ママ必読。子育てしやすい住まいとは 第四話「子育て世帯に適した周辺環境編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.57

この記事の概要

  •  家庭によって教育方針は異なる。“どんな教育環境を望み、どんな経験をさせたいのか”という点を明確にしてマイホーム探しをすると良い。
  •  将来の周辺環境の変化についても注力が必要。どんな建物が建てられるエリアなのかは用途地域で確認を。将来、駅・道路・大型の商業施設ができるかどうかなどもチェックし、それによるメリットや周辺に与える影響も認識しておくことが大切。

第四話「子育て世帯に適した周辺環境編」

【Fさんファミリー】
結婚と同時に購入した郊外のマンションに住む、2歳の女の子、1歳の男の子の子育てに奮闘中のFさんファミリー。2人がよく動き回るようになり、目が離せない毎日を送っています。ママ目線で安全に配慮した居住空間造りに注力していますが、成長を考えるとこのままでいいのかと悩んだ末、子育てがしやすい快適なマイホームを探しているところです。

出生数は減少傾向が続く。教育環境は住まい探しに影響を与えるのか

住宅そのものだけでなく、よりよい教育環境で子育てをしたいという理由で、住み替えを考えているというお話をよく聞くことがあります。
厚生労働省の人口動態統計によると、2018年の出生数は91万8,397人と過去最低となりました。少子化が進む中、おのずと一世帯あたりの子どもの数も少なくなっています。その分、子どもを中心とした生活を望む世帯が増えているのかもしれません。

今回は子どもと教育環境という視点から、住まい探しについて見ていきましょう。

“どんな教育環境を望み、どんな経験をさせたいのか”という点を明確に。各家庭ならではの最適な環境を選択することが大切

教育というと、まず思い浮かべるのが幼稚園や学校ではないでしょうか。 都心に住むとその選択肢は一気に広がります。多くの特徴ある私学が小学校からあることはもちろんのこと、インターナショナルスクール、中高一貫校や大学の附属校など多種多様。交通網が発達しているので、小学生が電車通学をしている姿もめずらしくありません。語学は幼稚園からスタートしたほうがいいと、英語だけでなく、フランス語や中国語などを学べる環境が整っている園も多くあります。塾も豊富にあるので、比較検討が十分できるでしょう。
ほかにも、敷地の広い大学のキャンパスなどで、地域の子どもたちに向けたワークショップなどが頻繁に開催されているのも特徴的です。大学の数が多いので、その頻度はおのずと高くなります。また、科学館や美術館なども点在しているので、いろいろな体験ができると言えるでしょう。幅広く学べること、最新の知識が比較的簡単に得られるというのは都心ならではのことです。

郊外暮らしは、自然に囲まれながらのびのびと過ごせるというのが特徴です。都心のように情報が直接得られるという環境ではありませんが、自分で何かを発見したり自然の摂理に気付いたりなどの経験ができます。小さいうちは体を思い切り動かして過ごすことに重点を置きたいという教育方針の場合は、郊外にマイホームを構えるというのが理想的です。
確認しておきたいのは、学区となる小学校や中学校までの距離です。徒歩で数十分というのもめずらしくなく、天候不良の場合は送迎の必要も出てきます。特に共働き世帯では、保育園時代のように時短勤務が認められないケースもあるので、就学以降はその送迎が負担になってしまうこともあります。郊外では、学区を意識した住まい探しも重要と言えるでしょう。

どこに住んでもメリット・デメリットはあるので、まずは“どんな教育環境を望み、どんな経験をさせたいのか”という点を明確にすることが重要です。各ご家庭ならではの最適な環境を選択するようにしてください。

将来の環境についても確認を

子育て中のファミリーは、その周辺環境も気になる点です。
念頭に置いておきたいのは、将来を見据えて用途地域をチェックするという点です。用途地域は、種類ごとに建築可能な建物の用途や規制などが定められています。例えば、今は落ち着いた住環境でも、用途地域によっては将来に娯楽施設や工場が建ってしまう可能性があるということです。“静かで落ち着いた環境で子育てをしたかったのに近所に工場ができてしまった”など残念なことにならないよう、事前に用途地域を不動産会社に確認し、納得した上で決めるようにしましょう。

また、新駅ができる・高速道路が延伸して出入り口ができる・大型の商業施設ができるなど、今よりも利便性が向上する場合はその点にも注目です。便利さか増すという面ではうれしいポイントではありますが、できることによる周辺環境の変化についても考慮しておきましょう。
子育て世帯が考えておきたいのは、安全性が保たれるのかということ。高速道路の延伸については、交通量や車の流れが変わる可能性があります。閑静な住宅街と思っていても、高速道路の裏道として利用する車が増えてしまうケースなども考えられますので、事前にチェックしておくようにしてください。
ただし、まだ計画中で実現するかどうかはっきりしない・地域との調整が進んでいないというような場合は、計画倒れになる可能性もありますし、話が進んだとしても完成時にはライフステージ自体が大きく変わっています。そのころにはお子さんも大きくなっていますので、そこまで神経質にならなくてもいいかもしれません。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年11月29日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。