ママ必読。子育てしやすい住まいとは 第一話「年代別:設備・間取りはどんなものがいい?編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.51

この記事の概要

  •  ︎就学前・学童期・中学生以上と、子どもの年代によって住宅に対する注意ポイントは異なる。
  •  ︎安全に注力しながら好奇心を養わせたい就学前、自立や自主性を重んじながら過ごさせたい学童期、家族との時間だけでなくひとりの時間も大切にしてあげたい中学生以上とそれぞれにあった間取りや設備がある。
  •  都度住み替えるのは難しいが、年代別の特徴を理解し、将来のことも考えて住居を選定することが重要。

第一話「年代別:設備・間取りはどんなものがいい?編」ママ必読。子育てしやすい住まいとは 第一話「年代別:設備・間取りはどんなものがいい?編」

【Fさんファミリー】
結婚と同時に購入した郊外のマンションに住む、2歳の女の子、1歳の男の子の子育てに奮闘中のFさんファミリー。2人がよく動き回るようになり、目が離せない毎日を送っています。ママ目線で安全に配慮した居住空間造りに注力していますが、成長を考えるとこのままでいいのかと悩んだ末、子育てがしやすい快適なマイホームを探しているところです。

就学前・学童期・中学生以上と、住宅に対する注意ポイントは異なる

子どもの年齢によって住宅における注意ポイントは異なり、それぞれにあった間取りや設備があります。ここでは年代別に気にしておきたい点を見ていきましょう。

【就学前】

子どもは、寝返りをうてるようになってからは日に日に動きが活発になります。好奇心も旺盛になり、ちょっと目を離した瞬間にヒヤッとした経験があるという方も多いのではないでしょうか。でも、ケガをしないようにとがんじがらめにしてしまっては子どもの成長は促せません。就学前のこの時期は、安全に注力しながら好奇心を養わせるということがポイントとなります。
また、子どもに安心感を与えるようなコミュニケーションがとれる環境づくりが重要な時期でもあります。特にリビングで過ごすことが多いので、リビングを中心に環境づくりを考えるといいでしょう。

オープンキッチンで親も子も安心な環境を整える

リビング・ダイニングが見渡せるオープンキッチンは、子どもの様子をみながら調理ができるのでおすすめです。危ないことをしそうになったらすぐに駆けつけることもできますし、会話をしながら作業を進められるので子どもも安心感を得ながら過ごすことができます。

畳スペースは遊びやお昼寝で大活躍

リビングの一角に畳スペースを設ければ、おもちゃを広げて遊ぶスペースになったりお昼寝スペースになったりとさまざまなシーンで大活躍します。フローリングより衝撃も少ないため、転んでしまっても大きなケガにつながらないことも安心ポイントです。

起こりやすい事故を知って対策をしておく

家庭内の事故で多いのが、誤飲・誤えんや浴槽での溺水です。乳児が手の届くところに小さなものを置かない、洗剤などは高いところに置くなどの対策は重要。戸が簡単に開けられないように、チャイルドロックを設置するのもおすすめです。
溺水については、数センチの水位であっても甘くみてはいけないと言われています。深さというより、顔面に水面がついたことでパニックになってしまうからです。お風呂は入りなれている場所で、おもちゃなどがあればそれで遊びたいとひとりで行ってしまうこともあります。ゲージを設置するなどし子どもだけでは入れないようにしておきましょう。

【学童期】

親にとって、子どもはいくつになっても心配なもの。しかしいつまでも親が手を貸すわけにはいきません。小学校に通うようになると、子どもの自立を見守っていく環境づくりを考える必要があります。多くの時間を過ごすことになる住宅においても、その視点に重点をおく必要があるでしょう。

子ども部屋とは別に、リビングに勉強スペースや収納を設ける

小学生になったら、子ども部屋を・・・と考えている親御さんも多いと思います。一人で寝たり友達を呼んで遊んだり、就学前とは違った自立への第一歩となる時期。本人の希望を聞きながら子ども部屋について話し合うのも楽しい時間となるでしょう。一方、最近の住宅は家族団らんを重視した造りとなっており、子ども部屋があってもリビングで過ごすことが多い傾向にあります。リビングで宿題を済ませることも考えて、ちょっとした勉強スペースを設けておくというのもいいでしょう。そこには収納も用意し、片付けもしっかりできるように配慮するのも重要です。

お手伝いしやすい環境を整える

お手伝いをすることは、人のことを思いやったり自立を促したりするためにも大切です。小学生になるとできることが増えるのでお手伝いをお願いする機会が増えますが、生活動線が複雑だったりするとついつい面倒になってしまいがちです。
キッチン浴室、洗濯機置き場は行き来がしやすいようにし、子どもが無理なくお手伝いできるような環境を整えておくといいでしょう。

子ども部屋は稼動式の間仕切りだと使い勝手がいい

子どもが複数いる場合はそれぞれの部屋を欲しがるもの。でも、いずれ独立して家から出ていくことを考えると、しっかりした壁で仕切られた部屋がたくさんあっても使い勝手が悪くなってしまう可能性があります。将来多様な使い方ができるように、子ども部屋にする予定の居室可動式の間仕切りで仕切るようにしておくといいでしょう。

【中学生以上】

部活や塾で費やす時間、友達と過ごす時間が増えるだけでなく、反抗期が始まるころでもあり、家族との時間や会話も減ってくる時期。親としては成長がうれしい一方で、寂しさを実感するタイミングでもあります。自分と向き合えるひとりの時間も大切にしてあげながら、何かあれば家族でほっとできる空間も用意しておく必要があります。

洗面台を2つ備えて、朝の時間を共有

自室にこもりがちになるこの時期。無理に子ども部屋に入って話をしようとしたりコミュニケーションをとろうとしたりしても、それが思春期の子どもにとっては逆効果になってしまうこともあります。洗面台を2つ並べれば自然に顔を合わせられるのでおすすめ。ちょっとした会話も交わしながらコミュニケーションがはかれます。

リビングを通らないと自分の部屋に行けない造りに

戸建てならリビング階段を備えて、リビングを通らないと自分の部屋に行けないような造りにしておくと、毎日顔が見られるので安心です。難しい場合は、お風呂や洗面所へはリビングからしか行けないような間取りの物件を選ぶといいでしょう。いろいろと思い悩む思春期は親とは話したくないと思っても、どこかで頼りにしているものです。日常生活の中で家族がいるという安心感が持てるようにしておくことが重要です。

購入時の物件選びは、将来のことも考えておくと安心

今回ご紹介したように、年代ごとに適した住宅のカタチは異なります。だからといって成長に合わせて都度住み替えるのは難しいので、購入時には目先の利便性だけでなく、ライフステージが変わっても快適に住み続けられるような住宅を選ぶことが大切です。
そのためにも、

  • ●壁で仕切るのはなく可動式の間仕切りにしておく
  • ●壁が構造体となっている建物は、構造上取り除けない壁があるので思い通りの間取りに変更できない可能性がある。将来リノベーションを考えている場合は購入時に建物構造をしっかりチェックしておく

ということが重要なポイントとなるのでしっかり認識しておきましょう。ほかにも構造によっては希望がかなえられないこともあります。将来の構想がある場合は、合わせて相談しておくと安心でしょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年8月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。