くか、取捨選択して配置場所を考えましょう。そのためにはキッチンまわりの家財リストの作成が効果的です。

⑤の「デザイン性」は、現在のキッチン空間が自分たちのセンスに合っているか、ダイニングやリビングの家具や内装とマッチしているかという観点です。カウンタートップの素材やキッチン扉の面材、収納建具など、素材やカラーなどさまざまな要素が空間に影響を与えます。来客の多いご家庭なら、リビングからの見栄えは重要です。

スペースの都合や予算との兼ね合いがありますから、これらの5つの視点で全て満点を取れるキッチンは現実的に厳しいことが多いかもしれません。これらのどれを優先するのか順位を考えて計画すれば、新しいキッチンの満足度は上がるでしょう。

キッチンリフォームの難しさも知っておこう

こうした現状の不満点を確認して、新しいキッチンの要望をまとめることがリフォームのよい打ち合わせにつながります。ただし、新築ではなく既存空間へのリフォームであるからこそのハードルがあることも理解しておきましょう。

例えば、加熱機器やキッチンシンクの場所を変更するには、給排水管や排気ダクトを動かす必要があり、天井、壁、床などを壊して作り変えなくてはなりません。つまりレイアウトを大きく変えようとすると、かなりコストが上がってしまいますし、物理的に不可能なケースも考えられます。さらに、築年の古い分譲マンションなどでは、電気容量の関係でオール電化厨房にする場合、分電盤に手を入れる電気工事が必要でさらに費用がかさむケースもあるようです。

こうした制約は、建物1戸ごとに違ってきます。リフォーム会社に設計や見積もりを依頼する際に調査してもらい、自分の実現が可能か、どの程度の費用がかかるのか確認してもらいましょう。信頼できるリフォーム会社を見つけ、担当者とベストなキッチンプランを作り上げていってください。

執筆

谷内信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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